風について
僕は、どこを向いているかわからなかったが、目覚めを迎えていた。11時、それは、つけっぱなしのパソコンの右隅の数字だった。
携帯電話は11時1分を。
そして壁の時計は11時五分を示していた。
昨日起こったことが嫌で、学校を休むため、僕は夜中まで眠気をこらえて起きていた。頬は他の体の部位よりも冷たくなっている。青い顔をさらに青くして、鏡の前にたって、じっと自分の目をみつめた。よく見ると上下にずれている。今日は特にそれが目立った。きっと右腕の筋肉が微妙に重いから、体が傾いているのだろう。右肩を少しあげてみるとすぐに、顔はもどったように見えたが、またさっきとは別の感触で目は上下にずれていた。
先生は、昨日僕に、
「多田君、雪がとけたら何になると思う」
と質問してきた。その時刻は確か、11時10分。いっせいに手を上げる生徒たち。
なぜ、手を上げたのか。先生は僕に聞いたはずだが。そう思っていたら、先生が何事もなかったかのように他の生徒らに呼びかける。
「じゃあ、みなさん、いっせいに言いましょう。せーの」
「春になります!」「春になる!」「春になりまーす」「春になると思います」「春だと思います」「春が来ると思います」「雪がとけたら春になります」
「はい、よくできました。水になる、と、普通の人は考えます。けれども、答えは春になるのです」
水について
気になる日記帳のページをブックマークから選び出す。きっと更新されていると小さく願った。
ディスプレイには、彼女の日記がいつも微笑んでいたが、更新が3日も滞っている。もう3日間もおかれているから、内容を覚えてしまった。
諳んじる事だってできる。なぜ覚えられたんだろう。何回も読んだからだ。テストに書くためでも、日記の彼女に覚えたことを伝えるためでもないのに、内容は読みつくしている。いつかどこかで誰かに、この回のことを伝えるときが来るのだろうか。それさえ思いつかない。しかし、覚えているのだ。
彼女は自分のことを可哀想だと思っているのだった。右手も左手も動かず、足は右足しか動かない。言葉も話せない。全身はだんだん麻痺していく。だから、右足でキーボードを叩いて、日記を更新するのももう無理かもしれない。何か脳と直接PCをつなぐような機器で、看護婦とコミュニケーションをとったりしながら、日記を書き続けるかもしれないけれど。
僕が覚えた日記。それは、ヘレンケラーが水をwaterと言ったことに感動したという内容だった。
「私はヘレンがwaterと言ったのは、単に水とwaterをムリヤリあわせて水っぽいものであれば、waterとそういえばいい―――そう思ったからだと思う。彼女はつらかったに違いないの。厳しい先生のもとで、どんどん世界は広がっていく。全部知っている現実の世界が、皮膚の上からとっくに理解していた現実の世界が、眺めるだけじゃすまなくなったんだから。彼女は、waterをきっと、ノドが渇いた時、水に触れた時、そして哀しい時につぶやくはずよ。」
次はいつ更新されるだろうか。
ネットワークについて
不登校になったので、情報教育を受けることになった。
e-learningというやつだ。家にいながら回線を通してPCの前で授業が受けられる。
ディスプレイには、先生の録画された授業が流れたり、時にリアルタイム中継だったり、たまに一対一で授業する。
先生の顔は、ウィンドウにおさまるように、縮小されている。右上の「閉じる」ボタンを押せば先生は消える。再接続すれば先生はあらわれる。すべてが僕の都合だけれども、一対一の時はそうはいかない。
閉じるボタンを押すと怒られるので、真剣に聞かなきゃならない。
PCに設置したカメラで自分をうつす。先生も自分をカメラでうつしながらこちらを向いている。
「先生、毎日忙しいのに、僕なんかにかまってくれるんですね」
「かまうも何も、あなたを愛しているから、こうやって授業をするのよ」
この先生は、普通の先生と違って、カメラで自分を写すとき、どこからかもってきた美少女キャラクターをカメラにうつし、音声を変換して、やさしく声をかけてくれるのだった。僕のことを本当にわかってくれているから、こういうことができるのだろう。この人は確かもういい歳の男性なのだが、素直に頭のいい人だと僕は思う。
「ありがとう先生」と、僕は言った。けれども、マウスのアイコンは、すぐに閉じられるように右上にあるのだった。
「今日の授業は、前回同様「高瀬舟」の続きだよ。鴎外の。読んだ?」
美少女キャラクターはゆらゆら微妙に揺れていた。先生が気をつかって、声に反応して揺れるように作ってくれたのだろうか。
「読みました」
「あ、そういえばこの前先生のアドレスに宿題送ってくれてたわね。感想文。とてもよかったわ。それにしても勉強熱心ね。実際に学校に来てる生徒より、勉強熱心じゃない?」
勉強熱心?どういうことだろうか。
また、いつもの症状だ。
マイクは僕の息づかいまで捉えているはずはないが、息を止めようとした。
「ちょっと窓開けに行ってきます」
そういって、僕は外へ遊びに行った。
遊びについて
僕の操る女騎士は挑戦者を3人抜きしてから、ラスボスをパーフェクトで倒した。
こんなことしている暇があるのなら、勉強したらいいのに、と、あの先生が嘆く声がどこからともなく聞こえてくるようだった。
夜の11時までいたら、不良にからまれそうだから、勇気がぎりぎりに続くまでやって帰ろうと思った。
僕の他にも女騎士を使う人は多い。巧い人は、キャラクターを生き物のように動かせる。アニメを見ているかのように、相手を圧倒してしまう。
ただ相手の体力を奪うだけではなく、美しく奪う。相手の刃に触れることなく踊るように戦う女騎士を操る人を見ると、僕は何か一つの作品でも見る気持ちになるのだった。
ゲームセンターには必ず「主(ぬし)」が存在しているが、その主は別名で「達人」と呼ばれていた。
達人が操作する女騎士は、僕とは比較にならないほど、鮮やかに動く。敵の、青竜刀を使う巨人キャラに対して、ブロンドの髪、藍色の目、気高い顔つきをした女騎士は、純銀の剣と鎧を装備し、美しい肢体を相手の懐に滑り込ませて、素早く攻撃を重ねていき翻弄する。前にダッシュするとみせかけて、バック、途端相手の青竜刀は空を切る。その一瞬を逃がさない。彼女は中空ダッシュをして、右に左に切りつけ、中攻撃を連続して叩き込みながら、驚異的な柔軟さで相手の体を駆け上がり後に回り込んだ。裏に回った彼女は、必殺コンボを発動させた。画面に真っ白い閃光が満ち、銀の剣から蜘蛛の形をした不気味な雷撃を召還する。HITカウントはぐんぐんあがって、相手の体力メーターは気付くまもなく無くなっていた。青竜刀の男は、あっけなく地に伏した。
このゲームセンターには同じ台が3台あるが、3台ともプレイヤーは女騎士を選択していた。
やはり真ん中でプレイする達人は、他の女騎士の動きと比較にならなかった。
左右の二人は、必死にレバーを動かして、無意味にボタンを叩いている。彼らの操る女騎士は辛うじて敵を倒していた。
僕は達人が、次の挑戦者もまったく相手にならないほど圧勝してしまったのを見ながら、現実だったらこの女騎士は…きっと…と考えていた。けれども、僕や、僕の前でプレイする達人や、全国の達人プレイヤーがいる限り安心だ。
僕や僕の前のプレイヤーたちは女騎士の親衛隊みたいなものだ。守っているのだ。現実なら彼女はとても巨人に勝てないけれど、それは現実になっていない。僕らがいるからだ。僕らがいる限り彼女は彼女のままなのだし、より彼女らしくなっていく。
達人に乱入する人間はいなくなった。ピアノを弾くようにプレイする彼に、なぜか嫉妬の感情はわかなかった。むしろ僕より生々しく、いや、僕のイメージする通りかそれ以上に動き、戦闘する。素早く裏に回り、間合いをすべて見切って相手の隙をついて、フェイントを多用し、予想不可能な動きは、彼女が掴み所のない遠い存在にみることができた。百発百中の剣の舞いは、残像すら見えていた。もっと彼に長く操作されている女騎士を見ていたいと願った。
ラスボスを倒した彼は立ち上がり、こちらを向いた。Tシャツには、彼の汗で半分影に覆われたような女騎士のプリントがあった。
僕も彼も、女騎士を守り、守られているには違いないが、夜11時は近い。
障害について
「今日はみんなから、かわいそうに、と言われる日でした。
お見舞いにまた友達でもない生徒が、
君と仲良くしたかったと言いました。
ある人は一緒に木登りしたかったと言いました。どこの木に登るかはいいませんでした。
ある人は川遊びと言いました。でも、どこの川で遊ぶかは言いませんでした。
その日、幻覚を見ました。夢ではない理由に、私は私自身がベッドにいることを知っていました。
そして、小さな窓の隙間から、冬の空気と、クリスマスソングが流れてきました。
私は何かを探していました。
病室は何もありません。
何を探しているの?と私が言いました。私は、何でも探しているし、探す以外にすることがないの、と言いました。
冬のオリンピックで日本が金メダルをとったので、それを探そうと思ったら、パラリンピックの事が思い浮かびました。
努力する人々に対する賞賛の声に、弱さを奨励する人々は手のひらを返すように喜び、強さを全てだと思う人は、落ち着いた笑みを浮べていました。
私の近くには、弱さを求める人々が写真を撮りにやってきて、お慈悲をと言って、部屋を出て行きます。
でも、私はあなたのそのゆがんだ人生、親愛なる人生、喧嘩した人生、あなたはきっと苛められていた人でしょうし、苛めていた人かもしれません、無視をすることばかりしていた人で、まったく何もかもがめんどくさい人かもしれませんが、格好のいい面悪い面でつながりたいのです。
それをどういったらいいかわからなくて、私は体が動かせずだんだん麻痺していきますが、言葉を作り出すことは、自分の意志を結局は押し込めて、削り取って、発信することだと思います。
この日記だってそうです。
私は可哀想だけれど、この世界で、クリスマスの音色を聴いて、誰か私を可哀想とおもってくれるのかしら。
私はそうおもってほしいと思うのかしら。
私はこれを見るあなたに、一言だけ伝えたい。
それは、おめでとうということ。祝うことは祈ること。祈る時、本当に純粋に祈れるかしら。憎しみや欲望が祈る時にこそ渦巻いて、でも、祝う時の祝う意味は、憎しみや欲望すら全部包み込んでいる気がする。
だから、この日が来たことを本当に祝って欲しい。言葉に表すのではなく、両手を前に組んで、目をつむり、クリスマスツリーの一番上の星に、意識を集中させて、この世界のどこかに私がいて、この世界のどこかにあなたがいることに乾杯して欲しい。
それが私の弱さにとって、一番の強さになるから。」
ゲームについて
達人がいたのは駄菓子屋の前だった。子ども相手に真剣勝負をしている。もう、そのゲームはワンコイン50円のゲームになっていた。
女騎士の1プレイが50円というのは、昔なら大喜びできることだが、こうして人気のない風雨にさらされた台をみていると、情けないとも、つらいとも、もしくは、やりたいとも、思われず、オープニング画面で、主人公、ヒロイン、ライバルの次に出てきて、女騎士のブロンドが消えたと思ったら、回転切りのアニメが大きく画面を横切るのが流れるのを、幾度も眺め、自分の過去のおかしな失い方に対する小さな滞りの思いを、傍から眺めていた。
達人はこちらを向いたような気がした。達人の域になると、プレイ中を誰かに見られることをさほど気にする事はないのだが、他者の視線が懐かしいのだろう。台のディスプレイが黒くなり、次の戦いの場面に移るほんのわずかの時に、画面越しにこちらを見たのがわかった。
駄菓子屋のゲーセンにイスなどない。立ってレバーを動かす彼は、中腰だった。背がひょろ長く、赤と白のボーダーシャツを着ている。汗で、背中の半分は肌色がすけて骨の出っ張りが見えていて薄気味悪い。ジーンズのベルトのあたりが薄っすらと墨のかかった様になっていた。
夏の日差しにより、必殺技コマンドの載ったシールは色褪せて、ほとんど読み取れない。キャラクターの顔が何とか視認できるが、どうしようもない気持ちばかりが目立つのだった。
あれだけ付き合っていたものは、気付けば1歳も年をとらぬうちに、こんな風になってしまうのか。この達人と僕と、このゲームと…。取り残されている時間でもなく、進行形でもない、誰かが掛け声を上げて過去へ過去へと押し流そうとする力学に、しかたないと思いたい無力を感じていた。
僕は今、50円持っている。向かいあう対戦ではなく、横に並ぶ形の対戦、しかもこの暑さ。道路からは、駄菓子屋の主人がまいた水がもうもうと立ち込め、蒸されている気分だ。
挑戦するのか、しないのか。多分、ここで挑戦して、もし負けたなら、僕は二度と、女騎士に対していい思いをしない。いや、僕が女騎士と想像の中で戯れようとした時、必ず達人の顔が思い浮かぶ事になる。それだけはだめだ、と僕は思った。自分の脳を自由自在にコントロールできたのなら、何もおそれることはないが、今は本当に恐れを抱いている。これは勝負だ。本物の、己の自意識の支えと支えの戦いだ。ある時ではそれは愛国心であり、過去であり、病気の克服施設であり、家庭内暴力であり、読書であろうが、僕の場合はそのどれにも入らない。そのものだ。ゲームの内容物を支えとし、そのゲーム自身をして勝負する事は、家庭内暴力によって人生を、愛国心によって戦争を、過去によって文化を、病気によって現実を、読書によって曖昧さを勝負していく事と比にならない。全てをかけるとはゲームにしか存在しない。僕も彼と同じく、肩から腰から、冷たい灰みにシャツが変わっているかもしれなかった。
気付けば達人はラスボスに到達していた。
電柱のセミの声が喧しくなった。
体力メーターをよく見ると、彼は瀕死だった。最後のボスは、選んだキャラクターが褐色のシルエット状になったもので現れるのだが、まだ半分以上も体力メーターが残っている。
彼の猛攻撃は凄まじいものであったが、CPUは全てを知っているかのようにガードし、一気に反撃するのだった。変にCPUのレベルが高く設定されている。いや、高いどころではない。そのままあっさり達人は敗れてしまい、最終ラウンドに突入した。
まもなく、僕が見たのは、画面にあっというまにKOの文字がうつることだった。呆然と達人は画面を見ていた。きっとホッとしたに違いなかった。ああ、所詮、CPUは、高く設定されていたり、低く設定されていたり、それだけで、何の物語もない。駄菓子屋の主人の自由自在じゃないか。俺が相手したのは何だったんだ。くだらない。きっとこう思っているに違いなかった。女騎士は、頭から血を流して「くっ!まだいける」といいながら、コンティニューのカウントを睨んでいる。
達人は台を、渾身の力をこめて殴った。画面は黒い画面になり、白い文字でエラー表示がうかんだ。達人はこちらを振り返ったようだったが、僕は何も見ていないふりをして歩き始めた。あの褐色のシルエットのラスボスは、実は僕の操る女騎士だったんだ。そして倒した女騎士も、きっと僕の操る女騎士に違いなかった。僕は少し振り返った。達人の姿はなく、外の様子を見に来た駄菓子屋の主人が、容赦ない太陽のもとでセピア色になった台の故障に気がついたようだった。
心について
なぜ、僕は切ない気持ちになったのだろうか。
きっと彼女の姿がわからないからで、そして、彼女はPCの向こうにいるからだ。
雪の降るころには、駄菓子屋から女騎士はいなくなっていた。撤去されたのだ。達人もいなくなって、新しい和服の女が、精悍な漁師の姿をしたキャラにいたぶられKOされていた。あの台はどこへいったのだろうか。僕や達人が操ったあの女騎士は、この世界のどこかで、どこかマイナーな、寂れたゲームセンターか、ガキが集まる路地裏で、コインを入れられるのをじっとまっていて、何度もオープニング映像を演じているのかもしれなかった。
この彼女が―――日記の彼女がいっていた「あなた」とは、きっと僕のことだろう。もういない、女騎士に、乾杯できるか。いや、とても乾杯する気持ちにはなれない。ただ静かに祈りを捧げたかった。
ルールについて
僕は部屋から一歩も外へ出ないルールを作ってしまったのだった。
家族の姿を見ないで生きることに決めたのだった。
ご飯は、いつもはついたてで閉まっている引き戸をわずかに開けて手渡しして貰うのだ。よく見ると髪の毛のけっこう落ちているカーペットの上にお盆をおいて、背を丸くして食事するのだ。それがなんとも惨めだけれども、家族の姿を見てしまうことよりはまだましだった。
「見てはいけない」という法律のようなモノを作ってしまったからには、自分を納得させるまでとことんその法律を打ち破る方法を考えなければならなかった。けれども、それは途方もない難問だった。まったくの根拠もなくつくられたルールなんだから、原因が存在しないのだ。だから、解決しようにも、まともな方法では無理だろう。例えばショック療法とか、そういう方法をされるのは、僕の常に恐れるところであった。
先生はこんなルールを作っていく僕を見てなんていうだろうか。君は甘えているだけなんだよ。君は恐れているだけなんだよ。自分自身に。
そういうことをいうに決まっていた。
それにしても蒸し風呂並だ。部屋の中を締め切っているからだ。温かいご飯も、憎らしくなるほど、びっしょりと汗をかいてたべた。食べた後、こちらから家族に話しかけて回収してもらおうとはおもわない。僕の作ったルールの付属のルールとして、家族にこちらからは話しかけないというものが、たったいま存在してしまったからだ。
横になって、テレビを見ているうちに眠ってしまいそうになった。パソコンは、この暑さじゃ故障してしまう。本を読む環境でもないのだった。
起き上がってベランダへでて、小便をしていると、マンション中に、じょぼじょぼじょぼと音が響いた。
尿をふまないようにして部屋に戻って、少し横になった。たちまち眠気がやってきて、どうせ寝ることしかないのだし、そのまま女騎士のことを考えてばかりいることにした。
服は湿りきっていた。こもった部屋の感触が、重たくなる思いがして、起き上がるのも一苦労だった。
Tシャツとパンツだけになってはみたが、目が乾いて慰めも思い浮かばない。
音楽はテーマソングからBGMになり、PCのディスプレイでお気に入りのページを見ては、消し、見ては、消し、繰り返しているうちに、15分たった。そして、5分休憩して、誰もいないリビングへ飲み物を取りに行くのだが、作り置きしていたコーヒーが、レンジの中でじっと冷たくなっており、暖めなおして表面を見ると、水で洗い流しきれていなかったか別の食器から流れ込んできていたかわからないが、油の様なものがびっしりと浮いていた。
湯気を立ててコーヒーは、11時半過ぎた薄暗い台所を静かに流れていった。
僕は部屋に戻ると、窓をあけた。
風一つなかった。
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