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輪行袋に苦言あり(1)

作り、そして売る側の倫理


輪行袋は自転車の世界を拡げてくれる素晴らしい物なのだが、一部の商品の売り方に対しては少し疑問を持っている。欲しいと言われる商品を多く作り販売するのは市場原理ではあっても、それが正しい事とは限らない。メーカーと販売店に、考え直してもらいたい事がある。

それは 26 インチ以上のホイールで、「後輪を外さずに輪行が出来ますよ。」と薦めている輪行袋についてだ。

この形の輪行袋は、余りにも大きく、場所を取る。「これでなければ入らない。」と言うのならまだ考慮の余地はあるのだが、見掛ける人は、どれも泥除け無しのロードかMTBのようなのだ。ここに問題が見えてくる。


メーカーも販売店も、煙たがられるのを恐れて正しい使用法を示すのをあえて避け、売らんが為には迷惑な使用法が蔓延するのも良しとした姿勢に陥っているように見える。

安易さだけを謳い、小さくする努力や、使用法を学ぼうとする努力がいらないかのような文章として、他の乗客に対する配慮の必要性を書かない。よって、輪行を「面倒」「難しい」と考えていたユーザー層を取り込もうとしている。

その結果、自己本位の利用者を増やし、輪行の文化を壊し始めてはいないか。


メーカーと販売店は今の販売方針を改め、「後輪を外し小さくするのは難しい事ではない。」と、宣伝と販売の方向を修正すべきだ。可能な限り小さな輪行袋に収納させるように教えるのは、輪行を許してきた鉄道各社や社会への、良心としての責任ではないかと思うのだ。

輪行を普及させるのは良い事だ。ただし後輪を外すぐらいは覚えてもらおう。初心者だってパンクの時を考えたら、どうしたって覚えなければならない作業なのだ。


具体例

代表的企業であるオーストリッチでは、2009 版のカタログが閲覧できる。

超速 FIVE 輪行袋

あっという間の FIVE minutes

前輪を外すだけで簡単に素早く収納できる輪行袋。もちろん、前後キャリアを装着したままでも OK 。(車種により入らない場合もあります。)ロード、ツーリング、MTB 共通。

超速 FIVE 輪行袋 ストロンガー

ハイグレードな超速 FIVE

今や絶好調!超速 FIVE のゴージャス版。丈夫で長持ち、厚手の生地で大切な自転車を守ります。もちろん収納は前輪を外すだけで OK です。

http://www.ostrich-az.com/ から転載 −

該当ページの外観

15 ページに該当商品が載っている。

商品名の命名で「手早さ」を強調し、「ロード、ツーリング、MTB 共通」と書く事によって、さり気なくロードユーザーを誘い、これを使えば手抜きが出来ると促しているようだ。

これを改め、「前輪を外すだけで簡単に素早く収納できる輪行袋。後輪を外せない自転車の為に設計しました。もちろん、前後キャリアを装着したままでも OK 。(車種により入らない場合もあります。)」のように変えられないのか。「ロード、ツーリング、MTB 共通。」は削除しても、「ロード・MTB など後輪の外せる自転車は、なるべく適切なサイズの輪行袋をお選び下さい。」位の注意書きを一段小さい文字で書き添えれば、使用可の意味も伝わるはずだ。

あるいは、輪行袋全体への注意書きとして囲みを作り、輪行袋の選び方に関する記事を載せる事もできる。

文例

輪行袋は、自転車に合ったサイズをお選び下さい。

適切なサイズの輪行袋を使えば、旅がより楽しくなります。大き過ぎると持ち歩きにも、車内の置き場にも苦労します。人にぶつける心配も多くなります。コンパクトにまとめるほど、颯爽とスマートに行動できます。

逆に小さ過ぎて、ハンドルやサドルが突き出てもいけません。他の乗客の迷惑になります。

輪行袋選びに迷ったら、お近くのサイクルショップにご相談下さい。日本一種類の豊富なオーストリッチ製品の中から、あなたにピッタリのものが見つかるはずです。

マナーを守って、楽しい自転車旅行にお出掛け下さい。

こうする事によって、正しい使い方をするようユーザーに促すのは、企業イメージの向上にも結び付く気がするのだが如何だろうか。


大きさの問題

それでもまだ、大きさに問題が残る。

JRの規則では、「3辺の最大の和が、250センチメートル以内のもの」と定められている。

超速 FIVE は「L 1,380 * W 220 * H 800」と図示されているから、合計 2,400mm となってJRの規定寸法に収まっているかのように見える。

しかしこれには詭弁がある。前輪だけを外す使用法を推奨するならペダルは外さない。ならばペダル外幅は 330mm 以上になるはずだ。ドロップハンドルは横に向けても 300mm 前後の幅になるし、サイドバッグ用のリアキャリアも同程度だ。つまり、使用例の写真と寸法図は矛盾する。

使用説明には、「JRの規定寸法に収めるには、ペダルを外し、サドルを下げてお使い下さい。」の注意書きを書いても良いのではないか。


もっとも、私の本音を言わせてもらえれば、「この商品は、特急列車の座席裏には収納できません。鉄道輪行をご計画の場合、該当機関にお確かめ下さい。」とも書いてもらいたい位なのだが、、、。


他の3社

タイオガのコクーン

同様に、大きさに問題がある商品を出しているメーカーは他にもある。

「TIOGA のコクーン」と「 rin-project の2商品」と「モンベルのコンパクトリンコウバッグ クイックキャリー」の3社4製品が気になった。

TIOGA (タイオガ)は国外メーカーのようだが、メーカーサイトには輪行袋が出ていない。日本商社の企画物なのか、初めから日本の鉄道以外が目的のものなのかも分からない。

通販サイトはどこも同じ写真を掲載しているので、右に拝借させていただく。超速FIVE に似た商品だが、サドルを収容する気が初めから無い設計思想である。これでもJRではアウトのはずだが、立てた状態で男の目線以上の高さになるが見て取れ、150cm を優に越す最大長を強調しているようである。これではJRの規定値には収まるまい。

rin-project では、「 no.1005 輪行バッグ」は L 152cm * H 85cm の長方形をしている。これに収納した分の厚みが加わればJRの規定値を超える。しかも実際の使用高さは、サドルを袋の外に突き出す使用法を推奨しているようなので、さらに大きい。「コンパクト輪行バック」は使用寸法図からして「L 140cm * W 18cm * H 98cm」になっていて、幅の疑問を論じなくても合計値がJRの規定値を超えている。エコを謳った国内メーカーなのだが、輪行といっても鉄道用とは書いてはいないから、マイカー専用の袋なのかも知れない。

モンベルの「コンパクトリンコウバッグ クイックキャリー」は寸法図で L 170cm * H 85cm になっている。幅がゼロでも規定外だ。巾着で絞って小さくする構造とはいえ、これも厳しいサイズだろう。


この3社はいずれも、泥除けもキャリアも着いていない自転車を説明に使っている。ここにメーカーの考えが見て取れる。

JRをはじめとした鉄道各社は、これらの輪行袋をどう見ているのだろうか。

2009.9.25

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批判的文章に固有の企業名や商品名を出すのはなるべく避けたいのですが、それでは読者に理解されないだろうと思い判断しました。

事実ではありますし、少しの努力で変えられる事です。

メーカーは宣伝文を改め、販売店はユーザー毎に輪行袋選びのアドバイスをすれば、おかしな使い方は減ってくるはずです。

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