井坂章の一般質問および答弁 (2011.12月定例会)

一般質問主な内容
 1 公契約条例について

2 防災計画の見直しについて

3 放射能汚染から市民および子どもを守る取り組みについて

1 公契約条例について
 先進国あるいは途上国を問わず、グローバル化の伸展のもとで公共サービスの民営化が進んでおり、政府の公共調達における企業競争が激化し、賃金、労働条件の激しい切り下げが起きています。日本においても、国、自治体のいずれも、財政の逼迫によって公共土木建設事業が激減しており、ダンピングにさらされてきました。従来は直営であったものが、近年では保育所の民営化が急速に進められています。さらにPFI、指定管理者制度、市場化テストなどの新たな民営化の手法が取り入れられ、公共サービスの多くが民間労働者の手にゆだねられています。また、正規労働者が削減される中で非正規公務員も増加しており、全国で60万人と推定されています。こうした中でいわゆる官製ワーキングプアが社会的問題になっています。

公契約条例とは,公共事業の現場で働くすべての労働者に対して,賃金の最低基準額を条例により保障するという考え方に基づいてつくる条例です。つまり,建築工事であるならば,契約時に,その作業に従事する労働者の賃金を明らかにして,その賃金が確実に末端労働者まで支払われるようにするものです。国においてILO第94条公契約における労働条項に関する条約がまだ批准されていないことなどを理由に条例を制定した自治体はありませんでしたが,平成21年9月,千葉県野田市で全国初となる公契約条例が制定されました。現在,関東では,川崎市,相模原市,国分寺市,多摩市などで公契約条例の上程への動き,あるいは上程に向けての検討が始まっています。
 建設業では,一般的に,元下請関係が幾重にもわたる構造となっており,実際の施工は,下位の下請事業所が担っています。しかしながら,発注者と元請間での元請契約の際に計上されている労務費の額は,下位の下請に行けば行くほど減額され,実際の施工労働者に支払われる賃金は低くなっています。自治体が発注する公共工事についても同様の事態となっています。
 公共工事が市民の税金を財源とし,公共の福祉や社会的資本の整備を目的としていることを考えれば,その施工に当たる労働者の低賃金や劣悪な労働条件は許されません。元請契約で積算された賃金が末端の下請の労働者や職人に減額されることなく支払われるべきではないでしょうか。
 公共工事設計労務単価で茨城県,大工の項目を見てみますと,年々低下していますが,平成22年度は1万7,200円で,前年よりもさらに600円下がりました。この設計労務単価は,公共工事の積算に用いるものであり,下請労働者への支払賃金を拘束するものにはなっていません。ですから,数次下請となりますと1万円に届かなくなってしまいます。公共工事を請け負っている企業は,労働者に人間らしい労働条件を保障すべきであり,発注者は,それを確保する責任を負うべきであり,これ以上官製ワーキングプアをつくり出すことはやめるべきです。公契約条例が制定されれば,雇用の安定や技能労働者の育成が図られるとともに,工事における安全や品質の確保,ひいては企業の近代化や業界の健全化が図られていく方向に向かいます。
 そこで伺いますが

 ①  
既に野田市では,公契約条例を制定していますが,本市として,この公契約条例をどのように評価しているのでしょうか。
 
   本市もぜひとも公契約条例制定に向けての検討作業を開始されるよう求めますがいかがか。

次に、2 防災計画の見直しについて
(1)    
ひたちなか市の防災上の具体的な改善強化について
 
東日本大震災により、ひたちなか市もM6クラスの激震に見舞われ、津波、液状化、土砂災害などさまざまな災害に対する防災力が問われています。防災上、見直しが急がれていることは無線機による情報の伝達、飲料水の確保、津波対策等ありますが、今回私は、自主防災会の活動を主にして質問を行います。
11月15日に開催された市防災シンポジウムですが、自主防災会、民生委員、ボランテイアなどの役割が検証されました。自治会及び自主防災会の存在、今ある地域の市民の力を防災活動にどう活かしていくのか、その教訓点について伺います。
同僚議員の質問にもありましたが、先の震災では防災上の備品(毛布、食糧、水)も不足していたと指摘がありました。今後は事態に合わせて必要に応じて備蓄量も増やす必要があると思います。考えを伺います。
次に、要支援者の安否確認についてです。いわゆる災害弱者である高齢者、要介護者、障がい者、難病患者、妊婦、乳幼児、日本語に不慣れな外国人といった災害時に一人でも避難が難しい方々へ、要援護者としての重点的な支援も必要です。ひたちなか市の要援護者の登録状況と災害時に向けての日常的な支援について伺います。

(2) ひたちなか市の原子力防災計画について

未だ収束していない福島第一原発の放射能災害は、私たちに多くの教訓を与え続けています。ここから本市の原子力防災計画を見直し、より安全な地域を目指さなければならないと考えます。地震については、日本は活動期に入り、特に想定されている東海地震はマグニチュード8以上で、30年内に87%の発生確率と言われ、きわめて切迫している情勢にあります。お隣の東海村には東海第二原発があり、地震・津波対策と合わせてきわめて重要な地域にあり、ひとたび事故が起きればすべての住民は逃げることしかできません。一方、日本原電は津波対策を行い再稼働へと動いています。周辺自治体の首長懇話会においても議論になっているようですが、本市も事業者との安全協定を見直し、同意権をもつ必要があると考えます。協議の状況と可能性について市長の見解を伺います。

3 放射能汚染から市民および子供を守る取り組みを

 放射線には、アルファ線、ベーター線、ガンマ線、中性子線などの種類があります。事故による被曝には「外部(対外)被曝」と「内部(体内)被曝」があります。12年前のJCО臨界事故のときは、多くが外部被曝でした。チェルノブイリ原発事故のように放射能漏れの事故があった時は、漏れた放射能からの外部被曝より内部被曝が大きな問題となります。内部被ばくのこわさは、放射能の種類によって人体の特定の組織に濃縮してたまることです。セシウムは全身の筋肉や生殖腺に、ヨウ素は甲状腺に、ストロンチウムは骨に集まります。事故が起こればすぐに環境中に出てくる放射能ですから、避難対策が速やかに行われなければなりません。この認識に立って市民・子供のいのちを守る立場から7点ほど質問いたします。

(1)    放射性物質・放射線量の細密な調査を

福島第一原発は冷温化になり第二ステップは終わると政府は言っていますが、原子炉内の状況が分からないし、なかなか収束しないのが現状です。今でも放射性物質は堆積し高濃度放射能地域、いわゆるホットスポットができています。放射能汚染は、低線量でも人間のDNAを傷つけ成長期の子供、乳幼児や胎児に悪影響を及ぼします。とにかく年間被ばく量を1ミリsv以下にしなければなりません。まず、身近に子どもが利用する公園などでは放射線量の値が高いところに対して、どのような取り組みがされているのか伺います。次に、校庭、園庭など安全性を確保する必要がある校庭の表土や砂、汚泥の除去も行うべきです。また、学校(平磯中、湊三小、湊中)等で除染をした土についてはどのように処理または保管しているでしょうか、伺います。さらに、市全体の汚染状況を把握するために500メッシュ(500m網目)で測ることを求めます。

(2)避難にあたってのマニュアルを作成すべき

地震等による事故が起きた場合を想定して、早急な原子力防災体制の強化が求められていると考えます。具体的に、各々の事業所、小中学校も含めてですが防災計画を作るように指導すべきと考えます。子どもについては被ばくを避け安全確保が必要です。本市では、学校でのマニュアルは作られているでしょうか、伺います。また、事故が起きればパニックに陥ります。それ以外の事業所においても何を優先するのかのマニュアルを作っておくことが必要と考えますがいかがでしょうか。事故が起きてから放射能が汚染して広がるまで何十分かかるのか予測し、気象状況や地形(那珂川と久慈川に挟まれ海岸線があること)を考慮しパニックをおこさないで避難できるものを作っておくことと考えますがいかがかでしょうか。

(3)ヨウ素剤の配布について

震災から9カ月になりますが、市民へ迅速にヨウ素剤を配布する仕組みが整っていないと見受けられますので伺います。
 原発事故が起きた時、ヨウ素剤を速やかに配布できるようになっているのでしょうか。現在の県のマニュアルで迅速に対応できるのでしょうか。
 副作用の説明や正しい服用の仕方の講習会などの計画はどうなっているでしょうか。
 
服用には医師と薬剤師のもと問診が必要であるということですが、緊急時の混乱と医師不足の状態で緊急時に速やかに対応できるのか、伺います。
 服用の優先順位は、どうなっているでしょうか。

(4)給食の検査を徹底して行うこと

給食食材など食の安全をいかに確保するのか、保護者には切実な思いです。本市は地産地消の取り組みが進んでおり、調査に基づく安全性の確認が必要です。食材の測定だけでなく、給食食材の全品検査が必要と考えます。測定した結果の情報公開についてはどのようになっているでしょうか。

(5)食品の測定機の市民利用、相談窓口の一本化について
① 放射能測定器の活用状況を伺う。
② 市民の家庭菜園で栽培した野菜などが測定できるようにしてほしい。

放射能汚染の相談の窓口の一本化が必要と考えますが、現状はいかが でしょうか。

(6)子どもの健康調査について

チェルノブイリのデータによると、甲状腺がんやその他の病気を発病するのは5年後、10年後であるといわれ、いわゆる晩発性というものです。「ただちに健康への心配はない」などと言われていますが、あとの影響が怖いし、病気になったとき、誰が責任を持つのかということです。だからこそ、健康調査を継続して行うことが大事だと考えるものです。とくに、未就学児・妊婦を対象とした尿検査、授乳中の女性を対象とした母乳検査も行う必要があると考えますが、いかがかでしょうか。

(7)除染した土について

国の(市の)対応が遅いために、市民も独自に放射線量を測定し、除染に努めています。民家の雨とい下等のミニホットスポットの土壌は削り取るまではできますが、各家庭において処分に困っているのです。市は、今後ますます出てくるこの土をどう処理していく考えなのか、お伺いします。

以上で一問目を終わります。

答弁

本間源基市長

公契約条例の評価について答えます。野田市の公契約条例は、市が発注する業務の受注者および下請け業者の下で働く労働者の適正な労働条件を確保するため、賃金が市が定める最低賃金を下まわらないように義務付けたものでありまして、それ自体意義があるものと受け止めております。また、この条例には総合評価落札方式により落札者の決定をしようとするとき、または公の施設の管理を指定管理者に行わせるため、候補者を選定しようとするときはこれらの者に雇用される労働者の評価項目として加えられていることも注目すべき事項であります。

この条例制定に至るまでのいろんな経緯については、平成17年に全国市長会を通じて国に公契約条法の制定を要望しましたが、国の動きが見られないことから野田市が先行的実験的に公契約条例を制定し、国に法整備の必要性を認識させようとしたものと考えております。しかし、野田市も認めていますように公契約に関わる労働者の労働条件の改善は、一つの自治体の範囲で解決できるものではありませんので広域的な対応が必要な事案であります。国が公契約に関する法整備を急ぎ、全国的対応を行うことが基本であると認識をしております。この問題に対しましては、国の動向や他の自治体の取り組みを注視してまいりたいと考えますが、当面低入札による下請け業者へのしわ寄せ等がないよう低入札価格調査制度を適正に運用してまいりたいと考えております。

次に、防災計画の見直しについて答えます。福島第一原発事故は放射性物質が広域的に分散し、これまで国が示しておりました防災対策を重点的に実施すべきEPZの範囲を超えた住民が避難するといった大事故となっております。現在、国の原子力安全委員会では、緊急防護措置を迅速に実施するために整備すべき区域(UPZ)を30キロ圏とするなど原発防災区域を拡大する方針で防災指針の見直しが検討されているところであります。
 
私は原子力防災においては、所在、隣接といった行政界による区分はもはや意味をもたないと考えております。これまで本市は東海第二発電所と隣接という立場で原子力安全協定を締結しておりますが、本市のみならず周辺市町村においても所在自治体と同等の権限を持ち、発言できる体制とすべきであると考えております。質問で触れられているように、先に開催をされました県央地域の9市町村の首長で構成される県央地域首長懇話会において、原子力安全協定の見直しについて協議を行い、その結果協定締結の範囲を県央地域構成市町村全体へ拡大することとし、特に原子力発電所から20キロメートルの範囲につきましては原子力施設所在エリアととらえ、所持自治体並みの権限へ引き上げを行うこと、また喫緊の問題として東海第二発電所の運転再開にかかる事前協議に参加する権限を確保することを確認をし、関係機関と調整を進めるよう県に要求することとしたところです。

また、東海村・水戸市・那珂市・ひたちなか市の県央4市村、および日立市・常陸太田市の6市村で構成する原子力所在地域首長懇談会を設置し、東海第二原発の対応並びに今後の原子力所在地域のまちづくりとして、原子力の先端技術研究と人材育成の拠点となる原子力センター構想等について情報、意見交換、協議等をおこなうこととし、第一回の会議は来年一月に行うこととしています。

永盛啓司 総務部長

公契約条例の二点目、公契約条例制定に向けて検討を開始すべきとのことについて答えます。現在のところ公契約条例を制定しているのは野田市と川崎市ほか数自治体のみであり、制定の動きに大きな広がりはみられません。公契約条例が目指す労働者の適正な労働条件や業務の質の確保は大切なことであり、平成217月に施行になった公共サービス基本法においても公共サービスの実施に従事する者の労働環境の整備が国や自治体の努力規定と盛り込まれたところでもあり、本市としましても積極的に取り組まなければならないと認識しております。今後先進事例である野田市、川崎市の条例の運用状況や問題点等を調査するとともに、現在施行している総合評価落札方式に下請け業者や業務に従事している労働者の賃金について評価する方法を追加できないか検討を始めていきます。また、これまで同様適正な労働条件の確保のため入札において低入札価格調査制度の適切な運用に努めるとともに、建設業者に対し下請け業者に対する請負代金の設定や支払いが適正に行われるよう最低賃金法や雇用保険法等の関係法令を遵守することを要請してまいります。

山村均 市民生活部長

 1115日に開催いたしました防災シンポジウムにおきましては自治会長や民生委員、児童委員、ボランテイア連絡協議会会長にご登壇をいただき大震災における活動、対応につきましてご発言をいただいたところです。それとともに課題などについて議論をいただきました。パネルデスカッションでは、パネリストからはこれまでの自主防災会の訓練や市の総合防災訓練等が役立った。また、支援者が不足して対応に苦慮したなど大震災を振り返った発言がございました。コーデイネーターからは各家庭での備蓄や家具の転倒防止などの個人対策、また、地域におきましては普段から顔の見えるお付き合いの大切さや災害時において市民力・地域力を発揮する日頃の取り組みが重要であるなどご提言をいただいたところであります。市といたしましては自主防災会と協同による実践型の市総合防災訓練や実情に即した自主防災会による個別訓練の必要性、また、日ごろから地域におけるコミュニケーションづくりの大切さなどをシンポジウムにおいて再確認をしたところであります。今回の震災における地域の活動におきましては指定避難所の運営支援や自主避難所の開設、また要援護者の安否確認等のご支援を頂いたところですが、その活動におきましても課題が生じたものと認識をしています。これらの課題をふまえ、地域防災計画の見直しをするとともに、引き続き自主防災会活動の支援に努めてまいります。

次に、備蓄品について。飲料水・食糧・毛布などの備蓄は非常に重要であると考えており、市では今後とも備蓄体制の充実に努めてまいるとともに、各家庭におきましても1週間程度の備蓄をしていただくようお願いをしてまいります。

次に災害時要援護者の登録状況についてですが、大震災後に約800名増加いたしまして約3200人が登録されています。今回の震災は、平日の昼間に災害が発生したため、支援者が不足する地域もあったと伺っておりますので個別の支援からグループ支援といった支援体制の強化や見直しにつきまして各自治会に協力をお願いしているところです。

次に、3項目目の1点目、放射性物質・放射線量の細密な調査について答えます。小中学校、幼稚園、公園等の除染対策につきましては、まず、施設の放射線量の状況を把握するため市内全小中学校、幼稚園の敷地内および周辺の通学路、また市が管理する公園の放射線量の測定を実施したところであります。その結果、敷地内の一部の樹木や雨水が集まる場所などから局所的に1μsv以上の放射線量が測定されたところから、子どもたちが日常的に活動するところにつきましては、表土や草を取り除くと共に、それ以外の所につきましてはロープを張り立ち入らないようにするなど、これまでに7つの小学校、3つの幼稚園において実施をし、また公園につきましても二つの公園につきまして対策を講じてきたところです。

次に、市全体の汚染状況の500メッシュ計測についてですが、文部科学省および茨城県による航空機モニタリング結果が8月に公表されております。航空機モニタリングは、地表面から1mの高さの空間線量に、および地表面に沈着した放射性セシウムの濃度を計測をし、直径約300mから600mの円内の測定値を平均化したものです。本市域の放射線量は年間1ミリ㏜以下との結果が出ています。また、5月から小中学校、幼稚園、保育園、公園など市内全域を細かく測定しており、その結果を公表している。市では12月より放射線測定器の貸し出しを行っておりますが、その際に市民の方から任意で測定結果の提出をお願いしており、これらの値を集約して地域の放射線量をさらに詳細に把握してまいります。

次に避難にあたってのマニュアルの作成についてですが、現在国においては原子力発電所にかかる防災対策を重点的に充実すべき地域に関する考え方において、原子力発電所の防護を契機として5キロ圏、30キロ圏、50キロ圏の3つに分類した整理が行われたところです。原子力事故が起きた場合において、避難行路を示すマニュアルは必要であり、マニュアルを作成しましたら市内事業所等に広く周知をいたしまして共有してまいりたいと考えています。このたびの福島第一原発の事故を考えますと、避難規模が広域に及び本市においては15万人規模の避難となりますことから国の指針が示されていない現状においては、避難計画の想定は難しいと考えております。

7点目の除染した土について。小中学校、公園等において取り除いた土につきましては、飛散しないよう土嚢袋に入れて埋設、またはシートに包み子供たちの活動に影響のない場所にそこを選んで立ち入り規制を行い現在敷地内で保管をしております。仮置き場を設置することはその周辺の環境問題もありますので、このように除染を行った現場において仮保管をしている。市民の方にも除染により生じました土は同様に市内に穴を掘り、地下に埋設することや袋に入れて敷地の一角に保管していただくことをお願いしている。

横須賀重夫 福祉部長

放射線汚染から市民・子供のいのちを守る取り組みについてお答えします。本市における安定ヨウ素剤につきましては、県の緊急被曝医療活動、健康影響調査マニュアルに基づき、生涯保健センターおよび那珂湊保健センターの2か所に保管しております。市では、県から安定ヨウ素剤の配布指示があった際には市消防本部の緊急車両等により安定ヨウ素剤を各避難所へ即時搬送することとしており、避難所では予め選任しております配布責任者の指揮監督のもと、適切かつ速やかに配布するための体制をとっている。今回の大震災や福島の原発事故をふまえ、原子力災害対策全般にわたり見直しがされていくことになりますので、市の保管・配布につきましても県との協議連携を図りながら見直しを行っていきます。次に、副作用の説明や服用方法の講習会などの計画についてはまず、安定ヨウ素剤に対する正しい知識の普及が重要であることから、市報・ホームページ等を活用するとともに、市が行っている事業や平成24年度から中学校の理科で取り入れられる放射線の事業など様々な視点をとらえて啓発に取り組みます。次に、医師不足の状態で緊急時に速やかに対応できるのかとの質問ですが、本市では平成21年度に医師会の先生方のご協力により新型インフルエンザの集団接種を10万以上の都市で唯一行った実績がございます。そのことから市医師会との協力、連携による配布体制についても協力を得られると考えておりますし、今回の原発事故をふまえ更に医師会をはじめとする3医師会の協力体制の充実を図ってまいりたいと考えております。次に、安定ヨウ素剤の服用優先順位について。服用対象者は40歳未満の方となっており、特に胎児・乳幼児では甲状腺発がんのリスクが高いことから新生児、乳幼児、妊婦の服用を優先させることになっております。40歳以上では、このリスクが認められないことから服用対象者とはなっておりません。次に子供の健康調査の実施について。このたびの福島第一原発事故による放射性被曝の健康検査につきましては、福島県では県民健康管理調査として放射線量や健康状態を把握し、継続して管理するための調査が順次実施されております。福島県は、原発事故発生直後の放射線量がきわめて高かったことやその結果、避難区域が設定されていることなどの特異性があり、本市との比較でもその状況にはかなりの差があると考えております。したがって、本市では子供の甲状腺がん検査の実施や未就学児、妊婦を対象にした尿検査、そして授乳中の女性を対象にした哺乳検査といった健康調査につきましては、現在のところ実施することは考えていませんが、今後県の動向を注視してまいりたい。

木村茂 教育次長

本市では学校給食食材としてひたちなか産農産物を4割使用しておりますが、学校給食の安心安全の確保を図るた学校給食で使用する地元の農産物につきましては、1025日から放射性物質検査を行っています。検査結果につきましては、すべて放射性物質は不検出となっており、今後も毎日検査を行いまして安全性を確認してまいります。

次に学校給食食材の全品検査について。検査機器が一台増設されましたので本日(15日)より、毎日8品目の検査を行ってまいります。野菜、魚などの加工食品も検査対象とするなど検査品目を増やし今後できる限り豊富な食材について検査を行ってまいります。なお、学校給食の放射性物質の検査結果につきましては、市のホームページで検査当日の午後に公表しております。

柏原実 経済部長

放射能測定器の活用状況について。本市では10月に測定器が1台導入され、25日から学校給食で使用する食材の事前調査として市内産の農産物の検査をしました。111日からは、学校給食などに使用する当日搬入分の食材と出荷販売を前提とした市内産農産物の検査を実施してきました。これらの検査実績につきましては、1214日現在で学校給食食材が39品目、142検体。保育園用給食が9品目13検体。出荷販売用農産物が14品目30検体を行い、すべての検体で放射性物質は不検出となっております。

二点目の市民の家庭菜園でとれた野菜の測定ですが、市報でお知らせしました。本日より2台目が使えるので、学校給食については8品目の検査を開始しました。市民が家庭菜園で栽培した野菜についても、検査を行うこととし今後市報でお知らせしてまいります。検査は市民から申請していただき、日程調整して検査を実施していきます。

再質問

井坂 放射性物質・線量の細密な調査について除染した土の処理と保管。放射性物質は捨てることができない。半減期があり、ヨウ素131は8日、8日たつと放射能は約半分になります。8日たつとゼロになるのではなくその半分で1/4になる。10倍の時間がたつと1/1000となりゼロに近くなる。実際は80日かかります。これは短いほうです。もっと長生きする物質があります。だから放置もできない。中間貯蔵所が必要となってくると思うのでいかがか。

山村均 市民生活部長
 この除染をした土の処理ですが、どこの市町村でも困っています。半減期もありますけれども、この処理については当面さきほど申した処理をしています。こういうものを運んだ、集積した仮置き場をつくるとその周辺に住んでいる方々のいろんな環境問題もあります。運搬上も問題が出ます。いつまでもこのままにしておく考えではないです。国から除染の措置に関するガイドラインが近々出る見込みです。その後にきちんと処理をしていきたい。

井坂
 もっと細密な調査500メッシュについての答弁で、実施する考えはないようですが、本市もご存じと思いますが、海岸線では0.22μsvから0.38μsvと高い値が出ています。内陸に向かって5キロ付近でも0.24μsvの所があります。森のような場所、風致地区になっているところで1.0μsvを超えるところがある。子供の通学路を、測定器もって図りながら歩くと変化が分かります。やはり、500メッシュで測る必要があると思うのですが、いかがか。

山村均 市民生活部長

さきほど述べましたように、300M600M単位で調査してございます。その中で年間被ばく量が1msv以下だと報告をもらっています。放射能モニタリングが8か所あるので対応していきたい。

井坂

保護者の方に、子どもの通学路、遊ぶ場所など図ってもらうこともできます。市民への貸し出しの測定器がいずれピークを過ぎれば可能となるでしょう。市民の力を借りることで測定し、子どもの安全をはかることはどうか。

山村均 市民生活部長

 700人を超える方々が測定器の申請をしている。ご意見として受けて今後採用していきたいと考えます。

井坂 

避難にあたってのマニュアルで伺います。

学校のマニュアルの特徴について。屋内退避、空気から体内に放射能を吸い込むことを避けるためにマスクの配備などはどうか。

木下正善 教育長

各学校では、教育委員会が作成いたしました危機管理マニュアルにあります原子力事故への対応を基本にしまして室内への退避、保護者への引き渡しを決めましたマニュアルをすでに決めまして、毎年避難訓練を実施してまいりました。マスク等につきましても各学校では検討しておると思いますので、もう少し進めて危機管理マニュアルの見直しを行ってまいります。

井坂 

子どもの健康調査について健康調査をやらないということですが、その根拠は何か。

横須賀重夫 福祉部長

放射線量が基準となりますことから、本市では文科省の航空放射線の測定値0.23μsvを基準にして、年間に関しても1msv以内だということでして、根拠はありませんけれども様々な、前回しあわせプラザで医療関係のフォーラムがありました。その中で、獨協大学の先生からの講演がありまして、「この基準では心配する必要はないでしょう。今まで通りの生活でいいでしょう」という。いろんなことを考えて放射能を怖がりましょう。いま現在は、この地域では空中放射線はないということです。地表にはついております。雨に関しての問題なり、外で遊ぶ子供たちは地面に接することはあるということですので手洗いをすることなどふまえまして、県知事も「健康調査する必要はないのではないか」との話もふまえまして、現段階では検査をしないということです。

井坂

市民、子どものいのちを守るためには必要と考える。5年後に病気が出た時に、誰が責任をとるのかという問題がある。学者の方が心配ないと言っておりますけれども、病気が出た時に責任をとれるのかと。日本の暫定基準値というものは諸外国から比べてゆるいと、実際はもっと危険なのだといわれている。未然に防ぐことから健康調査は必要ではないでしょうか。検討いただきたい。

相談窓口の一本化について、防災、いのちと健康、放射線量の測定と管理、各種対策、など本来ならプロジェクトチームが必要です。いまのままでは不十分でないですか。仮称放射能対策室など再検討を求める。