chapter-129 商店街の盛衰 
[2019.04]

■ 商店街の数・・・・・


[ 武蔵小山PALM(2019年):長いアーケード  ]
   最近のTV番組は予算が厳しいのか、東京近郊を巡る旅番組が多いように感じます。鉄道や路線バスで目的地まで行く途中、乗り換えの待ち時間でその土地のお店に入り買物をしたり、食べたり飲んだりおしゃべりしたりと、誰にでも楽しめそうなプチ旅行として紹介されています。
 鉄道やバスなど公共交通機関が多いところとなると建て込んだ地域が多いためか、商店街や街角のお店がよく紹介されています。
 

[ コルソ(2019年):再開発により駅前商店街が移転したビル ]
  商店街と言いますが、商店街の明確な定義はないそうで中小企業庁が行った「平成27年度 商店街実態調査」では、次項を満たすものを対象としています。
①小売業、サービス業等を営む者の店舗等が主体となって街区を形成している
②これらが何らかの組織(法人格の有無、種類を問わない)を形成している 
 この条件を満たせば商店街になるので、ショッピングセンターやショッピングモールも該当し、駅ビルや寄合百貨店はビルひとつで商店街になれます。
 この調査では全国に14,655の商店街があり、最も多いのが東京都の2,623、2位が神奈川県の1,118、3位はなんと埼玉県で1,022もあります。商人の街大阪は4位の990で、愛知県は人口の割に少なく239しかありません。商店街の数は関東が優位のようです。ちなみに最も少ないのは鳥取県の30でした。


[ 前地商店街(2019年):一方通行の狭い道 ]
   中小企業庁が行った調査のほかに埼玉県による「平成28年度 商店街経営実態調査」では平成26年度の商店街は920、28年度は914となっており100以上の差が生じています。調査は商店街振興組合法に基づく商店街振興組合と中小企業等協同組合法に基づく事業協同組合及び任意団体を対象としていますが、任意団体の数をとらえるのが難しいのかもしれません。



■ 商店街の種類・・・・・
 

[ 銀座(2013年):超広域型商店街 ]
    商店街は小さなお店だけが集まったもの、大きなショッピングセンターにつながっているもの、銀座のように超有名店が集まっているものまで様々な形態があり、一般的に4つのタイプに分けられています。
 
近隣型商店街 最寄品が中心で地元主婦が日用品を徒歩又は自転車などにより買物する商店街
地域型商店街 最寄品及び買回り品を扱う店が混在し徒歩、自転車、バス等で来街する商店街
広域型商店街 百貨店、量販店を含む大型点があり、最寄品より買回り品が多い商店街
超広域型商店街 百貨店、量販店を含む大型店があり、有名専門店、高級専門店を中心に構成され遠距離から来街する商店街
最寄品: 消費者が頻繁に手軽にほとんど比較せずに購入する物品。
加工食品、家庭雑貨など。
買回り品: 消費者が2つ以上の店を回って比べて購入する商品。
ファッション関連、家具、家電など。
 

[ 巣鴨地蔵通商店街(2018年):インバウンドも来る観光地 ]

    広域型商店街や超広域型商店街となると大都市の繁華街、駅前に立地する商店街で、最近はインバウンドも多く訪れる観光地に近い存在です。また、交通量が多い道路沿いの商店街は、多くの人が思い浮かべる商店街のイメージとはかけ離れています。


■ 近くに欲しい商店街・・・・・
 

[ 戸越銀座(2019年):戸越銀座駅付近の人通り ]
   近くにあるといいなと思う商店街は、サザエさんが下駄をはいて買い物に行く商店街やちびまる子ちゃんがたまちゃんと買い物に行くような商店街です。東京近郊の旅番組などで紹介されるのもこのような地域密着の商店街です。
 また、雑誌やネットなどで人気の高い商店街として取り上げられるのは、道幅が狭く歩行者専用や車両の通行規制があるような道に沿っている商店街で、4つのタイプで分類すれば近隣型商店街、地域型商店街に該当します。車道と歩道が分離されているような広い道路沿いは、商店街としては人気がないようです。
 サザエさんやちびまる子ちゃんが訪れるのはこのようなタイプの商店街です。
 

[ 中山道(2019年):地域密着の商店街とは言い難い通り ]
   埼玉県内には900以上もの商店街があるので、いたるところに商店街があるはずですが、あまり実感しません。「平成28年度 商店街経営実態調査」によると、町内会など一定の範囲内にある商店で構成され、商店街としての街並みがない「面的商店街」が43%もあるのです。これらは商店街というよりはただの商店会です。さらに、「路線型商店街」であっても国道や県道のような交通量の多い道路沿いにあり、地域密着が感じられない商店街が多いのかもしれません。
 商店街の名称が入ったのぼりや旗、横断幕でもあれば、ここは○○商店街だと分かるのですが、活気のない商店街では期待できません。目印は街路灯です。商店街の78.5%では環境整備として街路灯を付けているので、お店が少なくて商店街に見えない通りでも街路灯があればそこは商店街です(でした)。
 

[ さいたま市内(2019年):お店は減ったが街路灯は残る ]
   
■ 商店街の衰退・・・・・
 

[ シャッター通り(2017年):近くにショッピングモールがある ]
   商店街の最近の景況は、衰退している又は衰退の恐れがあると考えている商店街が7割近くあります。その中でも、立地している市町村の規模が小さいほど景況が悪く、5万人未満の都市では8割以上が衰退と答えています。また タイプ別では近隣型、地域型はそれぞれ78%、65%が衰退と答えていますが、超広域型は15%、広域型は40%のみです。
 大都市の超広域型や広域型の商店街は繁栄し、小都市の近隣型商店街、地域型商店街は衰退という、昨今の大型店の出店や大都市への人口集中の影響が商店街の状況によく表れています。
 

[ 戸越公園駅商店街(2019年):道路拡幅で左側の商店は移転する ]
   景況が良さそうなのに、風前の灯と思える商店街もあります。近隣型や地域型の商店街があるところは、住宅が密集し道路は狭く救急車などの通行さえ不便なことがあります。これを解消するために、道路を拡幅したり新設する都市計画が定められ、計画に基づき道路が整備されていきます。狭い道を拡げるためには営業中の店舗移転が必要ですが、後継者不足が懸念される状況では移転後の営業は覚束ないものがあります。また、造られる道路は車道と歩道が分離された広い道になるでの、今までの人情味ある商店街の雰囲気から激変します。広い道路ができあがったあとどんな商店街に変貌しているのでしょうか。
 

[ 事業認可の看板(2019年):道幅が3倍に広がる計画 ]
   都市計画道路が造られたことで、繁栄していると思える商店街もあります。商店街とほぼ並行して道路が整備され、商店街から自動車が排除されて歩行者専用となるケースです。たとえば、武蔵小山PALMは南側に並行して都市計画道路補助第26号線があり、計画幅より少し狭いものの歩道と車道が分離され自動車の通行に全く支障はありません。PALMは歩行者と自転車(降りて押す)の道になったので左右両側のお店に安心して立ち寄れます。
 都市計画道路補助第26号線は環状6号と環状7号の間を通る環状道路で、板橋から京浜運河までの長い路線です。中野駅前の中野サンモールの西側の道路も補助第26号線です。
 

[ クレアモール(2019年):この人通りが1km以上つづく ]
   同じような事例は川越市にもあります。県内でも有数の賑わいがあるクレアモールは、川越サンロード商店街振興組合と川越新富町商店街振興組合による商店街で、川越駅付近から北に約1kmにわたりお店が軒を並べています。
 この商店街があるのは川越城前から所沢方面へ向かう古くからある道で、明治期迅速測図でも家屋が立ち並んでいます。1936(S11)年にクレアモールの西側に幅員11mの都市計画街路第二等第二類第二号中央通北谷線が決定され、終戦までに完成しました。自動車交通が増える前に道路が完成していたので、クレアモールは通過交通が入り込むことがなく歩行者中心の通りになったのです。
都市計画街路2-3-2中央通北谷線は、1962(S37)年の都市計画見直しの際には完成していたので廃止され、現在の都市計画図を見てもその存在は分かりません。
 都市計画道路は商店街の敵になったり味方になったりのようです。
 

[ 左:1929(S4)年 右:1967(S42)年 地理院地図から切り抜き ]
(赤点線が中央通北谷線、黄色点線がクレアモール)

 


 おまけ   [ 洋食工房 陶花 ]
 戸越銀座にある洋食屋さんです。漢字で書かれた名前だけだと中華料理のお店のように思えますが、メニューに中華はありません。店内は明るく地元の方々で賑わっていました。オムライスが有名だそうですが、いただいたのはカキフライです。

 
<参考資料>
○平成27年度商店街実態調査報告書 (平成28年3月 中小企業庁経営支援部商業課)
○平成28年度商店街経営実態調査報告書「商店街の今とこれから」
 (2017年1月 埼玉県産業労働部商業・サービス支援課)