爺と婆の世間話
(山陰中央新報セールスセンター発行の「りびえーる」に掲載したものです。)


第六十三話 ぎょうぎする(2003年12月14日掲載)

【出雲弁】

「よが、あけーのが、おそ、なーましたがねー」

「も、じき、冬至だけんのー」

「きょねんは、冬至の、カボチャ、くいませんでしたがねー」

「そげそげ、芋と、えっしょくたに、おいちょったら、ねじんに、かじらいて、しまったがのー」

「ことしゃ、どっちも、ねじんらじに、えて、あーますけん、せわ、あーませんじ」

「ババ。けさがた、ねじんらじが、どげだいこげだい、はいごん、しちょったの」

「おとさんが、『いーこと、きかな、ねじんらじ、だじ』だてて、拓哉を、ぎょうぎ、しちょーましたわね」

「なんで、また」

「おもちゃが、ほし、てて、やんちゃ、こきますだけんね」

「ほんな、おらが、正月に、買って、やらかのー」

「オジジ。なんでも、かんでも、ほしもん、ごて、買って、やっちょった、てて、えけしませんじね」


【共通語訳】

「夜が明けるのが遅くなりましたよねー」

「もうすぐ冬至だからねー」

「去年は冬至のカボチャを食べませんでしたよねー」

「そうそう、芋と一緒に置いておいたらネズミにかじられてしまったよなー」

「ことしは、どっちも”ねじんらじ”に入れてありますから大丈夫ですよ」

「お婆さん。けさ”ねじんらじ”がどうのこうのと騒いでいたね」

「お父さんが『言うことを聞かないと”ネズミ入らず”に入れるぞ』といって拓哉をしかっていましたよ」

「どうしたのかい」

「おもちゃが欲しいと、やんちゃを言っていましたからね」

「それじゃ、私が正月に買ってやろうかねー」

「お爺さん。なんでもかでも、欲しいものを全て買ってやってはいけませんよ」


(解説)
 「ねじんらじ」は「ネズミ入らず」の訛ったもので、ネズミが入らないように作られた穀物を入れる物置です。納屋の薄暗いところにあり中からは開けられないようになっています。やんちゃを言ってしかられたときに『いーこと、きかな、ねじんらじ、だじ』と脅されたものです。

(参考)
 出雲地方の「ぎょうぎする」は「しかる」とか「懲らしめる」ですが岡山県小田郡では「いじめる」という意味だそうです。隠岐では「ぎょうぎな」を「厳重な」という意味で使うそうです。同じ言葉でも地域によって違う意味や使い方になります。

(奥野栄)

 

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