斐伊川の魚(奧出雲編)
(島根県立宍道湖自然館ゴビウスのご協力で
共通語魚名から魚の映像へLINKしています)
子供の頃から魚釣りが好きで夏休みは毎日近くの川へ釣りに行ったものです。
小学生低学年の頃は家から近い阿井川(1級河川)の支流の小川で「ドロンバエ」(アブラバヤ)が対象魚でした。
餌はミミズが一番良いのですが雨の降らない日が続くと餌場もひからばちってしまいミミズも土深くもぐってしまうのか餌の確保が出来ないことがありました。
そんな時は釣果は落ちますがご飯つぶでも釣れるのではんぼの中から1握りのご飯を持って川に行ったものです。
釣れたてて食べる訳でもなく持帰って金魚鉢に入れて飼うのですが観賞するような魚ではありませんでした。
同じような場所で生息していたのが「ボッカ」と呼んでいた(カジカ)です、25Cmくらいの大物もいて餌はミミズで釣りました。
小学生も高学年に成ってから大人の釣っている「ウグイ」が釣りたくて阿井川にデビューしました。
今にして思えば小さな「ウグイ」でしたが初めてだったその引きにはおべました。
それからというものは専ら阿井川通いが始まりましたが釣れる魚も限られていて「ウグイ」が主でした。
大物は雨上がりの濁った川で釣るのが一番で餌はミミズかソーセージで釣ります、大型になると30Cmを越える物も釣れました。
小型、中型は数も多くよく釣れたものでした。
口元にぶつぶつした特徴のある「アカンバエ」(カワムツ)は元々数が少ないのか産卵期だけの変化なのかはよく判りませんが、滅多には釣れませんでした。
その「アカンバエ」と区別が判りませんが小ぶりの「ハエンゴ」(オイカワ??)のほうがよく釣れました。
「ウグイ」の餌は「川虫」と呼んでいた浅瀬の岩と岩の間に網を張って巣を作っている黒い虫(トビゲラの幼虫)でした。
滑らかな岩にいる「チョロ」(カゲロウの幼虫)は採ろうとするとチョロチョロと逃げてしまいなかなか数の確保が難しかったのを憶えています。
その動きから名前がついたのでしょうね。
このような瀬の脇のよどみには「ゴジ」(ヨシノボリ【ハゼ科】)が岩陰にたくさん居ました。
その他、特筆すべき魚で今では絶滅寸前の珍しい魚「テッキリ」と言うナマズのように髭があり色は赤紫色をした(アカザ)絶滅危惧II類が居ました。
この魚は気持ちが悪いのと外観ではわからないが棘があり刺されると毒があり痛いので餌採りもこれが居るのがとてもイヤでした。
渓流編
ここまではごく普通の川釣りですが、同級生が「ニジマス」が釣れると言う話をしました。
放流物だとは知らなかったもので「そんなものが居るわけが無い」と信じていませんでしたが、ある日釣った「ニジマス」を自慢げに見せてくれました。
早速、その釣り場に案内して貰ったのですがとてもとても川に入れそうな場所ではなくて諦めました。
なにしろ芦のぼうぼうと茂った小川です。
その放流された釣り場とは広島県境に限りなく近い山奥の小川で鯛の巣山麓で斐伊川の源流です。
その辺りは「ハンザケ」(学名:オオサンショウウオ)の生息する渓流で雪解け岩清水の流れで出来た小川です。
小生はヘビが大嫌いで芦の茂みを掻き分けてその川に行くことがおぞーて出来ませんでした。
その小川から沢違いの小川が合流し段段と大きな川になってるのですが、その合流辺りは子供でも入ることが出来るところでこの辺りは「コギ」が釣れました。
「コギ」は物気配の敏感な「ヤマメ」とは違い虫なら何でも食べてしまうどう猛な魚です。
ある夏の早朝、オニヤンマが飛んで来たのでそれを生きたまま釣り針につけて錘を外して堰堤の水面に着水させようと誘導させていたらオーバーではなく1mも飛び上がって食らいつきました。
なんと38Cmもある超大型「コギ」でした。
これは放流ではない天然物です。
最近は「ヤマメ」の放流はされているようですが「コギ」の放流は聞いたことがありません。この辺りになると川釣りから渓流釣りに変わります。
日本古来からある釣法でテンカラ釣りというのが役に立ちます。
最近はフライフィッシングが主流になっていますが同じように毛鉤を使い竿の長さの糸を鞭のように操って「ヤマメ」や「コギ」の居そうなポイントを探りますが、活餌は使いません。
渓流も更に山深く沢に登って行くと釣り糸の長い物は木々が生い茂っていて扱い難くなるので釣り糸は1mくらいにして岩陰から魚の居そうなポイントの水面にポトリと落としてやる・・・・、
これはチョウチン釣りと呼んでいますが田舎では何と言っていたのかは知りませんがこの釣法は全国各地に今でもマニアがいるそうです。
忍び足で岩陰に身を隠してポイントに糸を垂らすといきなり「コギ」が釣れる様はまさに痛快でスリル満点です。
この沢釣りは帰郷の短い休みの日程での釣行です。
しかし、このような沢は熊が出て来るので大変に危険です。
熊鈴を腰にぶら下げてチリンチリンと鳴らして沢を歩きますが命がけの釣行です。
地元の方達が「松江や出雲の方からよー来てだが熊のおぜーことを知らんだがの」と話をしています。
人里に近い川での放流ヤマメ釣りくらいが安全でしょう。
そして最後にお願いですが、このような自然で育った貴重な魚は是非共リリースをして下さい。
文中、魚名のはっきりしないものもありますが、地方により名前と若干の体形などが違います。専門家ではない私のことですので詳しくは専門書や図鑑等を参考にして下さい。
石原[仁多]在東京