chapter-118 まだ現役 
[2018.05]

■ 定年・・・・・


[  年金手帳 ]
   日本人の平均寿命は延び続け、男女ともに80歳を超えています。これにつれらて年金受給年齢も引き上げられ、現役で働かなければならない期間もの延びつつあります。60歳になれば受けることができた年金は、支給開始年齢が段階的に引き上げられ65歳にならないと受給できません。
 元気で楽しく働けるのならば、家に居て”ぬれ落ち葉”と嫌味を言われ肩身の狭い思いをするよりも、現役期間が延びたほうが有難く思います。しかし、ブラックな企業であったりパワハラ・セクハラでストレスを発散するような上司・同僚がいるような会社とは早く縁を切りたいものです。
 

[ 百歳万歳(2013年):お店の前でうたた寝のお年寄り ]
   外国では、法律で定年が禁止されいたり、年金給付年齢になると雇用関係を終了する事前取決めをしたり、定年年齢が明確に決められていない国もあるようです。しかし日本と同様に寿命が伸びることにより年金制度の維持が厳しくなり、受給年齢引上げの動きがあるようです。


■ 建物の定年・・・・・


[ 取壊し中の建物(2018年) ]
    自動車は車検を継続しなければ乗れなくなるので、”車検切れ=定年”となり廃車または輸出され海外での活躍となります。一方、建物は建築確認を受けて建てた後は、用途によって消防法などの検査はありますが、建物本体の検査はないので使い続けることができます。
 地震の多い日本では、1978(S53)年の宮城県沖地震を機にいわゆる新耐震基準が1981(S56)年に定められました。以前は「震度5程度の地震で倒壊しない」ことが基準でしたが、新耐震基準では「震度5程度の中規模地震でほとんど損傷しない」かつ「震度6強~7の大規模地震で倒壊・崩壊しない」こととされたのです。
 

[ 耐震補強(2018年):防災のパイオニアは耐震補強もしっかり ]
   その後に起きた阪神淡路大震災では、旧耐震基準で建てられた建物の被害が大きく、新耐震基準による耐震改修を促進しようと法律ができました。耐震診断を行うとともに耐震改修や建替えを促進するものですが、耐震性能を満たしていなくても使用禁止にはなりません。ただし、学校、病院、店舗、ホテル等の不特定多数が利用する大規模な建物は、『要緊急安全確認大規模建築物』として耐震診断が義務づけられ結果が公表されます。
 

[ 空家(2018年):倒壊寸前 ]
   建物が新耐震基準で造られていても耐震改修されていても、使われないと荒廃するのに時間はかかりません。日本の人口はすでに減少傾向に入り特に地方部の人口減少は顕著で、管理する人がいない空家は社会問題になっています。2018(H30)年4月に愛媛県で脱獄した窃盗犯は、空家の多い島に逃げ込んだため捜索が難航し、逮捕まで3週間以上という長い時間と多くの警察官が投入されました。



■ フランス屋・・・・・
 

[ 時の鐘(2018年):耐震補強済み ]
    歴史的な価値がある建物や芸術性に優れた建物は、価値を損なわないように維持・補修され耐震改修も行われますが、普通の建物はある程度古くなれば余計なコストをかけてまで耐震改修する人はいません。古い建物は耐震改修するよりも、取り壊され最新の基準に適合し最新のデザインで建替えられるのが普通です。
 古くなりいずれ取り壊される運命にある建物でも、街中にはいまだに現役として頑張っている建物を見かけます。懐古主義ではありませんが、陰ながら応援したくなるものもあります。
 

[ フランス屋(2018年):お客さんは? ]

   浦和駅西口のさくら草通りにある下着・靴下の専門店です(そのように看板に書いてある)。さくら草通りは、西口に伊勢丹・コルソが入る再開発ビルが建設されたため、駅前広場と分断され歩行者道路になりましたが、その前は駅前につながり車も通る道でした。歩行者道路になる前は郵便局通りと呼ばれ、沿道には飲食店や物販店が並んでいました。
 フランス屋はその中の一軒で店頭にたくさんの商品を並べているのですが、購買意欲を誘う雰囲気はありません。店先に貼られた宣伝は筆で書かれた手作りで、商売に励むというよりはご近所の知人が来てくれるのを楽しみに待っているようなお店です。
 1973(S48)年の住宅地図には「フランス屋」とあるので、さくら草通りができるかなり前から現在まで、建物・経営者ともども頑張っています。
 

[ フランス屋(2018年):手書きのびら ]

■ 全浦和最古の鉄筋四階建ビル・・・・・
 

[ 北浦和駅前(2018年):駅前広場に面して立つビル ]
   北浦和駅西口の駅前広場に面してたつビルのひとつです。何の変哲もない4階建てのビルですが、階段入口の横に「当建物は全浦和市最古の鉄筋四階建ビルです」とわざわざ掲示しています。
 このビルは1952(S27)年の空中写真には見当たりませんが、北浦和駅西口の土地区画整理事業が完了した後の1961(S36)年の写真にはそれらしい建物があるので、1960年前後に建てられたようです。この頃であれば旧浦和市内に鉄筋コンクリートのビルは少なからずあったはずですが、2階、3階、5階のビルはあっても「鉄筋四階建」は存在しなかったのでしょうか。
 

[ 階段室(2018年):古いけどきれいにしてある ]
    ビルの外装はいま風に改修されているので、古さは感じません。1階は不動産屋が営業しているので内部を見ることはできませんが、2階へ上る階段室は見ることができます。ここもきれいに塗り替えられています。
 郵便受けは昔の公団住宅にあるような鉄製の箱型で、何回もペンキを塗り重ねたようで年季が入っています。建物の使い方が建築当初と変わったようで、電力計やブレーカ-が郵便受けの横に剥き出しで取り付けられていました。
 

[ 手摺(2018年):きれいにされてます ]
   階段の手すりは鉄製ですが、支柱は鉄の細長い板にひねりを入れた螺旋状の柱と二本の鉄の棒を一組にした柱を交互に配置しています。凝ったデザインでも高価な材料を使ってるわけではありませんが、シンプルでリズム感のある意匠です。
 床も建築当時のものが大切に使われているようです。
 

[ 全浦和市最古だそうです(2018年) ]
    この建物がある一角は駅前の一等地で、小規模な建物が多く2階建ての建物やコイン駐車場もありますが、1000㎡に満たない小さな街区なので再開発やマンションへの建替えには小さすぎるようです。
 どのようにして「最古の鉄筋四階建ビル」であることを確認したのかわかりませんが、これからも大事に使っていこうとする心意気を感じました。



■ 極楽旅館・・・・・
 

[ 安比スキー場(2018年):外国人にも人気 ]
   海外からの旅行客が増え、都内や観光地では宿泊施設が不足しているようです。外国人観光客が使うとは思えないところにある宿泊施設に、キャリーバックを引きずった外国人観光客が出入りするのを見かけます。また、これまではいわゆる観光地に多くの外国人が訪れていましたが、最近はスキー場などのリゾート施設を訪れる外国人も当たり前になりました。
 バブル期のスキーブームに乗ってスキー場の数はピークに達しましたが、その後のスキー人口の減少により閉鎖に追い込まれたところもあります。一方では外国人の宿泊によって復活の兆しが見えるところもあるようです。自然に大々的に手を加えたリゾート施設なのですから、日本人のみならず外国人にもお金を落としてもらい長く大事に使ってほしいものです。
 

[ 極楽旅館(2018年):三ノ輪橋駅近くで格安 ]
    都内で頑張っている宿泊施設を発見しました。都電三ノ輪橋駅に近くの「極楽旅館」という旅館で、「一泊1200円~」と超格安です。入口と思しきところには「極楽荘」と掲げられているので、古い木造アパートから旅館に鞍替えしたのか、一部の部屋を”民泊”用にあてがってるのかもしれません。
 外見からルームタイプは、6畳又は4.5畳一間で風呂なしトイレ共用かと思われます。寝るだけと割り切れば安い宿ですが、さすがに外国人客が泊まるには無理がありそうです。客引きの看板も日本語だけで書かれているので、外国人はご遠慮願っているようです。
 

[ 赤坂プリンス(2014):ここに赤坂プリンスホテルがあった ]
   日本では建物の構造的な寿命が来る前に、用途の変更・変化により取壊されることが多いので、20年,30年も経たつと街の様相が大きく変わってしまいます。海外から見るとこれも日本の魅力のひとつなのでしょうか?



   

 



おまけ [ 土手の伊勢屋(2016年) ]
 三ノ輪の少し南、吉原大門の近くにある有名な天ぷら屋です。建物は関東大震災で全壊し1927(S2)年に建て替えられ、第二次大戦の空襲を免れた数少ない木造建築です。天丼(写真は天丼ロ)は様々なグルメ雑誌などで紹介される絶品ですが、建物も一見の価値があります。
 
<参考資料>
〇建築物の耐震改修の促進に関する法律の概要
   (平成7年12月25日施行 平成25年11月25日改正施行)