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  耐病性 
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Flower   ユキヤナギ    
 植物の世界は、実に多くの”目を見張るもの”によって構成されている。
動き回る動物のそれは、地上や頭上における動きの中にあるのだが、植物は
静止の中に自らの生と死の変化を描く。人がそこから汲みとる美は、その生
と死の、静けさと激動との調和というか、彼らの息遣いと変貌、そして音も
なく呼吸する生命の活動を実感するところにある。人が創造したものにはす
べて尺度や比較対照の基準があり、いつもそういうものに囚われていなくて
は人が人へ伝えられないし、第一自身が物差しなしには理解することができ
ない。ところがモッコウバラのような植物は、自身の生命活動と死後の無に

ついて何一つそうしたものを持たずに存在している。動くことはやがて思考
を生み、思
考が動きを決める。その結果としてすべての動物は、ある時点で
からだをそれ以上大き
くしたりそれ以上速く飛んだり、それ以上深く潜るこ
とをやめるものになった。ただ人
間だけがいくらでも自己の内面に想像力に
よって、思考を止めることなく、いくらでも
大きくなりいくらでも速く飛ん
だり、いくらでも深く潜ることができるようになり、や
がてそれは、もとも
とこの世にないものをつくりだすという技術を生んだ。人はそこで
ふと立ち
止まり、生と死が、もともとこの世にないものを生むことだったと気づいた。

 すべての薔薇の中で、モッコウバラほどの生長力を持っているものは他
にない。いくらでも芽を伸ばして枝の数を増やすことによって、一本の枝が
遠くに達する能力の不足を補い、ありったけの繁り方で葉の数を増やし、先
に出たために陰になって日光を浴びられなくなった枝をどんどん枯れさせ、
こうして彼は無限の大きさをめざす力を持っている。そばに他の大木がある
と、できるだけ上へも伸びて、その大木の上に頭を出そうとし、それが無理
なときにはどんどん横へ広がっていく。彼の寿命は最低でも
100年もあり、
「負けない」たたかいを遂行できる。しかも、地表近くに垂れて大地に接し
た枝からも、雨と風に表土をさらわれてむきだしになってしまった根の一部
からでも新しい芽を噴き出す。その芽に約束された寿命が、これも
100年あ
るのだ。

 樹としての薔薇が、ある進化の方向においてモッコウバラにその頂点の
地位を与えた。彼を交配親として用いて生まれたどんなハイブリッド種も、
彼を超えることは決してない。父親としてであれ、母親としてであれ。 彼
と他の系統のどんな薔薇を交配させてもである。それは彼がほとんど自家受
粉しない薔薇であること( 少しはある )、結実はせず、根から新しいからだ
をつくることによってのみ自己繁殖する薔薇であることが、最大の要因であ
ると思われる。受精によって繁殖する必要がないのだ。他のどんな葉とも異
なる特異な形の葉を見てもわかるように、エウロサ亜属バンクシア節として
独立し、世界の原種で唯一近縁関係にあるのがレビガータ節としての「ナニ
ワイバラ」と「ハトヤバラ」だ。中国大陸と日本はかつて陸続きだった。

 日本のノイバラとはまた別の、耐性の体系を持つ。その土台には、やは
り根の増殖力と伸長力がある。側生根の最長は125mにもなったと中国か
らの報告にはあったが、わたしのところでも庭の端から端へ達して、そこか
ら曲がって塀沿いに伸びており、計測はできない。コンクリートの下へ潜っ
ていると推測できる。

 植え付け時に一度だけ元肥を施しておけばよい。あとはすべて自根をど
こまでも伸ばすことによって必要な養水分を手に入れる。雨にまかせ、灌水
すらしない方がいい。節間の短い、細長く小さな葉を極限まで密に繁らせて
光合成の成果を確保することもできる。植物の光合成はすべてショ糖の形で
蓄えられるが、一季咲きの薔薇は花後すべての養水分を栄養生長に回すこと
ができるので、根を伸ばす力さえあれば根毛も増やすことができ、天変地異
のないかぎり個体の造形を無限に続けられる。モッコウバラには施肥は邪魔
だとまで言われるのは、そこに由来する。

 ときおりイラガやミノムシが食害するが、幼苗の時以外はまったくダメ
ージがないのも特長。病気とも無縁であり、ガン腫病が唯一枯らすことので
きない薔薇だ。テッポウムシも味が悪いのか敬遠する。ところが! この薔
薇にはあらゆる益虫が訪れる。アシナガバチ、クロアリ、テントウムシ、蝶、
カゲロウ、カマキリ……。彼らは葉の先ににじみ出てくる水滴の中に、すば
らしいミネラルとアミノ酸が含まれていることを知って来る。日中と夜間の
気温の差が大きくなってきたときこの液が出て来る。他の薔薇でも稀に出る
が、モッコウバラほどではない。そしてどの葉からも必ず出るというのでは

なく、数え切れないほど多くの葉の中の0.0……1%ぐらいにすぎない。
そこで虫た
ちは求めて次々と葉の上を歩き回る。その光景を初めて目にした
とき、どうしてなのか
とふしぎでしかたなかった。ところが早朝観察を続け
るうちについに目撃した。飲んで
いたのだ、テントウムシと蟻が並んで! 
思わず頭皮に鳥肌が立ってしまった。よほど
貴重なものであるからこそ彼ら
は血眼になってうろついていたのだ。古来、日本人はこ
の液体のことを”甘
露”と呼んだ。( 寒露とは別のもの )。わたしも何度も舐めてみた。
虫たち
がよろこぶ濃度の、かすかな甘みとさわやかさが、何よりも重みとなめらか
さと
不純物のいっさい入っていない理想の飲み水であるすばらしさが、口の
中へ広がり、感
動をもたらす。人がつくりながら飲むことを敬遠する水道水
でもなく、人が汚した酸度
の強い雨水でもなく、自然だけがつくり濾過した
水が、そこにある。木の香りをこめて。

 また、0.0……1という数字はもう一つのことも語っている。それは
益虫を呼び寄せる工夫なのではなく、彼のからだが生んだ水分の余剰に過ぎ
ないということ。そして、余剰分が出て来るというそのことは、彼が生きて
根差している大地から十分に得ていることを意味し、人がもうそれ以上何も
しなくてよい、何も付け加えたり引いたりしないでほしいというサインなの
だ。人であるオーナーは、ただ数億の花を目で愛撫し、香りを堪能し、どこ
までも大きくなっていく株を、

 





Bouquet  無謀な誘引
Lecture 2 施肥設計と実践
「もっと生きよ、もっと幸せであれよ」と抱きしめるだけでいいのだ……
検索 Q&A  根の深さはどのくらい? 
検索 Q&A  植え付け時期は? 



                   -栽培ワンポイント-            

                   「鉢植えモッコウバラ」 

 この原種を栽培している人たちが、鉢植えにしておいてよくある話が根の地張り
だ。すなわち庭土へ直置きしておいたら鉢底から根が庭へ降りてしまったというも
の。そのような場合、根を切ってでも鉢を土から離した方がよいかどうかについて
言えば、離した方がよい。鉢がいくら小さくとも、離したせいで枯れてしまうこと
はほとんどない。なぜかと言えば新しい根がすぐにクラウンから生じて伸びてくる
し、残った根からも盛んにヒゲ根が出るからだ。原種やシュラブタイプ品種にはそ
うした力が備わっている。
 上の解説にも述べているように、あきれかえるほどの成長力がある。それが根だ
けでなく地上部全体にもあることを、解説からわかっていただけるだろう。ところ
でそれほどの力の源は、いったいどこにあるのか。
 いつの日か、薔薇の科学が確立したら明らかになることだが、2008年時点で
のわたしにも言えるのは、「光合成能力」のことだ。この年をずっと、光合成の研
究に費やしている。その分野の科学的知見は膨大なものであり、分子生物学なども
加わってかなり専門化が進んでいる。いずれわたしなりの噛み砕いた「薔薇の光合
成」を皆さんへ解説してみたい。
 というわけで、わたしたちがモッコウバラを前にしたときまず目に飛びこみ、否
応なく誰にも理解できるのは、葉の数である。その多さである。一株が、アルバム
頁の画像に見られるほどの花数を誇るのも、葉の多さによる光合成能の高さにほか
なるまい。しかもおそらくは、自前のクラウンや根も含めた、身体全体での光合成
を行わせる仕組みが、葉の数と共に、他のどの薔薇よりもしっかりとした壮大なも
のであるとも言える。それは、長日性植物である薔薇であっても、仮に暗期を長く
したときにさえ光合成能が落ちないこと、さらにあの小さな葉の一枚が、何倍もあ
るHTやクライミングの大きな葉一枚と同じだけの光合成能力を示していることに
窺える。
 だからできるだけ地植した方がよいことも言えるが、しかしたとえばわが国の原
種がどれも適わないほどの成長力は、鉢植えでも見ることができる。庭土へ根を下
ろさせなくても。 ただし順調に生育したとして、同じ大きさの鉢植えを続けるの
は5年が限度だ。クラウンが鉢の大きさにお構いなく大きくなり続けるし、根の基
部は太くなっていく。5年以内に鉢から抜けなくなってしまうことがほとんどだ。
そうなるといわゆる根詰まりによる衰弱を心配しなくてはならなくなる。したがっ
て鉢でモッコウバラを育てるに当たっては、毎年必ず一度は抜き出して、根の剪定
すなわち古い根を更新することになる。基部から切除するのだ。そうすれば鉢植え
のままに育てられる。
 もしも抜いてみたときに細く白い若い根が見られないなら、寡肥を改め、そのよ
うな根が出るまで待つ必要がある。決して根の切除をしてはならない。

                                                         
注意……根を更新するといってもすべての根を付け根から切除
      してしまうわけではない。50~60%を付け根から切除
      することで十分。一年以内に元の数と長さに戻る。盛夏
      を除き、いつでも更新できる。
 
                                                    
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       Road to Rosa synthesis
Album
Rosa banksiae alba 白モッコウバラ

白の八重咲き  径2cm  30枚

4~10m

強香

Cultivation
耐寒・耐暑性