本庄市【緑のセンターライン】

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■センターライン



[ ローマの石畳にもライン(2018年) ]


道路を走ればどこでも見ることができるセンターラインは、上り車線と下り車線を分けるために車道の中央に引かれるラインのことです。日本に限らず外国でも上下車線はラインで区切られてます。
センターラインは路面に描かれたただの線ですが「道路標識、区画線及び道路標示に関する命令(S35.12.17総理府・建設省令第3号)」という立派な法令で定められ、「道路中央線」が正式の名称です。この法令では、路面に描かれるものは「区画線」と「道路標示」に分類され、さらに「道路標示」は「規制標示」と「指示標示」に分かれています。



[ 国道17号熊谷市内(2024年) ]


「区画線」は道路管理者が設けなければならないものですが、そのうち「車道中央線」と「車道外側線」は道路交通法の「中央線」、「路側帯」とみなすとされているので、道交法により『道路の交通に関し、規制又は指示』を受けることになります。
「道路中央線」は『車道の幅員が5.5m以上の区間内の中央を示す必要がある車道の中央』に設置する線で、このような法令で決まっているので、色、太さ、本数などを勝手に変えることはできません。ある程度の幅があり車道の中央を示す必要のない道路は稀な存在なので、「道路中央線」が引いてない道路は車道が5.5mより狭い道路と考えて差し支えなさそうです。



[ 県道石原停車場線(2024年) ]


また、この省令は、道路を走っている時にお世話になる道路標識(案内標識、警戒標識、規制標識、指示標識)も定めていて、我々の生活に意外と関係の深い法令です。カーナビが発達・普及し、目的地への案内に限らず様々なことを教えてくれますが、それでも道路に標識は不可欠です。



[ 踏切ありの警戒標識(2025年):現役です ]



■白色と黄色・・・・・



[ 国道16号川越市内(2018年) ]


「道路中央線」は4車線以上の車道の中央に設けられる場合は1本または2本の白色実線で、通常なら片側2車線の中で追い越しがでます。 2車線以上4車線未満の「道路中央線」は、白色破線で3~10mの間隔がつけられます。 一般的な道路では5m間隔の破線が多いようです。
区画線には備考があり『「車道中央線」を表示するものは、二車線の車道の区間に設ける場合においても、特に必要があるときは、4車線の車道の区間に設けるものと同じ様式のものを設置することができる。』とあるので、2車線の道路でも交差点近くは白色実線が引かれることが多いようです。



[ 吉見町の白色破線(2024年) ]


道路交通法では、車両は道路の中央から左の部分(以下「左側部分」という。)を通行しなければならないとされていますが、第17条第5項で例外が5つ定められています。
①一方通行となっているとき
②左側部分の幅員が当該車両の通行のため十分なものでないとき
③道路の損壊、道路工事その他の障害のため当該道路の左側部分を通行することができないとき
④左側部分の幅員が六メートルに満たない道路(歩道と車道の区別がある場合は車道)において、他の車両を追い越そうとするとき
⑤勾こう配の急な道路のまがりかど附近について、道路標識等により通行の方法が指定され、指定に従い通行するとき
このうち④を規制するために引かれるのが黄色実線の「中央線」です。道路交通法の規制なので都道府県公安委員会が設ける線です。



[ 県道所沢青梅線(2024年)]


主要な道路標識は、第4条によって道路管理者または都道府県公安委員会のいずれかが設置することとされています。
路面の標示はこの法令に設置者は定められていませんが、区画線は道路法で道路管理者が設けなければならないとされ、道路標示は道路交通法による規制・指示を伴うので都道府県公安委員会が設けると思われます。 設置・管理する者が違うので、修繕の時期が異なるケースもままあるようですが、最近の車は路面のラインを読み取って運転をサポートしているので、検知できないほど薄くなっているのは困りもんです。
黄色のラインの「黄」については、当初は明確な規定がなく多種多様な「黄」が使われていましたが、1978(S53)年に「道路標示黄色」という基準色が定めらました。マンセル参考値「5.5YR6.5/12」だそうですので、興味のある方は見てください。


■緑のセンターライン・・・・・


「道路中央線」「中央線」は白色と黄色に定められているのですが、埼玉県内には「緑」のセンターラインがあります。
よく見れば草が生えて緑色に見えるだけですが、カーブを曲がっていきなり目にすると「エッ!!」と思う光景です。交通量が多ければ草も生えないのでしょうが、すれ違う車もたまにしか来ない道路では、雑草も元気です。



[ 緑のセンターライン(2009年)]


緑のセンターラインがある道路は、長瀞児玉線という県道の間瀬峠付近です。対向車がほとんど来ない道路なので、ゆっくり走りじっくり見ていても誰にも迷惑をかけることはありません。
このセンターラインは、よく見ると路面より数センチほど高くなっています。ある程度の道幅と適度なカーブが連続する峠道なので、ローリング族対策としてこんな形状になっているのかも知れません。
雑草が造り出す緑色なので秋冬は黄色のセンターラインに戻ってしまいます。



[ 緑のセンターライン(2009年)]


写真を撮ってからしばらくこの道を走っていませんが、最近googleマップを見たらセンターにポールがつけられていました。ライン部分の凸はなくなったようですが、雑草がたくましく生え緑のラインを作っているところが残っていました。





<参考資料>