[ 秩父夜祭(2005年):最も古い宮地屋台 ]
埼玉のお祭りといえば、京都の祇園祭、飛騨の高山祭とともに日本三大曳山祭りに数えられる秩父夜祭が有名です。
秩父神社を出発した屋台・笠鉾が市内を曳かれたあと、団子坂という急坂を引っ張り上げられ、お花畑駅のそばの御旅所に集まる頃がクライマックスです。
6台の屋台・笠鉾が集まると、澄んだ冬空に花火が打ち上げられ、こちらも見ごたえがあります。
秩父夜祭は曜日に関係なく毎年12月2日と3日に行われますが、この時期は雨の心配はまずないのですが、夜はかなり冷え込むので万全な防寒対策が必要です。
山車が出るお祭りとしては、川越祭りも秩父夜祭と同じく江戸時代からの歴史があり、山車が街中を曳き回されます。
しかし、どういう訳か秩父夜祭の方が有名でした。
[ 川越祭り(2015年):最近は人出も多い ]
川越が蔵造りの街並みで有名になると、川越祭りも多くの人が見物に訪れ秩父夜祭を上回る人出になります。
2015(H27)年は10月17日と18日の両日で約93万人もの観光客があり、秩父夜祭の3倍近い人出でした。
川越祭りは10月の第3土曜日、日曜日に行われるので、街を歩きながら見物するのには暑くもなく寒くもなく、ちょうどいい頃です。
[ 川越祭り(2015年):連雀町付近の電線 ]
川越祭りの山車は、台座の上に囃子台、その上が迫りあげ式構造になっていて人形が据えられているのが一般的な形です。
山車は各自治会が所有し現在は29台がお祭りに参加しています。
高さは人形まで含めると8mを越えるので、バスやトラックより高さがあります。
川越祭りの山車は、江戸時代に作られたものから平成に入ってから作られたものもあり、台数は時代とともに増えています。
歴史あるお祭りはとかく閉鎖的だと思われがちですが、この点に関して川越祭りは意外と開放的です。
[ 弁慶の山車(2015年):付人?が電線を持ち上げている ]
山車は高さがあるため、電線に引っかからないようにするのが一苦労のようです。
山車の最上部に2、3人乗っていますが、笛や太鼓の代わりに先端がY字形になった刺股のような器具を持ち、道路を横断する電線を持ち上げるために使われます。
電線の下には自動車が通れる高さはあるのですが、山車が通るには足りないのです。
[ 一番街と小狐丸の山車(2015年):電柱と電線のない空は広い ]
無電柱化され電線は地中化されているので、このような煩わしさはありません。
蔵造りの建物が連なる一番街(仲町交差点~札の辻交差点)は、無電柱化され広い空が広がっているので、背の高い山車も「安心してください!通れます!」です。
[ 札の辻(2008年):普段の信号機 ]
[ 札の辻(2015年):祭りの時は灯具が90度回されている ]
電線のほかに山車の通行の邪魔になるのが信号機です。
信号機はなくすことができないので、山車が通る経路にある信号機には工夫あり、普段は道路上に突出している灯具が、お祭りの期間は90度回るようになっているのです。
札の辻交差点の信号機はすべて90度回され、道路上から追い出され別の方向を向いていますが、交通規制の時間の前後に対応できるように臨時的に縦型の灯具がつけられています。
[ 札の辻(2011年):普段の信号機 ]
[ 札の辻(2015年):お祭りの期間はこんな感じ ]
縦型の信号機でOKならば、山車が通れるように最初から縦型にしておけば、お祭りのたびに灯具を動かす必要がなく合理的です。
北海道のような積雪地域は、信号機に積もる雪を減らすために常時縦型なので、川越でも縦型にできないことはないと思いますが。
[ 札幌の信号機(2006年):縦型の信号機 ]
信号機のほかに邪魔になるのが標識です。
腕木を折って道路上空から逃がすしかありません。
山車が通る道路の標識は板を支える腕木に蝶番があり、この部分で腕木を折り曲げられるようになっています。
このためお祭りの期間中は、案内標識が道路上にないので道に不慣れな方はご注意を。
[ 蝶番のある腕木(2016年):お祭り対応の標識 ]
[ 回された標識(2015年):標識の先に道はない ]
川越祭りの山車にも工夫があります。
最上段の人形とその下の鉾はエレベーターのようになっていて、囃子台の後部に収納できるようになっています。
この工夫は電線をくぐるためではなく、お城の門をくぐるためだったそうです。
しかし、上部を収納しても4mを超えるので、電線、信号機や標識は邪魔者です。
[ 家光の山車(2015年):人形を収納したところ ]
[ 家光の山車(2015年):上段を収納し最小の形になった ]
蔵造りの街並みがある道路を本川越駅方面に向かうと、仲町交差点から連雀町交差点までの間は昭和初期に道路が造られた当時の幅のままなので、歩道は狭く電線も電柱もたくさんあります。
その先、連雀町交差点から本川越駅までの間は、道路が拡げられています。
工事に併せて電線も地中化されるようですが、信号機はどんな形状になるのでしょうか?
[ 連雀町~本川越駅(2019年):電柱は消えた ]
[ 頑者 本店(2016年):本川越駅前 ]
[ 頑者 本店(2017年):本川越駅前 ]
本川越の駅前には、つけ麺で有名な「頑者」というラーメン屋さんがあり、店の前には常に行列があるので看板が見えなくても場所が分かるほどです。
最近、圏央道の菖蒲パーキングに系列店の「GANJA RAMEN」が誕生しましたが、普通のラーメンのみでつけ麺がないのが残念です。
[ GANJA RAMEN(2015年):圏央道の菖蒲PA ]
<参考資料>