詩人 eARTh

上にある作品ほど新しい詩です。


風 船


膨らんでいく



君という 重い空気が

僕の中を支配して

風に 乗れない


辛うじて周りを包む 僕の意思は

薄く・・・


そして 張り詰めていて



君という 存在の大きさに

張り裂けそうだ


最期に 針 を突き刺すのは

君だろうか


それとも 僕だろうか

2002/4/13(Sut)



人間


愛はふたつ

男と女との愛は
自分の幸せを祈りつづけ

人と人との愛は
その人の幸せを祈りつづけ


いつか僕らも
人間になりたいね

2001/10/24(Wed)



紅葉


赤い葉っぱが目立つのは
周りに緑や黄色の葉っぱがあるからだ

今この森は
赤い葉っぱをたくさん作ろうとしている
夏の木々にペンキを塗って

もう止めておくれ
砂漠になる前に

森が支配しようとしなくても
葉っぱたちは自然に身を任せ

赤くなるべき時は赤くなるだろう
枯れるべき時は枯れるだろう

そしてまた 生えるだろう


日本という森よ

2001/10/24(Wed)



空 ―神―



空は僕に語りかける

「何してるの?」

僕は答える

「空を見てる」


「私の中に何を見てるの?」

「いろいろ・・・」


「いろいろって?」

「あの人の顔、思い出、未来・・・」


空を見て 空を見ず
見上げれば 悲しみ も 幸せ も
全ては 僕の歩いてきた 足跡のように

もし神が居るのなら
確かにその居場所は 空に・・・


2001/10/23(Tue)



      風



海 に 吹く
        潮 の 風

森 に 吹く
        緑 の 風

街 に 吹く
        冷たい 風

君 に 吹く
        愛 の 風


僕 に 吹くのは


  どんな 風 だろうか

2001/08/10(Fri)



   マメの気持ち



小さい頃 ミノワさんのお家にもらわれました
ボクはちっちゃくて とてもかわいがられました
アタマを撫でてくれるミノワさんの手のひらは温かくていい気持ち
このお家が新しい住まい
みんなと仲良く楽しく過ごしたいナ
幸せが当たり前のことになりつつありました

ボクは少し大きくなりました
その頃からボクはなぜかお家に入れてもらえなくなりました
雨が降っても 雪が積もっても 嵐が吹いても 狂った暑さでも
ボクは一日中 その幸せなお家に入れてもらえなくなりました

  最初は 悲しくて寂しくて
  どうしてひとりなのかわからなくて  
  迷いながら行くところもなく
  結局この塀の上で今日も夜を明かすのです
  

隣のお家にもボクの仲間がいます
いつもその仔たちは暗くなるとお家のヒトが探しに来て
ドアを開けて一緒に中に入っていきます
ボクはひとり残されていつもの塀の上でしばらく泣き続けます
でも誰もボクを連れていってはくれません

ああ、ボクはこのお家にもらわれたのではなかったの?
ほんのひと時の幸せが 今のボクを苦しめます
またあの時のように優しい手のひらでボクを撫でて
「マメ、マメ」って優しくボクを呼んで
たまにキスして 一緒に寝てほしいよぉ・・・

  今では 悲しみよりもひもじくて惨めで
  冷たいコンクリートの塀の上
  泣いても泣いても
  何も返ってこない何も変わらない

  あの灯りの中に戻りたい
  せめて誰かボクの近くに少しだけでも居て下さい

ただ毎日このコンクリートの塀の上で
あの茶色のドアを見つめながら
優しいミノワさんが笑顔でボクを出迎えて いつかまた
あの温かいお家の中に入れてもらえることを想像しながら
泣くことの無意味さを知り尽くし、だけど、また泣くのです

ボクにも一応・・・カンジョウがあったのです
ボクにも一応・・・イノチがあったのです



誰も聞いてくれない言葉だけど・・・「さようなら」




(隣のうちのトラ猫「マメ」。
マメは最近、ついに姿を見せなくなりました。
マメの代わりにとの、せめてもの訴えの詩です。)

2001/08/04(Sat)



      創 造



  道  に


      迷 え ば



    新 た な


  道  が


     創 ら れ る

2001/07/27(Fri)



      既知の未来



未だ来ぬ未来は
未だ知らぬ未知でも
形あれば壊れ
出逢いあれば別れあり
愛すれば悲しみ
生あるものは死ぬ

愛は悦びを与え
だがその陰には
とてつもなく深い哀しみをも
絶対的に約束している

この癒すことのできない
永久不変の事実の中で
俺たちは必ず訪れる
その深い哀しみに向かって走っている

こんな事実は
触れたくない 隠していたい 封印したい

だが敢えて語りたい

 俺たちは知っている

 究極に愛するお前とも
 いつか別たれる時が来ることを

 ただ 今は  愛しつつ・・・

2001/07/18(Wed)



ウラハラ


「信じたいの」

そう思った私はもう
信じられなくなっている


「諦めたいの」

そう思った私はでも
しつこく情熱を燃やしている


「わからないの」

そう思った私はすでに
真実を嫌というほど理解している


「愛したくないの」

そう思った私はまだ
愛したくてしようがない

本当は愛したくないのではなくて
これ以上

「哀しみたくないの」

2001/07/18(Wed)



   人生


海は遍く
       無垢さを包む
                 麗しき 貴方のために

花は狂おしく
         虚無さを羨む
                  芳しき 貴方のために

雨は優しく
        涙を洗う
              哀しき 貴方のために

空は惜しむらく
          未来を憂う
                  儚き 貴方のために

炎は激しく
        過去を炙る
                罪深き 貴方のために

月は尊く
       密かに見守る
                 救えなき 私のために

2001/07/08(Sun)



砂漠に溜める海のように


君との記憶  キレイな記憶

キレイなほど 悲しくて
キレイなほど 忘れたい

君との記憶  キレイな記憶

キレイなほど 要らなくて
キレイなほど 壊したい

君との記憶  キレイな記憶

キレイなほど 醜くて
キレイなほど 汚したい


君との記憶  僕だけの現実

いつしか この 意識の海に 広がった
忘却しきれない 残酷な 記憶たちが

いつしか 時流という 麻薬によって
渇ききった 心の中で

砂漠に溜める海のように

少しずつ 少しずつ

懐かしい ただの思い出に変わるまで
美しい 一枚のページに変わるまで

2001/06/27(Wed)



   無期懲役


私はいったい どうすればいいのでしょう

この海に 貴方の波紋は 容赦なく広がり

幾度となく 私を波打ち

何べんも何べんも 私の心を 揺らすのです


私はいったい どうすればいいのでしょう

この空は 貴方の色に 隙間なく染められ

たまに射す 光を浴びようとも

貴方の存在に 私の全ては 塗りつぶされているのです



私はいったい どうすればいいのでしょう

この牢獄で 貴方を理想化し 美化した罪を償えず

心の底に 意識の底に 世界の底に 空気の底に

充満してしまった 貴方の虚像に 繋がれているのです


極刑を告げられたのに 背負ってしまったのは

無期限に 果てしの無い 十字架でした

2001/06/24(Sun)


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