クラブの真実 U 〜その後〜





高校2年のある月曜日・・・



昼休憩・・・


俺は弁当を食べ終わり、中庭に居た・・・


全くどうしてこんな事に・・・


俺は途方にくれ、うつむいたままため息をつく・・・


そこに・・・



「どうした?元気ないな。」



その声に俺は顔を上げた。



俺「なんだ・・・お前か・・・」

ヨッシー「何かあったのか?」

俺「何もないよ。」

ヨッシー「本当か?」

俺「いいな。お前は元気そうだ。」

ヨッシー「アゴを見ながら言うな。」

俺「いや、やはり逞しく育つアゴが羨ましくてな・・・」

ヨッシー「やかましいわ。何か悩みでもあるんか?」

俺「お前に相談するようになったら俺もお終いだな。」

ヨッシー「人が折角心配してやってるのに。協力出来る事だったら協力するぞ。」

俺「本当か?だったら、黙って何も考えず『うん』と頷いてみてくれ。」

ヨッシー「なんだそれは?なんだか怪しいな・・・」

俺「いいから頷け。」

ヨッシー「やだ。」

俺「協力するんじゃなかったのか?分かった・・・じゃ、これから俺が言う事に黙って頷けよ。いいな?」

ヨッシー「なんだ。言ってみろ。」

俺「よし!言うぞ。お前は俺の代わりに写真部に入れ。」

ヨッシー「・・・・・・嫌だ。」


俺「お前頷けと言ってるだろ!!分からないのか!このノータリン!!!う・な・ず・く!分かったか!もう一度言う!写真部に入れ!」

ヨッシー「い〜や〜だ!!」

俺「・・・ふっ・・・貴様・・・頭の中に水しか入ってないんじゃないか?病院に今から行け。」

ヨッシー「どうしたんな?写真部って・・・何があった?写真部なんてあったか?」

俺「あったから困ってるんや。」

ヨッシー「別にいいやん。何が困るんな?」

俺「『ぶっちょ』になる・・・」

ヨッシー「え?ぶっちょ?」

俺「写真部の部長!候補だけど・・・決定したも同然や。」

ヨッシー「良かったな!部長!」

俺「人数集めないと俺の代で潰れるのもなぁ〜・・・なぁ・・・ノータリン・・・写真部に入って日々エンジョイしないか?」

ヨッシー「俺の名前はノータリンじゃない!写真部か・・・」

俺「でもなぁ〜・・・お前が写真部に入るとイメージ悪すぎるしな・・・」

ヨッシー「何でイメージ悪くなる?」

俺「答えは簡単や。家に鏡くらいあるやろ。見たら分かる。」

ヨッシー「やかましい!写真部に入らんぞ!」

俺「構わない。どっちにしても俺にとって良くならないことが分かった。陰険に見られるのも嫌やしな。からかわれ易くなる。」

ヨッシー「・・・ちなみに何で写真部に入ることになった?」

俺「騙された・・・」

ヨッシー「どう言うこと?」

俺「説明すると長いし、休憩もうすぐ終わりや。また今度話する。じゃな。アゴ大事にしろよ。」

ヨッシー「意味分からんわ!」


俺はその場を立ち教室に戻った・・・


そして、放課後・・・


俺はドアの前に立つと、ため息をつきながら部室に入った。


ドアを開けると先輩が既に椅子に座って本を読んでいる・・・


俺「先輩来てたんですね。他の部員の人は・・・」

先輩「おぅ!来たか!皆色々忙しい。進路のことで頭一杯やし。多分もう来れないかもな。俺もあまり来れないから。悪いな。」

俺「え?じゃ、どれ位のペースで来れるんですか?」

先輩「週1かな・・・心配するな!その間にちゃんと色々教えるから!今日はフィルム持って来たから現像の仕方教えるからな。」

俺「週1・・・と、言うことは俺が1人で部活動するんですか?」


先輩「お前なら人を集められるやろ!俺は期待してるぞ。」


俺「・・・」
(そんな期待いらん!)


先輩「早速始めようか。」


言いたいことは山程あったが我慢し、色々先輩から教わり1日が終わった・・・



数週間後・・・




放課後に俺は部室に居た・・・


俺だけではない・・・


師匠とヨッシーもいる・・・


あれから部員が増えず、噂を聞いた師匠が放課後何故か部室に集まるように俺とヨッシーに言って来たからだ・・・


3人は小さい丸い椅子に腰掛け長方形の小さいテーブルを囲っていた・・・


師匠「ほう・・・ここが部室か・・・中々いいやん。」

俺「何がいいんだ?」

ヨッシー「あれから部員は増えたんか?」

俺「難しいな・・・」

師匠「俺入るそ。」

俺「マジか?」

師匠「その代わり活動はしないからな。」

俺「どう言う事な・・・」

師匠「サボりたい時とかここは持って来いや。」

俺「やめてくれ・・・幽霊部員と変わらないじゃないか・・・」

師匠「居てないよりマシやろ。」

俺「お前なぁ〜・・・そんな事の為にここがあるんちゃうぞ。」

師匠「いいやろ。どうせお前の代で潰れるんやから。」

俺「潰さない為に頑張ってるのにそんなこと言うな!」

ヨッシー「それで本当にどうするんな?」

師匠「そうや!ヨッシーのアゴの展示したら、興味持ってくれる人増えるんちゃうか?」

ヨッシー「ムフフフフフ!」

俺「真面目に考えてくれ・・・」

師匠「俺はいつでも真面目や。」

俺「ヨッシーは何か良い案ないか?」

ヨッシー「そうやな・・・人入れるんなぁ〜・・・あ!女子入れるのは?写真部って暗いイメージあるからさ。誰か話聞いてくれそうな人に声かけて・・・」


俺「・・・それはお前の意見か?アゴの教えか?」

ヨッシー「なんだそのアゴの教えってのは!そんな訳ないやろ!」


師匠「え!!違ったんか?俺はそのアゴに脳みそ詰まってるんかと思ってたぞ!」


ヨッシー「やかましわ!!」


師匠「それは何で出来てるんな?」


ヨッシー「知るか!!」


師匠「分かった!パンや!フランスパンやろ!!」


ヨッシー「ムフフフフ!なんでやねん!」


俺「お前らなぁ〜・・・ちゃんと考えてくれよ!」


師匠「大真面目や。」


ヨッシー「何処がやねん!!」


俺「あ〜〜!!うるさい!!!もう帰ってくれ!」


師匠「折角心配して色々考えてやってるのに。」

ヨッシー「お前アゴしか言ってないやろ!」

俺「わざわざ集まって、出た答えが『ヨッシーのアゴはフランスパン』・・・なんだこれは・・・時間の無駄じゃないか・・・」


師匠「いやぁ〜!有意義な時間だった。俺時間だから帰る。」

俺「サッサと帰ってくれ・・・」


ヨッシー「俺はまだいけるけど、どうする?」

俺「帰ってくれていいぞ・・・多分答えは出やんやろし・・・」


結局何も決まらないまま1日が過ぎた・・・



数日後・・・人数は俺と師匠とヨッシー・・・それに何とか同じクラスの女子が2人と違うクラスの男の子A君が入ってくれるようになった。


そして、更に数日後・・・


放課後の部室に女子2人とA君、そして俺の4人が集まった。

初顔合わせである。


皆顔を見合わせて軽く挨拶を交わす中、俺は3人に話かけた。



俺「入部してくれて助かったよ!ありがとう!一時はどうなるかと思った!」


A君「ここの部長は誰?」


俺「・・・俺です・・・先輩が居てただけど、就職活動とかで部活にもう来れないと言うことで、俺が現部長になってます・・・」


A子「どんな事してるの?」


俺「とりあえず現像とか、撮影とかかな・・・」


A子「へぇ〜・・・J.J君出来るんだ。」


俺「まぁね・・・皆は写真撮影とか好きかな?現像とかの経験は?」


A君「ないない。」

A子「ないよぉ〜!」

B子「現像って何?」


分かってはいたがやはり皆未経験だ・・・

とりあえず俺は皆の顔を見ながら説明する。



俺「とりあえず、部員は俺を含めた6人です。そして、現像・・・これはネガから写真にする行程です。それをしたりします。何か質問ある?」


A君「6人って・・・後の二人は?」



気になって当然だろう・・・俺は肩を落とし、力なく言った。


俺「残りの2人は基本的に気にしなくていいんだけど・・・一応言っておきます・・・まず、師匠です・・・これは自他共に認める幽霊部員です・・・それと・・・ヨッシー・・・これは学校にくれば参加するかも知れないけど・・・先に補習で先生に捕まらなければの話で・・・来ないと思ってもらってもいいです・・・」


A子「ヨッシーは知ってる・・・来れないでしょ。単位も足らないし・・・」


B子「じゃ、この4人の活動なんだね。」


俺「まぁ・・・仲良くやって行きましょう。宜しくお願いします!」


3人は「はぁ〜い」と返事をした。

俺は説明を終えて、何だか悪いことをしているような後味の悪さを感じていた・・・


俺「それと・・・悪いんだけど・・・出来るだけ後輩も入れるように皆で頑張って欲しいんだ・・・」


A君「そうだよね・・・でないと、ここ潰れるからね。」

B子「それは嫌だね・・・何か私達の精で潰れたって感じなるし・・・」

A子「頑張らないと・・・」



俺は内心喜んだ。


やはり師匠やヨッシーとは違う!


なんとかやれそうな気持ちになれた俺はもう一度宜しくと会話を結んで具体的な活動に入った・・・

こうして日々が過ぎて行く・・・




そして・・・ある日・・・



放課後・・・俺は一人で部室で椅子に座っていた・・・





今日は遅いなと思いつつ本を読んでいると・・・


コツコツ・・・


足音が聞こえた。


俺は本をテーブルに置き、部室の扉を見た。


同時に扉が開く・・・


A子「あ!居た、居た!」


俺はA子を見て言った。



俺「今日は一人?」


A子「違う〜。実はもう少ししたら、B子も来るんだけど・・・今日は良い知らせもあるんだ!」

俺「ふ〜ん・・・何?」


A子「知りたい?実はね、後輩の部員が出来たの!!」

俺「本当に?おぉ!凄い!!!やっと出来たんだ!!」

A子「そうなんだ!あ!来たよ!」


確かに複数の足音が聞こえる。


A子は早く!と手招きして、部室に入った。


俺は心持ち気を引き締める・・・


すると、B子が扉から顔を覗かせた。


B子「入っていい?」

俺「どうぞ!!」


B子が部室に入り、その後・・・



後輩A「どうも。こんにちは。」

後輩B「こんにちは。」


後輩2人も挨拶をして部室に入る。


俺「君たちが写真部に入ってくれたんだ!部長のJ.Jです!宜しく!」


2人は俺を見て宜しくお願いしますと一礼をした。


俺は慌てて丸椅子を2つ差し出し、2人を座らせた。


中々真面目そうな2人だ。


俺は先の心配から逃れられて安堵した。


今日は女子2人に、後輩2人・・・


5人での活動だ!賑やかなのはいいなぁ〜!


俺は心の中で喜ぶ。



俺は後輩に過去からの写真部の流れを説明し、活動内容を告げる。


後輩A「へぇ〜!思ったよりちゃんと活動してるんですね!来年クラブどうしようかと思ったんですけど、良かった!」


後輩B「うん!楽しそう!」

俺「そうか!気に入ってくれた?良かった!!頑張ってくれよ!!」


俺は万遍の笑みで2人に言った。


しかし・・・何故か若干間が空いて2人は少し戸惑う。


俺はその様子に気づき2人に問いかける。


俺「どうした?何か聞きたいことあるのか?」

後輩A「はい・・・えっと・・・それで、もう一つの活動はどうなってるのかなって思って・・・」


そう言って後輩2人は顔を見合わせて、再び俺を直視する。


俺は戸惑った・・・


もう一つの活動???


俺は後ろを振り向き、女子2人を見た。


2人は少しうつむき加減で俺を見ない・・・


俺はもう1度後輩2人を見て聞いた・・・・


俺「もう一つの活動って?」


後輩Aが答える・・・




俺はその言葉にこの世の中甘くないことを痛感する!!


























後輩A「えっと、『漫画同好会』の活動です・・・」



































(゚〇゚;)なぬ?????



















『漫画同好会』?????

























僕は知りましぇん!!!!全く記憶に御座いません!!
(゚-゚;)オロオロ(;゚-゚)


















後輩A「僕達はどちらかと言うと『そっちの方が興味ある』んですけど・・・」





















聞きました???




『漫画の方が興味がある』


























しかも、写真部の中に漫画同好会が発足・・・























何ですか?それ?(; ̄Д ̄)



















僕には何がなんやら・・・(;´д`)トホホ





























それに俺は絵が描けないんですけど・・・





























更にただでさえ俺の学校では活発に活動してない写真部は暗いと言うイメージがあるのに、そこに漫画同好会・・・






















とてつもなく怪しいクラブです!!
































☆ ヽ(T T(T T )ゝゴラン、アレガホシダヨ





















俺は固まっていた・・・



A子「ちょっと待ってて!」



A子は後輩2人に言うと俺を廊下に連れ出した。

B子も外に出る・・・



A子「実はあのA君に写真部に入らないか聞いたんだけど・・・断られそうになって・・・何に興味あるのか聞いたら漫画だったの。」


B子「それで私達2人の判断で、これから丁度漫画同好会もするって言っちゃって・・・」


A子「ごめんね・・・そうでも言わないと入ってくれそうになかったから・・・」


B子「ごめん!」


俺「・・・しかし・・・どうすんの・・・漫画の活動・・・」


A子「それは考えるから!いいでしょ?J.J様!」


B子「ごめん!許してね!J.J様!!」


俺「・・・しかし、それとこれとは別の話で・・・」


A子「分かってる!ちゃんと区別つけて活動するから!」

B子「だから、J.J様も参加して!!お・ね・が・い!」


俺「・・・」

































もうどうでもいいやぁ〜!(T▽T)
























俺「分かったよ・・・」

A子「本当!?やったぁ〜!さすがJ.J様!!!」

B子「ありがとう!J.J様!!」











その後部室に入り、漫画同好会の説明を女子がして、ノートを買い、皆で順番に漫画を描いて行くことになった・・・





俺はどうしてこうも意思とは関係無しに事が進むのかと悩み、嘆く・・・










A子「きっと上手く行くって!」

B子「良い事あるよ!」


2人はそう言って俺をなだめるが・・・






















数ヶ月後・・・


後輩Bは部活を辞め・・・


俺と後輩Aは謹慎処分を受けることになる・・・




その話はまたいつか・・・



☆ ヽ(T T(T T )ゝゴラン、アレガホシダヨ