塩見岳〜北岳縦走

塩川〜塩見岳〜熊ノ平〜間ノ岳〜北岳〜広河原
日程
1997年8月13日(水)〜17日(日)
 13日:晴、14日:曇のち雨、
 15日:雨のち曇、16日:晴のち曇、
 17日:晴
宿泊
1日目:塩川小屋、 
2日目:塩見小屋キャンプ指定地 
3日目:熊ノ平小屋
4日目:北岳南側キャンプ指定地
山名
塩見岳・間ノ岳・北岳
山域
南アルプス
入下山
塩川土場/広河原
山行形態
単独行・電車
歩行時間
21時間30分

(8/13)
上大岡駅6:43(京浜急行線)6:53横浜駅6:54(JR京浜東北線)6:57東神奈川駅7:00(JR横浜線)7:56八王子駅8:01(あずさ)10:06岡谷駅10:14(JR飯田線)12:10伊那大島駅12:13(伊那バス)13:20塩川

(8/14)
塩川小屋5:35→7:00休憩7:17→8:11休憩8:22→9:07休憩9:17→9:30三伏峠10:10→11:12本谷山11:27→12:50塩見小屋

(8/15)
塩見小屋7:00→8:03塩見岳西峰8:30→8:35塩見岳東峰8:40→9:44雪投沢上部付近10:06→10:152719Mピーク付近10:59→11:41北荒川岳12:13→13:24竜尾見晴13:34→14:45熊ノ平小屋

(8/16)
熊ノ平小屋6:10→8:10三峰岳8:38→9:17間ノ岳10:35→11:42中白峰11:51→12:13岳山荘13:43→14:39北岳15:35→16:17北岳山荘

(8/17)
北岳山荘6:12→6:56池山吊尾根分岐点7:00→7:10北岳7:42→7:56池山吊尾根分岐点8:00→9:54大樺沢二股10:03→11:28広河原山荘11:31→11:35林道ゲート

広河原11:45(タクシー)13:00甲府駅13:28(かいじ)14:34八王子駅14:48(JR横浜線)15:39横浜駅15:44(京浜急行線)15:53上大岡駅
(8/13 晴)
 夏休みを利用して南アルプスの縦走に向かう。テントとザックを購入し、初めてのテント泊での単独登山だ。さすがにザックは大きく重いが、それほど抵抗なく背負える。
 朝寝坊をしてしまい、予定の新宿駅には間に合わず、八王子駅から「あずさ」に乗ることにする。「あずさ」51号の指定席のデッキに乗り込むが、お盆なのに案外すいていてのんびりデッキに座り込む。自由席車両の方は混雑しているようだ。しかし、横浜線の電車の中に帽子を忘れてきてしまい、岡谷駅でのわずかな乗り換え時間の中で帽子を買わなければならなくなった。帽子なしでの縦走は無理なので、駅前のイトーヨーカ堂に走ることになる。
 2両編成の飯田線の電車は満員だ。大きなザックを持った登山者の姿も見受けられ、通路もいっぱいだ。ほとんど乗客は駒ヶ根で降りてしまい、そこからは静かなローカル線の旅となった。ちょうどおなかがすいてきたところ、駅弁の車内販売があった。地元のおばさんから駅弁とお茶を買って、のんびり昼食とする。ロングシートの普通電車なのだが車内はがらがらで、ローカル線ならではの楽しみだ。
 電車は定刻を10分ほど遅れて伊那大島駅に到着。バスの発車時刻をすぎてしまったが、駅前には2台の伊那バスが待っていた。しかし、乗客は少なく、1台は空で出発。こちらのバスも6割程度の乗客で、終点まで乗った登山者は7,8人だけだ。お盆なのでもっと多くの登山者を予想していたが、北アルプスとは事情が違うのだろうか。折り返しのバスも2台がいっぱいになった様子はなかった。
 塩川小屋の宿泊者は10数人で、静かなものだ。小屋のおばさんの話によると、このところ登山者は少ないようだ。駐車場の方も20数台くらいで余裕は十分ある。100円の桃はおいしかったが、この小屋の待遇はよいとはいえない。利用させてもらってこんなことを言うのは贅沢で失礼に当たるのかもしれないが、食事の内容にはもう一工夫が必要だろう。それに照明がなにもない。地元の人が片手間にやっているといった感じだ。しかし、静かなひとときをのんびり過ごすことができた。こんなにのんびりすることができたのは本当に久しぶりだ。長い午後の時間を、同泊や下山してきた人達との山の話に花が咲いた。
(8/14 曇のち雨)
 朝4時過ぎには起き出す人がいる。塩見小屋は混雑するようであるし、行程も長いので早朝出発が原則だ。しかし私は5時前に起き出し、用意された朝食用の弁当を小屋の前で食べ、5時半過ぎにのんびり出発する。重いザックを背負ってでの登りだが、時間的には問題ないだろう。状況によっては、三伏峠泊まりも可能だ。
 塩川沿いにしばらくは緩い登りが続き、水無川を渡ったところから急な登りに取り付く。こんなに重いザックを背負っての登山は初めてなので、意識してゆっくり登ることにする。ザックは重く登りはきついが、ペースを落としてゆっくり登れば問題ない。この樹林帯の中の登りは長く、休憩回数が多くなるのは仕方のないことだろう。しかし、前回の仙丈岳への空身の登りが懐かしく思われるつらい登りだ。
 三伏峠で早めの昼食とする。樹林帯の中で展望が利かない中に、三伏峠小屋が建っている。あまり快適そうな小屋ではなさそうだ。烏帽子岳方面に少しいったところに塩見岳が望めるお花畑があるということだが、この後の行程を考え、割愛することにした。
 ずっと樹林帯の中の登りだったが、三伏山に登ったところで視界が開ける。あいにくの曇り空で遠くの視界は利かないが、目の前に大きく塩見岳の姿を見ることができる。頂上は雲の中だが、その山容は大きくまだ遠い。ここまで視界の利かない樹林帯の中の登りだったため、この開けた雰囲気は新鮮に感じる。
【三伏山】


初めて目にする塩見岳の姿。
だいぶ雲が出てきて、天気の方が心配だ。
 ここから、本谷山との鞍部まで大きく下り、大きく登り返し本谷山の山頂に到着。雲は厚くなってきて、塩見岳は雲の中になってしまった。
 ここからまた樹林帯の中の登りになる。心配していた権右衛門山はピークを通らず、山腹を巻いて登っていく。さすが南アルプス、樹林帯が深く森林限界が高い。長い樹林帯の中の登りが終わり、ハイマツ帯に変わると塩見小屋は近い。しかし、このあたりまでくると疲れがたまり、かなりきつい。
 塩見小屋に着いて驚いたことに、今年から幕営禁止ということだ。幸い今年は暫定的に幕営を認めているが、来年からは全面禁止だそうだ。10数張りでいっぱいになる狭いところだが、キャンプ指定地のずっと下に水場があり、利用者のマナーが悪く水源地が汚染されるおそれがあるためだそうだ。ここから雪投沢のキャンプ指定地までは距離もあり、塩見岳の山頂を越えていかなければならない。
【塩見小屋】


小屋の前は塩見岳の最高の展望所。
明日登る塩見岳が迫っている。


(12:50到着)
 今日のテントは10張りくらいだ。小屋の方はかなり混雑しているようだが、仮設の大型テントもあり、そんなにはひどい詰め込み方ではないようだ。しかし、小さな小屋なので、パブリックスペースはほとんどないようだ。キャパシティー自体が小さいので混雑しているが、北アルプスから比べれば静かなものだ。それから水場が遠い。水平距離で160メートル下ったところが水場なのだが、往復に小1時間かかってしまった。小屋の宿泊者には、1リットルの水がもらえる。
 予定より順調でお昼過ぎには到着したが、疲れのため、塩見岳山頂往復はあきらめた。のんびり午後の時間を楽しんだ。時折雲が晴れ、塩見岳の大きな山容が目の前に現れる。また、明日歩く稜線を伺うことができる。しかし、天気は下り坂のようだ。
 初めてのテント泊は快適だが、1人用のテントはやはり狭い。必要最低限のスペースといったところか。テントの中での食事の支度などには問題ないが、もう少し広い方が楽だ。収納したときの大きさと重さを考えれば贅沢は言えないだろう。最近のテントは便利なものだ。ただ、ゴアテックス製とはいえ、フライなしでは雨の方が心配だ。食事の方も、乾燥食料もなかなかいける。それだけでは寂しいので、ほかに何か考える必要がある。今夜は、塩見小屋でミカンの缶詰を調達したが。
 早めに食事を済ませシュラフにもぐり込む。心配していたとおり、夜になり雨が降ってきた。雨足も強くなり、明日も雨のようだ。
(8/15 雨のち曇)
 一度あがった雨もまた降り出してしまった。雨の中のテントの撤収は時間がかかってしまい大変だ。テントも水を含んで重くなってしまう。小屋泊まり組に比べかなり遅れて出発。雨でなにも視界の利かない中、塩見岳頂上を目指す。雨を含んだテントは重く、雨の中を歩くのは不快だ。天気は回復しそうもないし、縦走をあきらめ下山したくなってしまう。雨の中、ルートを見失いガレた急坂を登らなければならなくなった。すぐにルートに戻ることができたが、注意力が散漫になっていて危険だ。雨の中視界が悪いので、よりいっそうの集中力が必要だ。一歩間違えば遭難につながってしまう。
 雨の中の塩見岳西峰はそれなりの人でにぎわっている。視界はなにも利かないが、雨の方は小降りになってきた。ここにたどり着くまではこの先に進むのがいやになったが、山頂に到着すると、それなりの充実感がある。南アルプスの奥深くきているんだなとひとり感慨にふけってしまう。天気が良ければ素晴らしい景色を見ることができるのに、少し残念だ。 
【塩見岳西峰 3047M】


何も見えない山頂。
しかし南アルプスの山深く来ているんだなと感慨にふける。


(8:03-8:30)
 塩見岳から下っていくとお花畑が現れる。展望が利かない中、お花畑が山歩きのなぐさめとなる。北アルプスと比べると、花の種類が多く規模が大きな気がする。雪投沢キャンプ指定地までの下りはかなり急であり、あえぎながら登って来る人が多い。ここのキャンプ指定地は広く、水場も近いようだ。
 開けた尾根を下っていくと雨が上がり、雲が切れて遠くの山が見え隠れするようになる。仙丈岳の大きな山容や甲斐駒ヶ岳の独特な山容が遠望できる。雲があがっていく山並みは素晴らしい。展望は期待していなかったので、この眺めには感動する。ただ、天候が大きく回復していく様子ではなさそうだ。
【雪投沢上部付近】


雲が晴れてきて、幻想的な景色が広がる。
仙丈岳と甲斐駒ヶ岳の山容は特徴的だ。


(9:44-10:06)
 振り返ると、塩見岳の方も雲が晴れてきた。その大きな山容が目の前に広がった。しかし、すぐまた雲の中に隠れてしまう。昨日1日の歩きでペースはつかめたので、本日の行程には余裕がある。
 2719Mピーク付近でのんびり休憩して景色を楽しむことにする。塩見小屋から降りてきた中年の夫婦と一緒になり景色を楽しむ。
【2719Mピーク付近】


このあたりから見る塩見岳は迫力満点だ。


(10:15-10:59)
 ここから北荒川岳のキャンプ指定地まではものすごくきれいなお花畑の中を歩く。規模も大きく、花の種類、数とも多い。花の名前がわからないが、シシウドとトリカブトがやたら目に付く。こんな密度の濃いお花畑は初めてだが、南アルプスを代表するお花畑だそうだ。
【お花畑】


北荒川岳キャンプ指定地付近のお花畑。
非常に密度が濃いお花畑だ。
 北荒川岳で昼食とするが、展望はなにも利かない。雨は上がっているが、今にも降りそうな天気だ。ここからは樹林帯の中のアップダウンを歩いていく。登山道はびしょびしょで、木の根などもあり歩きにくい。標高2600メートルを超える稜線歩きなのだが、ずっと樹林帯の中だ。南アルプスの森林限界が高いのをあらためて実感する。唯一、竜尾見晴というところで視界が開ける。とはいってもなにも見えないのだが。それにこのあたりから雨が再び本降りになる。熊ノ平小屋までの歩きは本当に長く感じた。北アルプスのように標識があるわけではないので、一本道ながら道を間違えてしまったのか不安になったくらいだ。
 雨は降っているし、熊ノ平小屋はすいているようなので、今日は小屋泊まりとする。熊ノ平小屋は木造でこぢんまりした雰囲気の良い小屋だ。お盆なのに定員の半分程度の宿泊者で快適だ。それでも30人以上の宿泊者がいて、食事の時は広くはない食堂は混雑する。食事の内容もよく、今度はもっと静かなときに泊まりたい山小屋だ。小屋の前はテラスになっていて、天気が良ければ目の前に西農鳥岳が望めるそうだ。
 雨の方は上がり、夜には星が出てきて西農鳥岳の山容が黒く大きく見えてきた。この分では明日の天気は期待できそうだ。
(8/16 晴のち曇)
 今日は朝から日がさして最高の登山日和だ。目の前には大きく西農鳥岳が見える。天気がよいと気持ちが晴れやかで足取りも軽い。
【熊ノ平小屋】


静岡市営の山小屋で、東海フォレストが委託を受け運営している。
なんと、ここは静岡市だった。


(6:10出発)
 小屋から少し歩いてところで北側の視界が開け、仙丈岳の美しい姿が望める。少しガスがかかったようだが、下の方は雲海で、その姿が本当に美しい。南アルプスの女王とはよく言ったものだ。
【井川越】


優雅な姿の仙丈岳は南アルプスの女王だ。
二週間前には、あの山頂からこちらを眺めたのだ。
 三国平までの登りから振り返ると、昨日歩いてきた稜線を望むことができる。しかし、見えるはずの塩見岳は雲の中だ。ずっと樹林帯の中の稜線で、歩いてきたとおりの眺めだ。そしてその向こうは一面の雲だ。
 三国平は広い砂礫の台地だ。左手には仙丈岳と甲斐駒ヶ岳が並んで見える。しかし、雲がだんだん出てきて雲の中に隠れてしまった。雨の心配はなさそうだが、雲が出てきて、これからの展望はあまり期待できないかもしれない。右手には西農鳥岳が大きく見え、正面には三峰岳への稜線が見える。右手に農鳥岳への巻き道を分けている、広々とした気持ちのよい広場だ。
【三国平】


西農鳥岳の大きな山容。
ここで登山道の分岐点で、農鳥小屋への巻き道を分けている。
 三峰岳までは岩尾根を登っていく。ようやくたどり着いた頂上は標高2999メートルの狭い岩稜のピークだが、正面の間ノ岳はまだ遙か高いところにある。農鳥岳の横に富士山が見えたが、すぐに雲の中に隠れてしまった。振り返っても、塩見岳も雲の中だ。左手には一緒だったご夫婦がたどる仙塩尾根が望める。野呂川越までずっと下っており、遙か仙丈岳まで登り返すのは大変なことだろう。
【三峰岳 2999M】


間ノ岳に続く登山道。
三峰岳の標高は2999メートルだが、間ノ岳の山頂はずっと高いところにある。


(8:10-8:38)
 さらに岩尾根を登って間ノ岳山頂に到着。日本第4位の高さの山頂は広々として登山者でにぎわっている。白峰三山の縦走路にあたり、ここまでくると登山者の数がぐんと増える。日はさしているのだが、あたりは雲に包まれ視界は利かない。
【間ノ岳 3189M】


日本第4の高峰。
期待した北岳の展望はない。


(9:17-10:35)
 北岳の姿を見ようと食事をしながら待ったが、とうとう見ることはできなかった。北岳への稜線は軽装の登山者でにぎわっていて、北岳山荘泊で行動している人が多いようだ。今日は昨日とうって変わり、開けた稜線歩きで気持ちがいい。天気が悪ければ同じなのかもしれないが、樹林帯の中ばかりではいやになってしまう。
 間ノ岳から北岳山荘まではおおらかな尾根道を下っていく。ここで初めて、期待していた北岳の姿が雲の間から見え隠れする。
【間ノ岳−中白峰の稜線】


雲の合間から初めて北岳がその姿を現す。
 また振り返ると間ノ岳の姿は大きい。今まで白峰三山は三つのピークの兄弟のような山だと思っていたが、こうして来てみるとどれも山容は大きい。いずれも立派な名山だ。
【中白峰 3055M】


大きな山容の間ノ岳。
ここから見る間ノ岳は、北岳にも負けないくらい立派な山だ。


(11:42-11:51)
 お昼には北岳山荘に到着。まだ広いテント指定地はがらがらだ。山荘入り口には、「今夜は1畳につき2人の混雑見込みである」と書いてある。最近の北岳の人気はすごく、今日は土曜日なので相当混雑することだろう。今日はテント泊で正解だ。水場は遠く、水は山荘で1リットル百円で売っている。熊ノ平のような水場は望みはしないが、テント泊の時水場がないのはつらい。しかし、塩見小屋の時のように歩くことを思えば、1リットル100円で手にはいるのは幸せだ。ここは3000メートルの稜線なのだから。それに、ここではお金さえ出せば何でも手にはいる。北アルプスと全く同じ快適さだ。時間はあるので、のんびり食事をして北岳山頂を目指すことにする。雲の中視界は期待できないが、明日の天気はわからない。塩見岳のようなことがあるかもしれない。
 サブザックを忘れてしまい、空の大きなザックを背負って山頂を目指す。ザックが軽いので足取りも軽い。風が強く少し肌寒いが、登っていくにはちょうどいいくらいだ。時間がまだ早いので、大きなザックを背負って山頂を目指す登山者も多い。北岳肩ノ小屋まで行くのだろう。塩見小屋のキャンプ指定地から一緒だった人とも出会った。危険なところはないが、大きなザックを背負ってではつらそうな登りだ。
 日本第2の高峰は雲の中だ。展望はなにもないが、登ってきたという充実感は大きい。私が今まで登った最高峰で、富士山に次ぐ高さなのであるから。時折仙塩尾根と野呂川の谷がずっと下に見えるが、展望はほとんどない。それでも1時間あまり北岳山頂まで登ってきた余韻を楽しんだ。
【北岳 3192M】


富士山に次ぐ日本第2の高峰。
期待した展望はなにもない。


(14:39-15:35)
 山頂から戻ると、キャンプ指定地はテントでいっぱいだった。張るスペースがなにもないというほどではないが、張りやすいところはもう無い。山荘の中も混雑しているようだ。雲は多いが雨の心配はなく、テント泊は快適だ。ゆっくり夕暮れの時間を過ごすことができた。早めにシュラフの中にもぐり込んだが、なかなか寝付くことができない。神経が高ぶっているせいなのだろうか。明日は下山するだけだが、天気が良ければもう一度北岳山頂を目指すつもりだ。
(8/17 晴)
 空は一面の青空で、テント指定地の前からは富士山が大きく望める。最高の登山日和であり、山頂をもう一度目指すことにする。下山ルートをいろいろ考えたが、八本歯のコルから大樺沢を下ることにする。昨日通った池山吊尾根分岐に荷物をデポして山頂を往復する。
【北岳南側キャンプ指定地】


夜明けの富士山。
北岳山荘前は富士山の最高の展望台だ。


(6:12出発)
 北岳山頂は最高の展望だ。昨日来たときとはまるで違う世界だ。仙丈岳と甲斐駒ヶ岳が目の前に広がり、振り返ると間ノ岳から塩見岳まで見ることができる。塩見岳は遠く、よく歩いてきたものだと感激してしまう。こうして歩いてきた山並みを見ることができるのは本当に楽しいものだ。今回の縦走は展望には今ひとつ恵まれなかったが、最後は最高の展望を目にすることができた。富士山から北アルプスまで見える360度の展望だ。いつまで見ていても飽きない眺めだが、素晴らしい展望に感激している登山者を後に頂上を後にする。
【北岳 3192M】


昨日とはうってかわって素晴らしい展望の山頂。
仙丈岳と甲斐駒ヶ岳は対照的な山容だ。


(7:10-7:42)


間ノ岳と塩見岳(奥)。
塩見岳からよく歩いてきたものだ。
 八本歯のコルまでは歩きにくい道を下る。梯子もあり、ちょっとスリルのある下りだ。八本歯のコルの付近は登山道も狭く、降りる人登る人で混雑している。さらに梯子場をいくつかすぎて大樺沢の上部に出る。ここからずっと大樺沢を下ることになる。正面に鳳凰三山を見ながらの急坂で、ずっと広河原まで見ることができる。目的地は見えるがずっと長い下りだ。
【大樺沢上部】


鳳凰三山と大樺沢。
 最高の登山日和、登ってくる人も多い。太陽を遮るものない長い急坂で、最短コースとはいえ登るのはつらそうだ。日本第2の高峰への直登ルートであり、つらいのが当たり前かもしれない。それにしても登ってくる人も降りていく人も多い。ずっと見渡すことができるので、登山者が蟻のように見える。それから、この時期雪渓が残っているのにも驚いた。
 大樺沢二俣から傾斜は緩くなるが、樹林帯の中に入り歩きにくいところも多い。思っていたより時間を要して広河原山荘に到着。本当に長い下りだった。おなかもすいてきて山荘で食事もしたかったが、バスの時間もあり先を急ぐことにする。
 林道ゲートのところでタクシーの運転手に声をかけられた。バスと同じ値段ならタクシーの方がずっと快適だ。ここからのバスは座れないこともあり、また、ザックを膝で抱えなければならないかもしれない。それに所要時間が半分だ。幸運なことに10分ほどで人数が集まった。山道で後ろの席の真ん中はつらいが、前よりは楽だろう。
 バスでの予定よりだいぶ早く甲府駅に到着。20分ほど並んで「かいじ」の自由席に座って帰ることができた。その前の「あずさ」はいっぱいだったが、「かいじ」は空席のまま発車。のんびり駅弁と冷凍ミカンを食べることができた。大月で立つ人も出たが、混雑はたいしたことはない。時間的に早いせいもあるが、お盆の時期でもこんなものなのだろうか。
 初めてのテント泊の縦走であり不安も多かったが、無事下山することができた。重い荷物であるが、体力的にも問題ないことがわかった。長い縦走をすべてテント泊ではつらいが、今回のように途中に小屋泊まりを入れると楽だ。お盆であり、この時期の登山は大変だと思っていたが、すべて順調だった。塩見岳は雲の中だったが、北岳では最高の展望が得られた。いろいろな意味で充実した山旅だった。
Camera : MINOLTA α707si Scan : EPSON GT-9300UF


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