負けるな!ヨッシー君!!











君はヨッシー君・・・

君はなんて素晴らしいんだ・・・

俺の考えの及ばない、超越した存在・・・


異質な存在・・・俺とは違う質の時間が流れている・・・


その輝かしい異質な出来事をご覧ください・・・




















社員としてして働いていた会社を『壮絶な形』で辞めた後、師匠は就職先が中々見つからず、仕方ないのでアルバイトを探していた。


ヨッシーは専門学校を卒業後、師匠と同じく就職先がなくフラフラしていた。


そして、俺は本格的にビリヤードの道を進むべく、会社を辞め、アルバイトをしながら、お客さんにビリヤードを教えたり、
技術を磨いて生活をしていた。




そんなある日・・・




時間は12時を回る頃、家の電話が鳴った。

俺は食べていたのだが、慌てて飲み込み受話器を取る。



俺「はい、もしもし。J.Jです。」

師匠「おう。俺や。」

俺「あぁ・・・どうした?」

師匠「あぁ・・・とはなんだ。嫌そうだな。かけない方が良かったのか?だったら、切るぞ。」

俺「すまん、すまん。失礼やったな。他意はない。で、どうした?」

師匠「今から来い。」

俺「あのな。どうしてそう言う言い方しか出来ないんだ?『遊べますか?』だろ?普通の会話は。大体何処に来いって言うんだ?」

師匠「知らん仲でもあるまいし。俺の性格知ってるやろ。ヨッシーの家に来い。今そこにいるから。」

俺「嫌と言うほど知ってるよ。しかし、俺は疲れてるんや。もう少し寝るよ。<玉突き>ずっと朝までしてたから、眠いんだ。
バイト終わってからもしてたからな。」

師匠「バイトは深夜3時までだろ?それからもやってたのか?」



<玉突き>とはビリヤードのことである。

正確には分らないが、少なくとも俺の住む県やその付近の県でもビリヤードをしてる人は<玉突き>と言う。

全国共通かどうかは知らない。多分共通だとは思うが・・・



俺「やってたよ。眠い・・・」


俺はそう言いながらあくびをした。


師匠「そんな事はどうでもいいが、今日は休みか?」

俺「俺に休みはないよ。一応今日は週に一度の休みにはなってるけどね。」

師匠「じゃ、遊ぼう。」

俺「駄目だな。常連さんが多分店に来るんだ。相手する約束がある。」

師匠「来い。」

俺「お前は素晴らしく偉そうだな。なんだその命令口調は。俺は行かないと言ってるだろ。常連さんに悪いじゃないか。」

師匠「その人の連絡先は知らないのか?」

俺「知ってるよ。それがどうした?」

師匠「急用が出来て今日は店に行きませんと言え。」


俺「馬鹿なこと言うな。お前によっぽど何か大変なことがあるとかなら分かるが、遊ぶ為にそんな事言ってるんだろ?
それで断れる訳ないじゃないか。」


師匠「今日はお前休みだよな?」

俺「そうだ。」

師匠「その常連さんは、この電話のやり取り知らないよな?」

俺「盗聴器でもなければな。」

師匠「じゃ、大丈夫だ。用事があるので、今日はパスですって言え。」

俺「・・・はぁ〜・・・お前自己中やなぁ〜・・・しかし、残念ながらそれは無理だ。」

師匠「そうや。自己中や。だから、来い。」

俺「お前は自己中と言われてまで来いって言うのか?自己中を理由に来いって言える奴はお前しか知らんぞ。」

師匠「それでお前が来るんなら、別になんて言われようが構わん。」

俺「目的のためなら手段を選ばず・・・やな。」

師匠「分かってるならさっさと来い。今から店に行くまでに時間はないのか?」

俺「ない!すまないな。じゃ、これで。ヨッシーに宜しく。」


師匠「時間はある。お前のスケジュールからすると、時間は必ずあるはずや。それにヨッシーに宜しくって言いたければ、
ここまで来て直接本人に言え。」


俺「おいおい!スケジュールが分かるはずないやろ。勝手なこと言うな。別に伝えなくてもいいから行かないよ。じゃあな。」

師匠「それくらい分かる。お前にはビリヤード以外に何がある。それ以外は家で寝てるか飯喰ってるかしかやる事ないだろ。」


俺「ことごとく失礼なこと言うな。」

師匠「じゃ、違うのか?」

俺「・・・」

師匠「じゃ、来い。待ってるぞ。」

俺「おい!俺は知らないからな!いくら待っても・・・」



ガチャ!!

プープー・・・



切れている。


俺「くそッ!!切られた!!」


俺はすぐにかけなおした。

しかし、出ない・・・


俺はため息混じりに渋々準備して、ヨッシーの家に向かった。


数十分後・・・

俺はヨッシーのアパートについた。

ドアをノックする。


コンコンコン・・・


俺「おーい!来たぞ!!」


すると2階の窓の開く音がした。


師匠「おう!上がれ!!」

俺「何でお前が答えるんや!!」


窓を閉める音がする。

俺は再びため息をついて、ドアを開け「お邪魔します」と言いながら階段を登る。

登りきると右手に部屋があるのだが、そこは4畳ほどの畳部屋が開放されっ放しだ。

そこを通って隣がヨッシーのメインの部屋である。

広さも同じだ。ただ、カーペットが敷かれて、座椅子が中央に一つあり、窓際に布団が敷かれていた。

万年床だ。部屋に入ってすぐ右手に机がある。机の上にはパソコンに大人の本が沢山ある。

右の壁はふすまがある。中には布団の代わりにアニメのポスターやら雑誌やらが詰め込まれていた。

左の壁には台があり、テレビが乗っていた。

座椅子にはヨッシーが座っている。

師匠は布団に寝転がっていた。

ヨッシーと師匠は俺を見た。

ヨッシーは・・・相変わらずあごに無精髭・・・




黒縁めがねにボロボロの白地に文字のプリントが入ったTシャツにジーンズ。








髪は・・・変わっていた。

五分刈りに後ろ髪は何やらチョロッと伸びていて、紐で結んでいる・・・

一部だけ伸ばして結んでいるので実に貧祖で滑稽とも言える見てくれだ・・・

その独特の髪型はアニメの影響らしい・・・




そして、俺を見てえくぼが出来るその笑顔・・・



う〜ん・・・不気味だ・・・



気持ち悪さに磨きがかかっていた。



見た目だけで言ってる訳ではない。


そこからかもし出す雰囲気が気持ち悪いのだ。

昔のオタクみたいな感じだ・・・なのに、妙な明るさを出しているそのアンバランスさが気持ち悪いと言うか、しっくり来ないと言うか・・・


俺がヨッシーの家に来た時に見る光景は椅子にはヨッシー、布団に師匠と言うのがいつものスタイルだ。


師匠「おう!遅いぞ!かなり汚いが適当に座れ。」

ヨッシー「やかましいわ!」

俺「人を無理矢理誘っておいてどう言う言われ方だ。めちゃくちゃだな。で?呼び出しておいてこれからどうするんだ?何をする?」

師匠「何もない。ゲームでもするか。」

俺「あのな。せめて何をするか考えてから呼んでくれよ。」

師匠「2人で考えるより3人で考えた方が考えが広がるだろ。」

俺「じゃ、ヨッシーは何か考えてるのか?」

ヨッシー「ムフフフ!何も考えてない。」

俺「はぁ・・・それでゲームか・・・そう言えばヨッシーは前にバイトの面接に行ったんじゃないのか?結果は?」

ヨッシー「あかんかった。」

師匠「やっぱりそのアゴが悪いんじゃないか?ちゃんとアゴに蝶ネクタイしたか?」

ヨッシー「うるさいなぁ〜!そんな訳ないやろ!それにそんなことするか!」


師匠「お前俺と一緒にバイトの面接受けるか?もうじき面接があるんだが、お前遅れて面接受けろよ。日にちずらさないと友達って分かったら、
落とされるかも知れないし。」


ヨッシー「どんな所?」

師匠「おもちゃの販売店や。」

ヨッシー「ふぅ〜ん・・・行ってみようかな。」

俺「まぁ、頑張れよ。ちゃんと髭それよ。髪型・・・その後ろ髪何とかしろよ。気持ち悪いぞ。」

ヨッシー「うるさいなぁ〜。そんなに気持ち悪いかぁ?」



俺「気持ち悪い」
師匠「きもいぞ。」


ヨッシー「ムフフフ!そうかな〜!そんなん2人で言わなくてもいいだろう!」

師匠「正直に言うとそうなる。とにかく面接俺が先に受けるから、もしお前も受けるなら教えてくれ。その時に番号教えるから。」

ヨッシー「分かった。」




そんな話から数日後・・・

師匠からヨッシーも受けることを聞かされた。




さらに数週間後・・・



俺の家の電話が鳴る。


俺「はい、もしもし。J.Jです。」

師匠「俺や。」

俺「おお!どうした?」

師匠「聞いたか?」

俺「何が?」

師匠「バイトの話をヨッシーから聞いたか?」

俺「そう言えばそんな話あったな。結局どうなったんだ?」

師匠「なんだ。知らないのか。」

俺「で、結果は?」

師匠「俺は合格して働いてるが、ヨッシーは落ちた。」

俺「おお!おめでとう!!しかし、ヨッシーは落ちたんだな。残念だが、何故かおもろい。そっちの方が似合ってる気がするのは俺だけか?」

師匠「いやぁ〜、皆思う所は一緒だろ。しかし・・・さすがヨッシーや。」

俺「何が?」


師匠「俺は驚いた!もう何とも言えなかったぞ!!信じられん!」


いつになくテンションが高い。


俺「どうした?何がそんなに驚くことがあるんだ?」

師匠「お前なら落ちた理由として何を思い浮かべる?」


俺「そうだな・・・やる気がなさそうだとか、服装がヤンキーみたいな奴だとかなら厄介払いか・・・
要はその店に貢献しなさそうな奴は不合格だろうな。」


師匠「そうやろな。そんなもんやろ。しかし、そこはヨッシーは違うんや。さすが!と思ったな。あいつには敵わない!実は俺は面接した店長に
聞いたんや。」


俺「そうなんや。それで?」


師匠「どうしてヨッシーを雇わなかったかを。すると、理由がな・・・店長いわく・・・」


俺「うん・・・」







俺は頭の中で色々理由を思い浮かべながら聞いていたが、次の瞬間そんな想像は瞬時に吹っ飛ぶ!!



















店長



なんか変な宗教に入ってそうだったから。





















俺・師匠



・・・・・・・・・・















2人


ブワァハハハハハ!!!!!(≧∇≦)ブハハハ!
















<変な宗教に入ってそうだから>
ですかッ!!!!!















ヾ(≧▽≦)ノギャハハ☆ヾ(≧▽≦)ノギャハハ☆







す、凄い!パーフェクトな答えだ!Boy!!











そのヨッシーを理解不可能だとバシバシ
感じさせる台詞・・・










あまり誰も使わない<変な宗教>と
言う語彙・・・




俺には手に負えんと言わんばかりの
ニュアンス・・・







響き、内容の奥深さ・・・

どれをとってもエクセレントッ!



それを人に言わすとはさすがヨッシー!!



























ヒィ〜、ヒィ〜!!

腹・・・腹ぁ〜痛いぃぃッ!!!!!!




















た、確かに怪しさ全開だが、
なんだその理由は!!!!!













し、信じられん!まさに奇跡だ!!

奇跡が起こったのだッ!!








そんな理由で落とされる人がいるなんて初めて知りましたッ!!!!!

(o_ _)ノ彡☆ギャノヽノヽノヽノヽ!! ノヾンノヾン!





















師匠「あはは!!本当に信じられなかった!聞いた時は笑いを堪えるのにしんどくて、しんどくて!!あはは!今思い出しても笑える!!」



俺「マジか!!す、すげぇ〜よ!!!」




師匠「どうやら、あの髪型がトドメだったらしいな!見た目に怪しかったらしいんだが、それにしても凄い理由や!!確かにあんな格好してたら怪しいけど・・・アハハハ!!
聞き間違いかと思った!!変な宗教に入ってそうだからだとさ!!」
















さすが<King of ヨッシー>!!

お見事っす!!(≧∇≦)ブハハハ!







俺「さ、さすがや!やはりヨッシーはあなどれない!あはは!」

師匠「いや〜、本当びっくりした!うん!感心や!」

俺「そのことあいつは知ってるのか?」

師匠「知らない。教えてない。」

俺「どうして?」

師匠「いや、話してる途中で笑ってしまいそうだから。話する自信がない。」

俺「あはは!まぁ、知らぬが仏とも言うしな!ちなみに理由を言って落ち込むことはないぞ!過去のあいつの出来事からもそれは保障出来る!」

師匠「まぁ、自然とな・・・ぷっ!思い出したら笑ってしまうわ!」

俺「しかし、さすがのお前も敵わんか!あいつは強敵やからな!常識を超越してるし!お前とは違う面でな!あははは!」


師匠「俺も久しぶりにびっくりしたし、笑ったよ!まぁ、あいつにはめげずに頑張ってくれとしか言いようないな・・・」





こうしてヨッシーは次々とバイトも見つからずしばらくフラフラすることになった・・・










そして、今現在も当時のそのバイトの不合格理由は知らないのであった・・・