茨城県サイクリング協会

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輪行袋に苦言あり(2)

選び、そして使う側の倫理

あの後輪を外さない輪行袋は、駅や列車内で見掛けるととても大きく見える。
「売っているのが悪い。」と言う人もいるだろうが、使う側も考えて買ったのだから、当然使用責任はある。


何故、大きいのを選ぶ?

私が見掛けた使用者は、全て泥除けが無いロードか MTB に見えた。袋の突っ張り具合で分かるのだ。

これらの自転車は、ほとんどが簡単に後輪を外せるものなのではないのかと思う。サイクリングを趣味とする人の場合は、ほぼ全てのハブはクイックレリーズになっていて、工具も要らない。
その前に、六角ナットで留まっていようが、この人は前輪を外したのだ。つまり後輪を外す工具が無くて外せない訳ではない。

それなのに何故、後輪を外さない袋を選ぶのか。以下しか思い付かないのだが、私はあんな大きな袋を使う気にはならない人間なので的が外れているだろうか。

  1. 大は小を兼ねる

    自分の自転車に合った輪行袋を選ぶ自信が無かったので、これなら入るだろうと思った。

  2. 後輪の外し方が分からない

    いつも他人にやってもらっている。

  3. 後輪を外すのが面倒

    時間が掛かるとか、手が汚れるとか言う人もいる。

  4. 簡単に見えた

    両輪を外して重ねた写真を見た事があるが、複雑に組み合わさっているように見えて、理解できなかった。

  5. ペダルの外し方が分からない。

    前輪を外すだけで OK と書いてあったので、これならペダルを外さなくて済むと思った。

  6. フレームに傷を付けたくない

    自分はカーボンのフレームだから、と言う人もいる。

  7. 安かった

    コクーンの売価は安い。何度も使う物ではないからケチりたかった。

  8. 転がしたかった

    後輪を出して転がしていけば担がなくて済み楽ができると聞いた。

こんなところか?
これにいちいち反論してみる。

  1. 自転車店に行って、自分の自転車を見てもらえばいい。輪行袋を買いたいといえば相談に乗ってくれる。
  2. いつも誰かと一緒なら、輪行の時も頼めるはずだ。
  3. それは間違った方法をやっているからだ。アッと言う間に出来るし、手は汚れない。
  4. 疑問があったら、輪行袋を買った後、その自転車店でやってみて、分からないとこは教わろう。買った店なら教えてくれる。
  5. 自転車店でペダルレンチを買えば、やり方は教えてくれる。
  6. フレームに巻くカバーを多めに使おう。それでも大きな袋を持ち歩くより荷物は少なくなる。
  7. 自分さえ良ければいいと言うのか。それに買い直す事になったら無駄金になる。
  8. これは危ない。人にぶつかった時の事を考えてみよう。顔にぶつけられたら痛いじゃ済まない。

ところで近頃、面と向かって人に聞くのが恥ずかしいとか、自転車店に入り難いとか言う人が多くないか?
ネットで調べたり質問したり、通販を利用したりも確かに便利だ。しかし文字だけでのやり取りで、十分な意思疎通が出来たと満足する事は少ないんじゃないのか。文章を書くというのも意外と大変で、何で自分の言っている事が相手に伝わらないのかと思った事はないだろうか。

「百聞は一見にしかず」と昔から言うように、自転車店で初めから見てもらって、これだのあれだの指差し合って、あーだこーだとやり合った方が、遙かに手っ取り早いと思うのだが。


他人の迷惑

後輪を外さない輪行袋は、列車の中でどの位の場所を取るだろうか。

始発に乗るとガラガラ

右はオーストリッチのロード用。L 830 * H 1070 * W 200 とカタログに書いてある商品だ。両輪を外していても、これだけ場所を占有する。混んできたら邪魔だ。

後輪を外さない輪行袋は、これの2倍前後の長さになる。どれだけ場所を取るものか想像できるはずだ。ロングシートの車両でも、縦方向にも、横方向にも、邪魔にならずに置く場所は無い。先頭車両か最後尾車両の壁際を定位置にしているようだが、職員用のドアが開かなくなる。先に誰かが占有していたら使えない。

ロングシートの車両でも置き場所に困るなら、特急列車なら尚更だ。
スーパーひたちの車両幅は 2900mm 。フレッシュひたちや各駅停車の E531 は 2950mm 。これは外幅なので、室内幅は更に狭い。輪行袋の定位置のような、座席列最後尾の背もたれの裏側に入れれば、通路まで出ばって通せんぼだ。デッキでも同じ事だ。

これでもまだ使う気になるだろうか。やめたほうがいい。


「だって、商品として売っているんだぞ。」と言い張る人もいる。

しかし、この輪行袋を出しているメーカーはどれも、カタログのどこにも「鉄道輪行で使うもの」とは書いていない。問題がある事には気付いていて、逃げを作っているのではないだろうか。

だから鉄道でトラブルを起こしたら、責任を取るのは使用者だ。あるいは「鉄道輪行にはこれが良い」と薦めた販売店だ。でも裁判をしたとして、あなたは「販売店に言われた」と証明できるだろうか。それでも過失割りが減るだけであって、貴方の責任が無くなる訳じゃない。

「常識で考えれば分かるでしょうに。」と言われれば、それは大人の責任なのだ。


小さくしよう

だから、なるべく小さくする努力をしよう。

後輪を外すのは難しくない。サドルを下げるのも簡単だし、ペダルを外すのも簡単だ。この三つは初心者でも出来る。

アーレンキー(六角レンチ)やペダルレンチが必要になる場合もあるし、工具が要らない方法もある。遠出するなら携帯ツール位持って出るはずだから、これで間に合う場合もある。


旅は楽しく過ごしたい。
列車の中で迷惑そうな顔の乗客に囲まれるより、子供に「カッコイイ。」なんて言われたほうが嬉しいし、「良い出会い」なんてのも生まれてくるものなのだ。

「良い輪行」は駅員も応援してくれる。
「悪い輪行」でも改札は通れてしまうのだが、それは駅員の数が足りなくて手が回らないだけの事であって、許可されている訳ではない。「ちょっと待って。」と声を掛けてみても、持ち場を離れる余裕が無ければ、駅員は悔しくても諦めるしかない現状なのだ。

その姿からあなたの良心が見透かされるような行動は、考え直した方が良いと思うが如何か。


輪行の美学

かつてのランドナー世代には、「輪行の美学」を語る先達が何人もいた。

様式美を語り、服装を語り、方法を語り、旅を語った。聞かせてくれるお話しはどれも奥が深く、いつかは自分も近づけるのだろうかと憧れた。

確かに彼らの行動は、とても粋に見えた。
動作は全てに於いて素早く、荷物は小さくまとまっている。乱れというものが無い。
袋の外見は凹凸が少なく一塊に見え、実際触らせてもらうと、中身はビクリとも動かず、もちろんガチャガチャした音などは出さない。ホームに置いても安定して自立する。

私は真似をしようと試行錯誤をしてみたが、到底及ばない力量差があった。輪行の度にキズを少しずつ増やしてしまうのだが、この達人たちのように全てが固定されればキズは出来ないものなのだ。

努力すれば小さくなる


右の写真は、友人のランドナー輪行だ。車輪は 650A、前後に泥除けがあり、キャリアも着けている。努力と工夫をすれば、小さくする事は可能なのだ。達人には至らなくても、この位は工夫次第だ。

この状態なら、上の写真の 2/3 の大きさになる。

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2009.10.1

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特急あずさ

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