詩人 natuko

上にある作品ほど新しい詩です。


  予見


ひとりの女の子が
やがて 捨てられるであろう
小さな集団の中から
遠巻きのベンチでは
ひんやりと風が毒気の匂いと
惨酷に囃したてる子供達の声を届ける
わたしというおとなが
おとなという魔物が
無意識に盛りこんだ言葉の毒素が
巡り巡って
みそっかすや
乱杭歯の
子供達の口許から発散された
女の子は泣くのだろう
顔を覆いながら 坐り込んで
永遠に終わらない
かごめかごめのように
闇のような遊びの中で
わたしは
ひとりの女の子が
砂埃の舞い上がった瞬間に
歯を剥き出して
集団に向ったのを見た
予見は見事にはずれ
冷淡な言葉は
石ころや木切れで
切裂かれた
慄く子供達が
後ずさりを始め
ひとりの女の子が
背中でいきをしている
おとなの予見は
弱いものが立てない世界だ
でも
ひとりの女の子が
自由の女神のように
立ちはだかって
肩をいからせている
腹立つべきときは
やってやるのだ

子供達の
予見も外れて
野良犬のように獰猛な
女の子の瞳に
小さな嵐が
はじまった広場

2002/04/27(Sat)


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