ボトリチス(灰色カビ病)対策
不完全菌であるボトリチスの厄介なところは二つある。薔薇での発症は20~
23℃に限られるが、氷点下以上の低温であればいくらでも繁殖するように低温
に強い。その際湿度は無関係で、湿度は発病のきっかけに過ぎない。次に、紫外
線を歓迎する糸状菌であることだ。そんな菌がいるのかと思われようが、彼らは
紫外線すら利用している。
鉢植講座で7つの対策を述べたが、対症予防・治療以外の対策について触れて
おこう。
( 1 )罹りやすい品種……本来罹りやすいほどではないのに地方や環境により罹
病しやすくなってしまうことがある。その場合も含めて、日頃から月に二
回はマルチ交換しておこう。新鮮なマルチ材には当面菌がいない。またこ
の糸状菌は他と同じで高温には弱い。発病したときのマルチ材を何かの箱
に入れるなどして熱湯をかけよう。夏であればゴミ袋等で日光にさらして
袋内を高温に保てば菌は死滅する。
( 2 )紫外線の遮断……明るい軒下などへ薔薇を移動させる。地植なら蕾と首を
黒い和紙で覆う。蕾包装法の応用だ。必ず黒でなくてはならない。よく市
販されている紫外線遮断フィルムなどでは蒸れやすい。
( 3 )縁から予防……目につきにくいが、病状は葉でも花でも必ず縁から進行す
る。そこでカモミールオイルでも重曹でも、湿度が高めの20~23℃に
なる時期が来たら早々に縁へ丹念に塗布したり散布する。また、下葉の本
葉の縁すべてにボンドを塗布したり、木酢の原液に葉先を軽く濡らしても
よい。葉でも花でも全体へこのやり方を用いるわけにはいかないが、限定
的な効果を求めよう。
( 4 )天気予報……雨天が数日続いた後に発病しやすい。そこでテレビの週間予
報などで情報を得ておき、降雨が始まる前の三日間に予防を集中させる。
特に農薬を使う人は耐性菌が出現しやすい菌なのでその方法がよい。治療
目的の農薬連用は耐性菌を増やすだけだ。
( 5 )葡萄との関係……貴腐ワインづくりに欠かせない菌であることからわかる
ように、葡萄畑が近隣にあるときには要注意。葡萄は実に多くの菌を呼び
寄せる果樹で、その中には病原菌だけでなく有益菌も多い。ところが薔薇
にとっての有益菌は少なく、そばにあるメリットがない。