chapter-51 ミニ富士山 
[2011.12/2015.06改]

■ 富士見市・・・・・


[ 御殿場側から見た富士山(2011年):宝永火口が見える  ]
   関東各地に『富士見』のついている地名があります。『富士見市(埼玉県)』、『富士見町(長野県)』、『○○市富士見町』、『富士見坂』など、数多くの『富士見』を冠した地名がありますが、ほとんどが日本一の山『富士山』が見えることに由来しています。
 孤高の富士山の長い裾野が見せる優美な曲線や安定感ある姿は、どんな時代でも見る人の心を惹きつけるものがあり、いろいろなところから『富士山』は眺められていました。


[ ふじみ野駅前通り(2011年):区画整理で整備された道 ]
   そんな地名の一つ『富士見市』は埼玉県にあります。富士見市の隣では、上福岡市と大井町が合併して『ふじみ野市』が誕生しましたが、東武東上線の『ふじみ野駅』は富士見市内にあるので、紛らわしいことこの上ありません。当初は富士見市も合併に加わる予定で住民投票を行い合併賛成が上回ったのですが、上福岡市と大井町に嫌われたようで合併に至りませんでした。
 ふじみ野市(旧大井町)には日本初のアウトレットモール『RISM』が1993(H5)年11月に誕生しました。しかし、今ではあちこちに規模の大きなアウトレットが造られ、『RISM』は2011年6月に一部を除き閉店に追い込まれました。現在は「SOYOCA」というショッピングモールになり、地元の人でそこそこ賑わっています。
 

[ ふじみ野駅周辺(2011年):畑も残る ]
   富士見市役所のホームページには、『富士見市から見た富士山』を紹介するページがあり、荒川に近い水田地帯は富士山が良く見える絶景ポイントとしてリストアップされています。
 ふじみ野駅周辺は区画整理が行われた後も畑が残っている区画がありますが、駅に近いところは高層のマンションが立ち並び、富士山を見ることができない場所が増えてきました。街の発展ともに、徐々に『富士見市』の名が偽りになってしまいそうです。

   
■ 富士講・・・・・
 さて、いつの時代でも雄大な富士山は、信仰の山として多くの人々が登り拝む対象であり、富士講は江戸時代に最盛期を迎えましたが、戦後、富士山が観光地化すると急速に衰退したようです。
 富士講の信者は、富士山に登れない人たちのために、身近な場所に富士塚(ミニ富士山)を造り、富士詣や拝みが行われていました。富士山を神格化した浅間大神をまつる、浅間神社と呼ばれる神社も同じ系列のようで、富士講は廃れても、富士塚や浅間神社はいろいろなところで見ることができます。


[ 品川神社の横にある富士塚(2006年) ]
   板垣退助のお墓がある品川神社は、鳥居の横に富士塚があり、富士山開きの7月1日になると昔ながらの白装束で浅間神社前で拝み、その後、裸足で富士塚に登る行事が行われていて、全国的にも非常に珍しいことだそうです。
 品川神社の富士塚は周りより十メートルほど高いので、結構見晴らしのいいところでもあります。この富士塚は、第一京浜国道の建設の際に道路の予定地にあったため、現在の場所に動かされたというのですから驚きです。
 

[ 富士塚からの眺め(2006年):国道15号第一京浜と京浜急行 ]
   開発によって壊された富士塚も結構ありますが、埼玉県内にもミニ富士山が各地に残っています。その中からいいものをいくつかご案内します。



■ 木曽呂富士・・・・・
 

[ 通船堀から見る木曽呂富士(2011年)  ]
 県内にあるミニ富士山の中で有名?なのは、川口市にある木曽呂富士でしょう。
 見沼通船堀が見沼代用水東縁に交差する先にあり、台地の上に造られているため、低地側の通船堀から見ると20mほどの高さがあるように見えます。
 木曽呂富士に登るには、通船堀の反対側、台地上の住宅地から登らなければなりません。住宅地側から見ると5m程の高さで登山道もしっかりついています。
 

[ 住宅地側から見る木曽呂富士(2011年):木が茂って見晴しは今一つ ]

   ふもとにある案内板によると、1780年に築かれた埼玉県内で最も古い富士塚で、噴火口を模したくぼみが山頂にある、と書かれていますが、今ではほぼ平らになっています。塚に生えている樹木が大きくなっていますが、木曽呂富士は富士山らしい形をしている写実的なミニ富士山です。


■ 桶川のミニ富士山・・・・・
 

[ 桶川のミニ富士山(2011年):山の後ろを圏央道が通る ]
   桶川市の圏央道予定地のそばにもミニ富士山があります。道路から少し離れて、畑に囲まれたところにあるので、あたかも個人のミニ富士山であるかのように感じます。
 このミニ富士山の近くには、圏央道の用地として買収されコンクリートの基礎だけが残る住宅の跡があります。このミニ富士山も圏央道の予定地にあるのでしょうか?
 

[ 圏央道とミニ富士山(2015年):左のコンクリートは圏央道 ]
   その後、圏央道の工事が進み周りの住宅は移転し、道路の形も見えてきましたが、ミニ富士山はギリギリのところで道路用地にかからずに残されました。
 しかし、今まで管理していた周辺の人々がいなくなってしまたので、樹木は剪定されず雑草も生え放題です。雑草に覆われた姿は不法投棄された残土の山のように見えます。
 ミニ富士山は本物の富士山と違って、人の手がかけられることによって存在し得る山のようです。
 

[ 桶川のミニ富士山(2015年):雑草に覆われ登山道は通れない ]

■ 北本のミニ富士山・・・・・
 

[ 東間浅間神社(2011年):中山道沿いにある ]
   北本にあるミニ富士山は、東間浅間神社というのが正式な名称です。
 山の裾野がコンクリートブロックで覆われ、多くの樹木にが生えているので、山の形がわかりづらくなっています。石碑には、地域の鎮守として880年の歴史を有するとありますので、由緒正しい神社のようです。
 神社のまわりは結構広く、夏休みの朝に小学生が集まってラジオ体操をするのにもってこいの場所です。
 

[ 山頂への石段(2011年):両側の単管パイプはいただけない ]
   中山道から入り鳥居をくぐって神社に向かう参道は、富士山のある方向を向いているので、中山道とは直角に交わっていません。地図で見ると、参道は確かに富士山に向かって造られているのがわかります。
 山頂にある社殿ですが、1982年に大修復工事をしたのですが2005年6月に不審火により焼失し、その後地域の人々の献身的な努力により2007年6月に再建されたそうです。
 

[ 鳥居と中山道(2011年):微妙な角度で交差している ]

■ 川口のミニ富士山・・・・・
 

[ 川口神社内にある浅間神社(2011年):登山道がついている ]
   川口駅の南西に川口神社があり、その境内に浅間神社と掘られた石碑があります。この石碑はちょっとした岩山の上にあるのですが、よく見ると岩山には登山道がついているのです。日本一小さいミニ富士山と言ってもいいのではないでしょうか。
 この登山道、実際に歩いて登ることもできますが、富士山を登っているという気分には程遠いものがあります。川口というと荒川をはさんで東京に隣接しているので、住宅がぎっしりと密集していると思いがちですが川口神社のような空間も残されています。


■ 志木のミニ富士山・・・・・
 

[ 敷島神社の田子山富士(2011年):志木市の住宅地にある ]
   志木市の新河岸川右岸にある敷島神社の境内にあるミニ富士山です。1872(M5)年に造られ田子山富士と呼ばれるそうですが、2011年9月現在、東日本大震災の影響でしょうかこのミニ富士山は登れないようにロープで閉められています。しかも木がうっそうと茂っているため、ミニ富士山本来の姿を見ることができないのが残念です。結構規模の大きいミニ富士山なので、是非登れるように修繕して頂けないものでしょうか。
(地震の影響ではなく、参道の崩落が著しいので入山できなかったようで、現在では修復が終わり、入山ができるようです。http://www.tagoyamafuji.org/pg_hozonkai.html)
 


■ 春日部のミニ富士山・・・・・
 

[ 旧庄和町のミニ富士山(2012年):江戸川の横にある ]
   春日部市に合併した旧庄和町にあるミニ富士山です。千葉県と埼玉県を結ぶ宝珠花橋のたもと近くにある宝珠花神社にあり、千葉県から橋を渡ってくると左手によく見えます。まさに岩山といった様相で、富士山の溶岩を模したような山です。鳥居についている額は、地元の人の富士登山121回を記念して1833年に奉納されたそうです。
 

[ 頂上からの眺め(2012年):江戸川対岸の千葉県が見える ]
   東日本大震災の影響で一時期は立ち入り禁止になっていましたが、今では修理され登山ができるようになりました。
 ここのミニ富士山はしっかりとした登山道が造られていて、頂上まで登ると江戸川の堤防よりも高いので、対岸の千葉県側を見ることができます。まわりにある木が360度の展望を妨げていますが、あまり高い建物がないので街中のミニ富士山に比べれば登頂の喜びが味わえます。
 

[ 西宝珠花地区のメインストリート(2011年):シャターを下した店が多い ]
   宝珠花神社の周辺は、江戸川の改修により移転となった250戸の家屋を受け入れるために区画整理が行われました。河川の改修にあわせて土地区画整理を行った珍しい例で、1951(S26)年から2年間の短期間で約44ヘクタールの区画整理が行われました。
 当時は商店街も丸ごと移転できたので賑わいを維持できたそうですが、現在ではシャッターを下ろしているお店が多くなってしまいました。


■ 岩槻のミニ富士山・・・・・
 

[ 岩槻のミニ富士山(2011年):赤い鳥居は第六天神社 ]
   このミニ富士山はなだらかな山なので、よーく見ていないと見過ごしてしまいます。
 道路が拡げられてすそ野が切られてしまったようで、しかも山腹には大木が生えています。だんだんと富士山の形が崩れつつあるようです。
 ここは、さいたま市岩槻区なのですが周りは畑に囲まれていて、とても100万都市とは思えない風景が残っています。隣接する蓮田市は区画整理が行われ住宅地になっていますが、岩槻区に入ると一転して農村集落の様相にかわります。


[ 山梨県側から(2011年):どちらから見ても富士山 ]
   富士山は、2013(H25)年6月26日にユネスコにより世界文化遺産に登録され、これまでに比べ富士山登山者が激増し、山頂はすし詰め、登山道は渋滞しています。
 一方、ミニ富士山はこのようなことはありませんので、お近くのミニ富士山を探して登頂してはいかがでしょうか。 
 

[ 川越のミニ富士山(2015年):空いています ]


 



おまけ  [ 桶川市べに花ふるさと館(2008年) ]
 桶川のミニ富士山の近くにある、桶川市の関連団体が営業する「べに花ふるさと館」では、古民家が食堂になっていてうどん・そばが食べられます。土日は待つほどの人気です。うどん・そばの他に評判なのが野菜のかき揚げで、大きさは「新弟子」,「小結」,「横綱」の三段階ありますが、四人前の「横綱」を注文するときは何よりも空腹であることが必要です。
 
<参考資料>
○富士見市ホームページ
 (http://www.city.fujimi.saitama.jp/35miru/02midokoro/point/2010-0512-1743-139.html)