[ マドリード コンセプシオン・アレナル通り(2014年):一方通行にして歩道を確保 ]
日本の市街地に、歩道のない道はたくさんあります。
外国の昔からの市街地では、狭い道でも一方通行にして歩道を確保しているところを見かけます。
車の通行も歩く人も少ないところでは、わざわざ歩道をつける必要はありませんが、車が多いまたは歩く人が多いところには、一方通行にしてでも歩道をつけてほしいところがあります。
狭い道幅の中で歩道を造ることは無理でも、街中に道路を新たに造る際には、ぜひ広い歩道にして欲しいものです。
歩道の幅は最低でもすれ違いできるように造られているようですが、歩道を歩いている人を見ると、気持ちよく歩くには狭いように感じます。
[ 大宮駅東口(2013年):幅3.5mでは狭い ]
[ 大宮駅東口(2016年):夜も歩行者が多い ]
駅前のように人通りが多いところでは、歩く人のほかに待ち合わせをする人、店先を見ながら歩くもいます。
車の危険から逃れるため、歩道が混雑していても自転車が乗り込んできます。なかにはベルを鳴らしながら歩道を我が物顔で走る自転車もいて、憎らしい限りです。
物販店のほかに飲食店も多くあるので、夜は昼に負けずたくさんの人が歩いているうえ、千鳥足で歩く人も少なからずいます。
ここ大宮駅東口の歩道は歩行者の数に比べて幅が狭く、お世辞にも快適な歩道とは言えません。
しかし、再開発が予定されているところもあるので、快適に歩ける歩道が造られる可能性が残っています。
どれくらいの幅があれば気持ちよく歩けるのでしょうか?
[ 代官山駅前(2014年):男と女、男と男 二人で歩くとき ]
実際に街中を歩く人々を見てみましょう。
二人で歩くときは並んで歩くはずです。
男と女、女と女、男と男のいずれの組合せであっても、よっぽど仲が悪い場合は別にして、話しながら並んで歩くのがごく自然です。
戦前の教育を受けたご高齢の夫婦でも、普通は並んで歩いています。
若い男女の場合は、二人の間隔に付き合い始めてからの年月が感じられがますが、年を重ねた夫婦の場合は、同極の磁石のように反発しているように見受けられることもあります(あくまでも個人の感想です)。
[ 女と女(2013年):二人の間は男同士に比べて狭い ]
男と男の場合は、二人の間に一定の空間が保たれるようですが、女と女の場合は、男と男よりもせまい間隔で歩いているように思います。
最近は女性同士で手をつないで歩いているケースも見かけます。
[ 赤坂の昼休み1(2012年):男三人横一列 ]
さて、三人で歩くときはどうでしょうか。
同性同士なら、三人の間に極端な上下関係がなく人間関係が悪くなければ、三人で話ができるように並んで歩いている光景が普通です。
男女が混じる場合は三人の関係にもよりますが、女性の両脇を男性がはさんだり、男性の傍らに女性二人が並んで歩く、あるいはその逆のパターンなど、特段に違和感を抱くものではありません。
三人寄れば文殊の知恵ではありませんが、おしゃべりの話題は尽きないのかもしれません。
[ 渋谷の昼休み(2013年):お仕事に向かう? 男と女と男 ]
三人が横に並んで歩いている姿はよく見かけますが、三人が横に並ぶと歩きづらい道路が多いのも現実です。
[ 浦和の昼休み(2017年):ランチ帰りのOL四人組 ]
四人で歩くときはどうでしょうか。
さすがに四人で歩くと横に広がりすぎると誰もが感じることや、両端の人が話すには距離がありすぎるので、四人が横一列になることは珍しい光景です。
上の写真はOL四人が横一列で歩いていましたが、後ろからくる自転車に気づきく二人と二人に変形したところです。
あまり車は通らない道ですが、さすがに横一列は気が引けるのか、このままの隊形で歩いていました。
[ 赤坂の昼休み2(2012年):四人でお弁当の買い出し ]
昼休みに、お弁当の買出しに出かけた4人のようです。
歩行者も車の通行も少ないところですが、四人が横に広がるのは抵抗があるようで、一人と三人に分かれて歩いています。
左端の女性が三人男性の方を向き、四人で話をしているようでしたので、1人が爪弾きされている様子ではありません。
[ 三人どうしのすれ違い ]
歩行者の歩き方を見てみると、三人が横一列に並ぶ場合が最大と考え、この一団どうしがすれ違える幅があれば、会話が途切れることなく歩けるはずです。
一人の幅は75㎝で計算されるので、三人並ぶと0.75m×3人=2.25mの幅が必要になります。
しかし買物や仕事で歩いている人はカバンなどの荷物を持っているので、一人の幅として1mくらい必要な時もあり、1m×3人=3mあれば余裕があります。
この一団がすれ違うこと考えると、歩道の幅は2.25~3m×2=4.5~6mが必要になります。
実際の道路を考えると街路樹や街路灯があるので、これ以上の幅が必要になるところもあります。
[ 道路構造令の解説 自転車歩行者道 ]
道路を造る際の基準となる道路構造令は、自転車歩行者道の場合「歩行者の交通量が多い道路では4m以上とする」とされています。
幅4mの根拠は車いす2台、自転車2台が横一列になって通れる幅として設定されています。
道路の交通機能の観点から決められる幅ですが、おしゃべりを楽しみながら歩くことは考慮されていないようです。
街中は地価が高いので、コストを抑制するために最低限の幅、最小限の費用で道路を造ることが、金科玉条のようになっています。
しかし、せっかく造った道路が、通行者に不愉快を与える幅しかないのであれば、有難さも半減してしまいます。
[ 都市計画道路 中山道(2016年):幅16mの道路 ]
埼玉で一番の商業地といえば大宮駅周辺です。
大宮駅東口の中山道と呼ばれる道は、都市計画道路「3・4・23中山道(2車線16m)」で、16mの幅のうち、車が通る2車線分として6m、さらに路側に1mずつ必要なので、計8mが自動車のために使われます。
残りの8mが両側の歩道として使われるのですが、すべてが歩行できる部分になっても片側4mの幅しかありません。
実際に最近拡幅された中山道を見ると、歩道と車道を分離するブロックがあり電線地中化の際に必要な地上器ボックスや街路灯が置かれているので、狭いところは3mほどしかありません。
[ 中山道(2016年):駅前通りの北側 使われない水飲み場もあった ]
さらにひどい状態になっているのは、駅前通りよりも北側の中山道です。
同じ16m幅なのですが、歩道に植樹帯が延々とあり、誰が使うのか水飲み場もあったのです。
歩行者の通行量を考えれば植樹帯を撤去して人が歩ける空間として拡げてほしいところです。
中山道脇で再開発事業が行われた区間は、植樹帯が撤去され若干ではありますが歩道が広くなりました。
[ 氷川緑道西通線 区役所前(2016年):幅が倍に広がる工事中 ]
大宮駅東口側には中山道と並行して「3・4・114氷川緑道西通線(2車線18m)」があり、大宮駅前通りから南に向けて道路が広げらました。
中山道に比べ片側1mは広いので幅5m程度の歩道が期待できますが、昨今は自転車の走行空間も確保しなければなりません。
自転車レーンが設けられると、歩道として使えるのは最大で片側4.5mで、何とか3人どうしがすれ違える幅は確保できそうです。
路上に自転車や看板が放置されず、自転車は歩道を走らず自転車レーンを走ってくれれば、歩行者が快適に歩ける歩道になりそうです。
[ 工事看板(2016年):歩道は4.5m ]
[ 完成(2020年):自転車レーンもある ]
[ 渋谷センター街(2013年):平日15時~5時は歩行者専用 ]
時間帯によって歩行者専用になる道路や、車道のない歩行者専用の道路もあります。
このような道は、駅の近くなど歩行者が多いところにあり、幅もそれなりの広さを備えています。
若者で賑わう渋谷センター街は、歩行者専用の道かと思いきや平日は「15時~5時」、日曜・休日は「12時~5時」だけが歩行者専用の道です。
ここは、平日でもごった返しているのでもう少し幅が欲しいと感じますが、ぶつかってしまうような雑踏感が人を呼ぶのかもしれません。
[ さくら草通り(2015年):冬は陽が当たらない ]
こちらは、浦和駅西口にあるさくら草通りという歩行者専用の道で幅は12mあります。
ところどころにベンチが置かれているので、人が通行する機能のほかに集い憩う広場としての役割も期待されている所です。
しかし、通り沿いにあった商業ビルは高層マンションに建て替わり、賑やかさが減り広すぎる通りに感じます。
<参考資料>