chapter-105 生産緑地  
[2017.10]

■ 第二産業道路・・・・・・・・・・・・・・
 

[ 4車線化した大和田立体(2017年) ]
   さいたま市内を南北に貫く幹線道路のひとつに第二産業道路があります。4車線の都市計画道路ですが、ところどころで2車線に絞り込まれその前後では渋滞が発生しています。
 2車線に絞られている箇所のひとつであった東武野田線のアンダーパス部分約0.9㎞が、2017(H29)年7月にようやく4車線で通れるようになりました。野田線のとの立体交差本体は昭和50年代には完成していましたが、未買収地があったため暫定的に2車線になっていたようです。


[  残る2車線区間(2017年):区画整理で造られた ]
   残る2車線区間は東大宮駅付近JR宇都宮線高架の前後の約1.4㎞のみになりました。この区間は土地区画整理事業により造られましたが、当時は都市計画の幅が狭かったので歩道を設けると片側1車線しか取れず、現在でも上下線合わせて2車線の道路となっています。
 野田線付近の暫定2車線が解消され4車線で通行できる区間が長くなったので、混雑に加え東大宮駅付近は混雑に拍車がかかりそうです。早く全線4車線でスムーズに通れるようになることを誰もが望んでいると思います。


■ 都市計画道路3・4・83指扇宮ヶ谷塔線・・・・


[ ロヂャース大和田店(2017年) ]
   さて、4車線になった東武野田線のアンダーパス部ですが、北側の畑だったところにロヂャースマート大和田店が2016(H28)年5月に出店しました。ロヂャースは、埼玉県南部で安売り量販店の店舗を展開している古株で、昔は廃業したボーリング場をそのまま店舗に使っていたので、床にボーリングのレーンが残っているところもありましたが、最近は新しく建物を建てて出店しています。
 大和田店はロヂャースマートという店名からもわかるとおり食料品を中心としたいわゆるスーパーマーケットなので、これまでのロジャースと違い建物は小ぶりなお店です。ロヂャースマートは平面駐車場はなく、2階と屋上が駐車場になっています。
 

[ きずなひろば(2017年):さいたま市の看板 ]
   裏にまわると細長い広場があるのですが駐車場ではなく、さいたま市が建てた「大和田第一きずなひろば」の看板には、市有未利用地を暫定的に活用したスポーツもできる多目的広場と書かれています。
 さいたま市の都市計画図を見ると、この土地は「3・4・83指扇宮ヶ谷塔線」という幅18mの都市計画道路が計画されているところで、市が土地を買収したものの当面は道路として使わない(使えない)ので、多目的広場として使えるようにしています。多目的広場に整備されたのは2013(H25)年ですが、都市計画道路の用地として買収されたのはさらにその20年くらい前です。
 

[ 多目的広場の先にロヂャースマート(2017年) ]
   ロヂャースマートは「大和田第一きずなひろば」の延長線上にあり、都市計画道路3・4・83指扇宮ヶ谷塔線の計画がかかっています。「大和田第一きずなひろば」になっている土地を市がどのような経緯で買収したのかわかりませんが、当時は都市計画道路を造る意思があったか、すぐに道路を造れないにしても第三者が購入し建物を建てられると、買収が難しくなると考えていたはずです。
 しかし、どういうわけか約20年後は、同じ都市計画道路の予定地にロヂャースマートという店舗が建ってしまいました。


■ 都市計画法第53条・・・・・・・・・・・・
 

[ 3階建住宅(2017年):最近は3階建住宅ても普通 ]
   都市計画道路が予定されている土地に建物を建てる場合は、都市計画法第53条により都道府県知事(政令市は市長)の建築許可が必要です。
 53条の許可基準は、54条第3項にあるとおり
 イ 階数が二以下で、かつ、地階を有しないこと。
 ロ 木造、鉄骨造、コンクリートブロツク造その他これに類する構造であること。
かつ、容易に移転し、又は除却することができるものであると認められること
とされています。
 しかし、遅々として都市計画道路の整備が進まず、都市部の地価が高いところでは三階建住宅が増え基準緩和の圧力が高まり、現在では基準を緩和して運用しているところが増えています。
 さいたま市の現在の許可基準は、ロは同じですが、イは「階数が三以下で、かつ、地階を有しないこと。」となっています。
 

[ 東京都不忍通り(2016年):53条制限がかかっている部分は3階まで ]
   普通の住宅であればやむを得ない基準とは思いますが、小ぶりといえども店舗面積が2835㎡もあり138台もの駐車場があるロヂャースマートは、簡単に移転できそうにありません。これでは何のための都市計画制限なのかさっぱりわかりません。
 大都市圏は鉄道などの公共交通機関が担う交通も相当量あるので、地方部の道路のように渋滞なしで走れる道路は無理なお願いですが、歩道もない狭い道路を大型車がひっきりなしに通ることのないように最低限の整備は必要です。



■ 生産緑地地区・・・・・・・・・・・・・・
 

[ さいたま市都市計画審議会資料の抜粋:削除する区域にロヂャースマートが建つ ]
   ロヂャースマートが建っている土地は、3・4・83指扇宮ヶ谷塔線という都市計画のほかに大砂土東44号生産緑地地区という都市計画も定められていました。大砂土東44号生産緑地地区は2015(H27)年12月21日開催のさいたま市都市計画審議会において、都市計画変更が議題にあげられています。
 変更の内容は、生産緑地法第14条の規定に基づき、地区の一部について行為制限が解除され、面積約1.41ヘクタールのうち約0.31ヘクタールを削除し、残りは3地区に分割して生産緑地地区を継続するという内容です。
 生産緑地法第14条に基づく行為制限の解除とは、
  ・生産緑地地区に指定されてから30年以上経過した場合
  ・農林魚業の主たる従事者の死亡または故障の場合
いずれかの場合に至ったとき所有者は、市町村長に対し買取り申出をすることができますが、買取ってもらえない場合は生産緑地としての管理や建築などの行為の制限が解除され、市街化区域内の土地として使えるようになるのです。
 

[ 大砂土東第44-2号生産緑地(2017年):分割された生産緑地 ]

   ロヂャースマートは、生産緑地地区から削除された約0.31ヘクタールを含む土地の上に建てられています。
 不思議なのは、削除された約0.31ヘクタールには3・4・83指扇宮ヶ谷塔線の都市計画がかかっているにもかかわらず、買取り申出をされたさいたま市が買取らなかったことです。「大和田第一きずなひろば」の土地を買取ったころに比べ、この都市計画道路を造ろうとするさいたま市の意思が低くなってしまったのでしょうか。
 3・4・83指扇宮ヶ谷塔線は、国道16号の上江橋付近から岩槻IC付近の国道16号を結ぶ10.8㎞もある道路ですが、それでも大宮駅北側の東大成小学校前は鉄道アンダー部分を含め完成している区間もあるので、これからも整備が進められていくはずです。


[ JR交差部(2017年):アンダーパスで完成している ]
   バブル景気がはじけて以降の日本経済は低迷を続けていますが、年金・医療・福祉などの社会保障にかかる費用は上昇を続け、GDPに占める社会保障費の割合は1975(s50)年度は7.7%でしたが、2014(H26)年度は22.9%と3倍に激増する一方で、生産活動に従事する人口は減少に歯止めがかかりません。。
 さらに政権交代の影響もあり、公共事業費予算が大きく削減される厳しい財政状況では、政令市さいたま市といえども買収できなかったのでしょう。農地の状態で買収できればほぼ土地代だけで済みますが、建物があると土地代に加え移転補償に大きな費用がかかります。建物によっては土地代よりも高くつきます。
 

[ 後退部分(2017年):指扇宮ケ谷塔線の計画に沿って後退 ]
   3・4・83指扇宮ヶ谷塔線はロヂャースマートの建物の真ん中に計画されていますが、建物のその部分だけを切取って土地を買収し道路を造ることは不可能です。建物を丸ごと移転できる補償費用がもらえなければ、土地を売ることに同意する人はいないでしょう。
 生産緑地の買取り申し出という用地買収のチャンスがありながら、将来的に余計な支出をせざるを得ない状況になってしまいました。
 いつの間にか、ガソリンなど車の燃料にかかっていた税金が道路整備以外の目的に使われるようになりました。ガソリン代を払う側からすれば、負担した税金が何に使われているのかわからないよりも、道路の整備や管理に使ってくれた方がまだ納得がいきます。




 


おまけ   [ 中華そば 蛍 ]
 大和田立体南側の交差点を西方向に曲ると、畑の中に見える中華そばやです。中華そば、つけ麺などメニューも結構あり、お昼時は店外にお客さんが並んでいる人気店です。つけ麺の魚介系スープは万人受けする味だったかと思います。駐車場は結構広いのですが、休日のお昼時は入れないこともあるので要注意です。


 
<参考資料>
○記者発表資料 第二産業道路(大和田工区)の4車線化供用開始
  (平成29年7月20日 さいたま市道路計画課)
○さいたま市告示第1447号 大規模小売店舗立地法第5条第1項の規定による届出の概要
  (平成27年11月2日 さいたま市商業振興課)
○さいたま市ホームページ スポーツもできる多目的広場のご案内
  (http://www.city.saitama.jp/004/006/003/003/p017298.html)
○H27-2【議案書】議案第341号 さいたま都市計画生産緑地地区の変更について
  (平成27年12月21日 さいたま市都市計画課)
○さいたま市 都市計画法第53条第1項の許可に関する審査基準について
  (さいたま市都市計画課)