師匠&J.Jvs?&ヨッシー君!!(中篇)

<The last story 4>

















俺と師匠はS子とヨッシーに対面して黙って座っている。

何かを言いたいところだが、S子の思わぬ発言に必死に堪えるので大変だったからだ。


ヨッシー「ん?どうした?2人して急に静かになったけど」

師匠「そんなことないよ。なぁ?J.J」


(お・・・俺に振るんじゃない!顔を上げただけで今にも吹きだしそうなんだ!)


そう言いたかったが、声を出すのも辛いので黙って頷く。

その様子を見た師匠は足で俺を小突いた。

俺はわざとらしく軽くごほんと咳をして立て直す。


「お・・おう。ごめん、ごめん。俺はそんなの見たことないからどんな風に見えるのかな〜って想像しちゃってね。師匠は?」


そう言うと師匠はちょっと強目に俺の足を小突いた。

どうやら「その話を俺に振るな」という意思表示だ。


師匠「俺も霊感ないから見たことないな〜」

S子「あ〜そうなんだ〜。私ら毎晩のように見るよ」

俺「へえ、どんな人が見えたりするの?」

S子「色んな人いるんだけど、さっき電信柱の話の時はおじさんだったよ」


俺と師匠はまた顔を伏せて「うぅ」と唸った。



(まさかただの酔っ払いのおっさんじゃないだろうな!)



心の中でそうツッコミ思わず吹きだしそうになる。

辛過ぎる状況が続く中ヨッシーが師匠に問いかけた。


ヨッシー「そう言えば師匠の彼女来るの遅いね」

師匠「そうやな。悪いけどちょっと外で電話してみるわ」


師匠はそそくさと席を立ち外に出た。

なんとなく誰も喋らずその場が静かになる。

少しして師匠が店のドアを顔を出せる程度開き、上半身だけ俺たちに見せると、外に出ようと誘うジェスチャーをした。

察するにもうすぐ来るのだろう。

俺がテーブルにおいてあった伝票を持つ。

払うと声をかけてくるヨッシーカップルを制して、先に出るように促し、支払いを終えて外に出た。


師匠「寒いな!」

俺「そうだな」

ヨッシー「寒いな〜」

俺「お前北海道にいるんだから、これくらいの寒さは何ともないだろう」

ヨッシー「うんにゃ、あっちとこっちじゃ寒さの質が違う」

俺「そうなのか?」

ヨッシー「おう。こっちも寒いよ」

師匠「お!やっと来た!」


道を挟んで向こう側に師匠の彼女が立っていた。

師匠が手を振って、車が来ないことを確認すると走っていった。

それを見て俺やヨッシー達も釣られて走る。

渡りきってから改めて挨拶をした。


師匠「彼女のA子や」

A子「仕事の都合で遅くなちゃってすみません。初めまして。A子です。宜しくお願いします」


俺はA子とは2、3度顔を合わせている。

随分前になるのだが、顔は覚えていた。


俺「お久しぶりですね。宜しく」

ヨッシー「初めまして。ヨッシーです」

S子「どうも。こんばんは。宜しくお願いしますね」

師匠「よし。皆揃ったし、時間も遅くなったから早速移動しよか」

俺「ん?店ってどこ?」

師匠「駅表にある居酒屋や。ここからも近いしいいやろ」

俺「あ〜、あったな」

師匠「んで、J.Jバイクだろ?どっちに乗る?」

俺「どっちって・・・」


どっちにしても乗りにくい状況だ。

少し考えたがどっちも顔見知りだから師匠の車に乗ろうと思い、声をかけようとした。


俺「俺は・・・」
師匠「じゃ、ヨッシーのだな」


発言がかぶり師匠が俺の顔を見た。


師匠「ん?どうした?」

俺「いや・・・俺はどっちでもいいといいかけたんだ。ヨッシーのほうに乗ればいいのか?ヨッシーはそれでいい?」

ヨッシー「おう。俺はどっちでもいいぞ。道忘れてるし、教えてくれ!ムフフ!」

師匠「じゃ、J.J頼んだぞ」

俺「ほいほい」

師匠「ヨッシーは車どこに停めてる?」

ヨッシー「お前の車の後ろや。あそこしかないだろう」

師匠「じゃ、3人はここで待ってて」


ヨッシーと師匠は駆け足で車に向かった。

待つ間特に何も話することもなく黙って待っていた。

ぼーっとしていると前に師匠、後ろにヨッシーの車が並んで俺達の前に停めた。

皆乗り込むのを見てから俺は運転席の真後ろに乗り込んだ。

ヨッシーに道を教える時、ハッキリと指示を出せて、大きな声を出さなくても済むと思ったからだ。

師匠のスポーツカーが走り出したので、ヨッシーの普通乗用車も発進する。


ヨッシー「J.J頼んだぞ。道教えてくれよ」

俺「おう。分からなくなったら聞いてくれ」


目的地までどんなにかかっても30分くらいだろう。

車内はしばらく静かだったがS子がヨッシーに話しかけ始めた。


S子「あの車さぁ〜、改造してるよね」


どうやら師匠の車を指して言ってるらしい。


ヨッシー「そうやな」

S子「あの音うるさいよね〜」

ヨッシー「ムフフ!まぁあんなもんじゃないか?」

S子「あれってマフラーだけしか変えてないのかな?」


師匠の車は動きを見れば分かる人は分かる程改造している。

サス、マフラー、タイヤの大きさやその他の様々な部分まで変えている。


ヨッシー「他もいじってると思うよ」

S子「私の兄貴さ、○○-○乗ってるでしょ。あれもいじってるけど、兄貴のほうが速いよ」

ヨッシー「ん〜、どうだろ。ムフフ!」


俺は何故か嫌な予感がした。

話の流れがおかしい。

なんとなくだが、師匠の悪い話に流れそうだ。

その友達の俺がいるのを忘れてるのかも知れない。

軽く咳払いをしてみる。

「ここに人がいる」と存在を気づかせられればと思ったからだ。

しかし全く気にする様子はない。

何度かしたがヨッシーもこちらの様子を窺う素振りすら見せない。

そして嫌な予感が的中した。


S子「だけどさ、あんな車見てると思うんだよね」

ヨッシー「ん?何て思う?」

S子「馬鹿じゃないの?って。くだらないな〜って。あんな車見てそう思わない?」

ヨッシー「ん〜、ムフフ!どうだろ。ま、俺も昔はバイクいじってたからな〜。今はもう何もしてないけどさ。だから、見えなくはないかな〜」


絶句した・・・俺の目の前でそこまで言うだろうか・・・

そこは2人きりの時とかで話する話題だろ・・・

俺は黙っていることにした。

話に入れそうもない。

いや、入りたくないと言ったほうが正確か。

俺の前では時々2人は話していたがそれ以外は静かだった。

しばらく走ったところでヨッシーに道を尋ねられて答えたが、俺は店に着くまでずっと話もすることもない。

しかし、このことはこの後何事もなければ言わないでおこうと思った。

俺が黙っていればもめることもないだろうと思った。

折角久しぶりに会って楽しむために集まったのだ。

そして店に着いた。

ドアを開けると「いらっしゃいませ!」と大きな声が飛んでくる。

店内を見ると中々の活気だ。

俺たち5人は店員に案内された席に座ると何を食べるかメニューを見て注文を済ませた。

ヨッシーとS子並んで座り、師匠とA子と俺とはヨッシー達と対面する位置に並んで座った。


ヨッシー「ここ来るのは初めてだけど、結構賑わってるな」

俺「北海道では飲んでるのか?」

ヨッシー「いや〜、飲んで酔っ払ったらまずいから飲まないけどな。たま〜に飲むくらいかな」

俺「何がまずいんだ?」

ヨッシー「ほら、なんかあったらすぐに向かえるようにな。例えば出産とか」

俺「なるほどね・・・」

ヨッシー「そういえばお前らと飲むのも本当久しぶりだな」

俺「最後飲んだのいつだっけ」

師匠「ずっと昔じゃないか?3人で飲むってのもあんまりなかったしな。J.Jの家とかそんなところじゃないか」

俺「そうかもな」


そこへつまみと酒が運ばれてきた。

テーブルにどんどん置かれていく。

全員がビールを持つと乾杯をした。

俺はビールはあまり飲めないほうのなので何口か飲んでテーブルに置いた。

酒を飲み始めるとタバコが恋しくなる。

しかし・・・いくらポケットを探ってもお目当てのものが手に触れない。

テーブルも見たが、どこになかった。

その様子を見ていた師匠が声をかけてきた。


師匠「タバコ切らしたのか?」

俺「持ってたつもりだったんだけど、見当たらない・・・店の入り口あたりに自販機あった気がするから探してくるわ」

S子「あ、だったら」


俺は立ち上がったところでS子が何やら探し始めた。

ずっと立ってるのもなんなので、座りなおして待つことにした。

すると鳥のから揚げが2皿運ばれてきた。

いつ頼んだんだろうと思いながら皿に盛られてるからあげを見る。

量は結構ある。

一個の大きさもあり、他にはパセリにくし型切りされたレモンがいくつか並んでる。

美味しそうだ。

S子はまだ探しているようだった。


俺「あ、もういいですよ。俺見てきますから」

S子「もう少し待って。必ずあるはずだから」


そこまで言われると気が済むまで待つしかなさそうだ。

から揚げを食べようと視線を落とし一口かじったところでヨッシーが何か言ってる。


ヨッシー「hらねおらっじうぇあのじょふぁ」


何を言ってるのかさっぱり分からない。

とりあえず一口かじったので、顔を上げてヨッシーを見た。


俺「は?何?何言ってるのか分からないぞ」

ヨッシー「・・・」

俺「マジで聞き取れないって」


ヨッシー「fygふいlmpw」

俺「おい。いい加減にしろよ。何食べてるんだ」



































次の瞬間異様な光景が俺の胸を貫く!!






































ヨッシー「むふふふ!」


ヨッシーが笑うと色鮮やかな黄色い物体が姿を現した!


マジマジと見るがなんなのか分からない!

ただ気持ち悪いのだけは伝わった!



































そしてヨッシーは誇らしく黄色い物体をようやく口から出して
俺に見せ付けると一言!!





























ヨッシー「レモンや!!」

































ド━━━(゚ロ゚;)━━ン!!






















師匠と俺

ぶはははははははは!!(≧0≦)
















あまりの衝撃に師匠は下を向きながら笑う!!
















俺「お・・・お前何やってんだ!しかも静かだなと思ってたらそんなこと
してたのかよ!」

師匠「お前それマウスピースと違うぞ!」

ヨッシー「あれ?レモンをさ、こう絞って飲んだら口の中
サッパリするからしない?」





俺と師匠はその問いかけに全力で答える





















俺「するかッ!!」
師匠「するかッ!!」






ヨッシー「え?俺だけ?」

俺「絞って飲むのはまだ許そう!しかしレモンごとくわえ込んでる
やないか!」

師匠「そんなことしないと思うぞ・・・普通は料理にかけるだろ・・・」

S子「それでサッパリするの?」

ヨッシー「おう!」


それを聞いたS子は更に置いてあるレモンに手を伸ばし・・・



俺(ま・・・まさか・・・)













レモンを口に放り込んだ!!

















S子「ほんヴぉら」


俺と師匠とA子は最早言葉を失ってうつむき加減で笑っている!


しかしまだ終わらない!!


ヨッシー「だろ?美味しいし、サッパリするからいいやろ!」


そう言ってヨッシーも再び口に入れた!


そして二人揃ってこっちを見ながら何か喋ってる・・・


S子・ヨッシー「みんらもらめしたら?」


恐らく「皆も試せ」と言うことなのだろう

俺たち3人はその言葉に釣られて2人の顔を思わず見てしまった!!
























そこに広がる光景は2人がレモンをマウスピースのようにしっかりと
はめ込みながらニヤっと笑ってる姿だった!!

レモンが美しくテカってる!!
































A子は笑いを超えてやや引き気味だったが、
俺と師匠は笑い崩れている!

そしてトドメとばかりに異様な音が聞こえてきたっ!!






















じゅぅ〜〜、じゅぅ〜〜〜































俺と師匠

ブワァハハハハハハハハハ!!!!


































た・・・頼むからやめてくれ・・・!!壊れちまう!!

































2人ともくわえながらそのまま吸うんじゃねぇぇぇ!!!!!




(o_ _)ノ彡☆ギャノヽノヽノヽノヽ!! ノヾンノヾン!




























恐ろしく純粋に汚い!!
























2人は満足げな顔でレモンを口に入れ吸っている














そして喋る時も笑う時もちらっと口から覗かせる光るレモン




























しかも何故か当たり前のようにごくごく自然にやり取りをする
S子とヨッシーを見てただ笑うしかなかった














2人の前では俺たちはただの迷える子羊です・・・
誰か2人を助けてやってください・・・
q(T▽Tq)(pT▽T)p






























俺と師匠はようやく落ち着きを取り戻した。


俺「おい・・・分かったからもうやめろ・・・」

ヨッシー「折角教えてやったのに・・・結構する人いるんだぞ」

俺「いや・・・待て。お前は何かを勘違いしている」

ヨッシー「ん?なんだ?」

俺「確かに世の中にはしてる人もいるかも知れない。しかしだな・・・お前がするとなんか浮世離れしてる・・・それに行儀がいいとは言えないぞ・・・」

ヨッシー「まぁな!ムフフ!!」


相変わらずのヨッシーにS子というパートナーを得てぼけっぷりに磨きがかかっている。

誰も彼らを止められない。

俺も師匠も知らなかった。

S子がまだ本領発揮していないことを・・・



そして・・・

















どんな結末が待ってるかも・・・



















<続く>