6月定例会報告 一般質問と答弁

市民改革クラブの井坂章です。通告に従い一般質問を行います。
昨日来の同僚議員と重複するところもありますが、視点の違いなどもありますので答弁をお願いいたします。
では、質問に移ります。

1 東海第二原発の再稼働について

(1) 日本原電の適合審査の申請について

日本原電は東海第二原発の再稼働に向け、5月20日新規性基準の適合の審査を原子力規制委員会に申請しました。
避難計画づくりが難航しているほか、運転開始から間もなく36年と老朽化し、原則40年の運転期間を迎えます。
申請によると、津波対策では高さ18b、全長2qの防潮堤を新設する。
火災対策では、新規制基準で難燃性への交換が求められている電気ケーブルについて現在のケーブルに燃えにくい塗料を塗る。
(対策が必要なケーブルの長さは18.5メートル)
さらに、フィルター付きベントを整備するとしている。
これをもって原電側は「新規制基準に照らして特段、駄目なところはない」と言っているのですけれども、しかし、新規制基準から見て、東海第二原発は適合審査する合理性および資格があるのかどうか疑問点があります。

まず始めに、@ 福島第一原発で明らかになった旧安全指針類からみて原発の持つ欠陥についてです。

原発は、
1つは、3重の多重防護(事故を起こさない、起きても拡大させない、拡大しても外部に放射線を放出しない)によって守られる。
2つは、シビアアクシデントは、現実に起こるとは考えられない。
3つは、「止める、冷やす、閉じ込める」の機能がある。
4つは、「閉じ込める」=5重の壁、それは@燃料ペレット、A燃料被覆管、B原子炉圧力容器、C原子炉格納容器、D原子炉建屋というもので守られるから安全というものでした。

しかし、3・11大震災で福島第一原発事故が起き、この考えは崩壊しました。
東海第二原発についても外部電源喪失があり、施設への影響があったのではないかとの指摘があるうえ、原子炉内を冷温状態にするために3日間もかかったなど極めて危険な状態に陥ったことが明らかになっています。
東海第二原発は安全を確立できるのか改めて問いたい。 この点の認識について伺います。

A 日本原電の浜田社長は5月21日、東海第二原発について「再稼動する」と運転再開に意欲を示す発言をしている(5月22日の新聞に掲載)。自治体側に情報提供を渋るなどし、住民に対して何らの説明もせず平然と語っていることは問題と考えるがいかがか。
「再稼働に直結しない」という確認が反故にされる可能性があると考えますが見解を伺います。

B 結果として、日本原電による新基準適合申請を承認することになったが、今後、議会も含めて住民への説明などどのように考えているでしょうか。

以上3点を伺います。


(2) 安全協定見直しについて

原電は安全協定見直し検討については、原子力所在地域首長懇談会及び県央地域首長懇話会側と5月中に始めるとのことであった。
本市は原発施設から5キロ圏内から10キロ圏内にすっぽり入っている。東海村と同じく所在地域であります。
今後、安全協定の内容をどのように見直していこうとしているのか、基本的な姿勢を伺います。

2 福祉行政について

(1) 介護保険制度の改正と現状について

介護保険制度は2000年4月、病気や障害があっても高齢期の生活を支え、家族などの介護負担を減らそうという「介護の社会化」を実現しようとスタートした。それから14年が過ぎた今、40歳以上の約7000万人が介護保険料払い、543万人が利用している。
消費税が本年4月より8%に引き上げられ、2015年10月には10%に引き上げられえる予定です。増税分はすべて社会保障制度に投入し、制度全般の見直しを行うとして「社会保障・税一体改革」を提唱し、「地域における医療及び介護の総合的な確保を推進するための関係法律の整備に関する法律案」となった。いわゆる医療・介護総合推進法案として今国会に提出されている。
介護保険法も2015年4月に改正法が施行される予定となっています。

このことにより、要支援はどのようになるのか。介護予防事業はどのようになるのか。要介護では「特養」に入れる方の基準がどうなるのか、大きな改正があると言われています。しかし、改正の中身が正確には出ていませんし、関連する政令や省令の内容まで出てこないと正確な状況が分からないと思いますが、一部地域で先行して準備していることも多いと思います。
市民生活に影響のないようにするということもありますので、その辺りを伺いたいと思います。

今後、「第6期介護保険事業計画」策定に向けて協議が進むことになると思いますが、いま取り組んでいる地域支援事業はどのようになっていくのでしょうか、伺います。

今回の改正は医療、介護の連携が重要なテーマとなっています。本市も現在、医療や介護部門で連携に関する事業を実施していますが、今後の事業の取り組みとして市民ニーズ、介護事業所などの現場の意見をどのように取り入れていくのか。また、本市としての独自性をどのように打ち出していくのかについても伺います。


(2) 「認知症」高齢者を支える支援策について

認知症の人の行動が、しばしば問題になっています。徘徊中の男性がJR東海の列車にはねられて亡くなった事故では、遺族に損害賠償を命じる判決が出ました。たいへんなショックです。在宅介護の限界とこれからも増えていく問題を提起している。
現在、直近のニュースによると行方不明者が全国で1万人を超える(茨城県では約340人)という状況にあります。 厚労省は2025年には認知症患者が470万人と推計し、昨年4月にスタートしました「認知症施策推進5カ年計画」では、「どこに相談し、どんなサービスを受ければよいのか」の「標準的な流れ」(認知症ケアパス)を策定し、公表を求めています。
「認知症」高齢者を支える支援策について、ひたちなか市の現状と支援体制について伺います。

答弁

本間源基 市長

東海第二原発の再稼働について答えます。

福島第一原発事故を教訓としまして、国においては従来の規制基準の強化に加え、炉心損傷防止や格納容器破損防止等のシビアアクシデント対策、テロ対策を位置づけた新規性基準を策定し、原子力規制委員会において審査が行われることになりました。私としては、東海第二原発の安全審査は、使用済み核燃料保有に関わる安全性向上にも資するものとして、必要との認識に立ってきたところであります。

このため、安全審査への対応につきましては、県央地域首長懇話会及び所在地首長懇談会において安全協定見直しがされるまでの間の暫定措置として3月に覚書を締結しましたが、申請内容について事前説明を受け、関係市町村の了解を得ることを条件としたものであります。
県央懇話会及び所在懇談会においては、申請内容について疑問点等を確認した上で日本原電に対して5項目の条件を申し入れを行い、その中でも「再稼働に直結しない」ことを確認して5月に安全審査申請を了承したものであります。
この確認は「非常に重いもの」であると思っています。

また、住民や議会への説明につきましても日本原電に対し、申請前、申請後の区別なく詳細に情報提供するよう再三にわたって要求をしてきており、申し入れの回答において情報提供していくことが確認をされています。
今後、原子力規制委員会で審査をされる過程において、いろいろな意見や疑問点が世論から喚起されることも想定をされます。その際もしっかりと情報提供をされることが大切ではないかと考えております。

くり返しになりますが、私は安全審査申請は再稼動の判断とは別問題であると認識しております。また、制度的にもそうであります。東海第二原発の30キロメートル圏内には約98万人もの住民が生活をしており、万一を想定して避難を含め住民の安全が確保されない限り「再稼動は出来ない」と認識しております。

安全協定の見直しについてでありますが、現行の安全協定では県と東海村だけが新増設等に対する事前了解や安全確保の措置要求、また、要求により停止した施設の運転再開について協議する権限を有しております。福島第一原発事故をふまえれば行政界は何の意味もなさず、万一事故が起きれば当然、施設については安全性に絶対ということはありませんし、また人為的な問題、管理上のミスということも考えられます。
そのような場合、その被害はUPZ圏に及ぶことが想定をされるわけであります。

このことから本市は東海第二原発のまさに所在地域であり、再稼動の可否の判断をはじめ重要な事項について東海村と同様に日本原電に対して意見を述べ、かつ協議を出来る権限を有することは当然であると考えています。
安全協定の見直しに当たりましては、県央懇話会及び所在懇談会から改定案を日本原電に提示するなど早急な見直しに向けて構成市町村連携の下、協議を進めてまいりたいと考えております。


黒沢武男 福祉部長

介護保険制度の改正と現状について答えます。

まず、今国会で審議中であり、平成27年4月から施行が予定されております介護保険法の改正案のポイントについてでありますが、昨年12月に成立しました持続可能な社会保障制度の確立をはかるための改革の推進に関する法律にもとづいて地域包括ケアシステムの確立と費用負担の公平化を大きな柱として、改正が進められております。

改正の主な内容としましては、要支援者への予防給付のうち介護予防訪問介護と通所介護、地域支援事業へと移行すること、特別養護老人ホームの新規入所者を原則要介護3位以上とすること、一定以上の所得者の利用負担割合を2割に引き上げること、施設等利用者の居住地、食費にかかる給付に資産要件を追加すること、低所得者の介護保険の軽減割合を緩和すること等となっています。

次に市民ニーズや介護事業者などの現場の意見をどのように取り入れるかについての質問ですが、市では現在、本年4月1日現在で要介護3・4・5の認定を受けている方以外の65歳以上の高齢者33527人を対象として日常生活圏域ニーズ調査を致しております。
この調査は、家族構成や運動機能、栄養状況、物忘れ等の生活機能に関する項目。
また、社会参加や病院受診の状況等の1087項目の質問からなるもので、本市の高齢者の実態や、意向を把握しようとするものであります。
今後、この調査結果を分析し第6期介護保険事業計画における介護サービス基盤の整備や介護予防施策等の推進などの計画策定に反映してまいります。

また、第6期しあわせプラン21の策定におきましては介護サービス及び介護予防サービス事業者や医師会等の代表者で構成されます高齢者福祉計画推進会議の中で協議を重ねてまいりますので、会議の中で、頂戴するご意見につきましても計画に取り入れてまいりたいと考えております。
また、日常生活圏域ニーズ検査の結果の分析作業に加え、本年度から先行実施いたしております介護予防生活支援サービスにつきましても検証しまして本市の独自の施策について検討をすすめてまいります。

次に、二点目の認知症高齢者を支える支援策について

高齢社会の進展と共に認知症高齢者増加への対応は社会的な課題となっており、その解決を図るためには認知症高齢者本人だけではなく、その家族も含めた支援策が重要であると考えております。
本市では三ヶ所のお年寄相談センターが認知症高齢者やその家族の相談窓口となり、介護保険サービスの利用や専門医療機関への受診を促すなどしながら本人の状態の安定や家族の介護負担の軽減するための支援を行っております。

また、徘徊行動のある認知症高齢者の安全を確保するためにGPS機能付き位置探索機の貸与事業や地域住民が認知症を正しく理解し、認知症高齢者の気持ちを理解して在宅生活を温かく見守れるような地域づくりを目的とした認知症サポーター養成講座の開催を積極的に支援しております。

国は、認知症高齢者に対する今後のめざすべきケアの方向性を認知症になっても本人の意思が尊重され、出来る限り住みなれた地域のよい環境で、暮らし続けることができる社会の実現をめざし早期診断、早期対応に基本を置くとして平成24年9月にオレンジプランといわれます認知症施策推進5カ年計画を定め、その中で、状態に応じた適切な医療、介護サービス提供の流れを示した認知症ケアパスの策定などを位置づけております。

本市におきましては、国が示しました認知症ケアパス策定の考え方、策定手順などをふまえ、準備を始めており今後年度内の策定に向けて作業を進めますと共に本年度策定します第6期しあわせプラン21においても認知症高齢者等に対する支援について十分に検討してまいります。

再質問

1 東海第二原発について

井坂議員

旧安全指針類によって「安全神話」は作られていた。これが3・11大震災で打ち砕かれた。新基準に適合審査申請するにあたり、福島の過酷事故を教訓にして対策をして新基準に臨んでいるかということです。安全性の問題は、格納容器を守れるかだ。これが一番大事だと思います。
そこで、地震への対応でいえば、基準地震動は東海第二原発は270ガルでした。今は、600になっているというのですが、2007年中越地震のとき、柏崎刈羽原発は1669ガルでした。設計は2割ないし3割増しの耐震はあっても2倍、3倍の地震には耐えられない。今は2300ガルが最高の基準です。 新規性基準への適合審査は、地震への耐震性など設計のし直しが必要で、設計を超えたものがシビアアクシデントになる、それにも関わらず申請になった。想定より強い地震がきたら爆発してしまいます。客観的にみてどうか、市長に伺いたい。


本間市長

今回の新規性基準、これが絶対的に不変のものであるというわけではないと思う。どういう想定をするか、それに対してどういう例外やこの基準を超えるということ本当に考えなくていいのか、今後、議論の余地がかなりあるのではないかと思う。
その点について審査の内容、状況について十分情報提供を受けながら国内にいる専門家の考えなどが議論されたり、検討されたりすることが必要であると考えます。そういう姿勢はずっと持って行きたい。


井坂議員

もう一点伺います。昨年6月に原電が地元自治体に事前に何の話もなく、防潮堤の嵩上げ、フィルター付きベント設置の工事に入ったということがありました。新規性基準適合でもフィルターつきベントの設置があるが、放射能を外に出さないということがもっとも大事な点ですが、異常事態になったら出すというものは協定違反になると思うのですがいかがか。


本間市長

質問の趣旨は理解できないわけではないが、結局、原発施設の安全性を考えた際に、どこまでが許容範囲でどこまでが許容範囲でないかということについては、これ事態難しい問題だと思います。
さらに大きな被害や、影響を及ぼすような重大な事故を防ぐ前に何らかの対策を取るという方法を取るのは解る。
私はどういうものが出るのかと想定した中で、この周辺の住民の安全が図られるかどうか、そこが最後の判断の基準になるのではないかと思うのです。施設の安全管理、安全基準についていろいろ議論していく中で、最後の判断は周辺にどの位の人が住んでいて、どの程度の影響が起きるか。その影響が、耐えられるものかということで判断をするということになるということです。


井坂議員

私たち議員が暮らしよいまちづくりや産業活性化など質問し、良くなっていくことが大事ですが、東海第二原発が再稼動して、万一事故を起こせばこの地には住めなくなり、ふるさとを失ってしまいます。事業所も雇用も失うことになります。このことが福島第一原発から学ぶ教訓です。
市長には、今後とも住民の安全を守っていくために事に当たって頂くことを要請したい。



井坂議員

次に、介護保険について答をいただきましたが、伺います。
人材育成の問題、市民周知に関して、介護保険制度の改正内容の周知について、今回の改正は、これまでの予防給付の切り捨て、あるいは特養入所者の限定などといろいろ報道があります。そのことが市民や事業者の不安につながっていると思います。
制度改正全般について市民の皆さんにどのように周知するのか、広報のあり方等を伺います。


黒沢武男 福祉部長

今後の法制度改正についての市民への通知・方策ということでありますが、国会で法律の改正を審議中であります。
そちらが可決されたらいろいろな制度内容が示されますので、広くテレビなどで広報されると思いますので市といたしましても内容必要なことについては市報・ホームページなどで一般に公表していきたいと考えています。