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* 大型のミニであるというだけでなく、花弁の色彩が刻々と変化する。
右上の画像はその手前の段階。この後、花の中央から琥珀色がかった
ピンクが濃くなっていき、花芯は薔薇としては極めて珍しい茶色に近
いアプリコットに染まる。もう一つの特徴は托葉にある。本葉はもち
ろんすべての葉が濃緑の照り葉であることは標準的でも、托葉の縁の
赤みが花色の変化に連れて変わっていく。わずかな面積でもくっきり
とした違いがあるから注意深く見つめると気がつく。また、萼片の内
側にもしばしばピンクが色づく。
* 花付きは決してよいとは言えない。房咲きなのに3~4輪と少ない。
ただ花保は9~12日間あり、花期も三週間を超えることが多い点で
ミニとしてすぐれている。最長で50日間。5月中旬から咲き始める中
咲き。秋は一か月の花期を見込める。
* 元肥は多すぎても少なすぎても樹へ影響が出やすく、NPKが1:
1.5:1の比率が最もよく、Nは油粕、Pは骨粉、Kは硫酸カリが
最適。地植の場合、それぞれ150g、150g、70gがふさわし
い。鉢植えの場合は60g、70g、30gがよい。この薔薇は追肥
におけるKとCaがたいせつで、月ごとに交互に少量ずつ与えて行か
なくてはならない。また土壌が硬いと生育が衰え、やわらかいと旺盛
になる性質が強い。だからたびたび中耕することだ。その際EMの
1000倍液を灌注した方がよい。ただし冷涼地では米のとぎ汁にE
Mを500倍で希釈したもので。冬の元肥の前に、通常は苦土石灰を
入れるところだが、この薔薇には蠣殻を用いる。ボカシ肥料を施す際
にカニ殻は特に必要ない。
* 耐病性はある方でも、写真頁に記したように黒点病には極めて弱い。
単に落葉が激しいだけでなく生理的なダメージが大きい。芽だし、展
葉のスピード、枝の太り方、花付き、花径のふくらみ、分枝力などで
鈍くなる。
だから黒点病さえ制圧できれば完璧に近い育ち方をさせてやれるの
に、なかなかそうならない。Nが少しでも過剰になると発病する。予
防としては重曹の1000倍液へ黒石鹸の泡立て液をプラスして散布
し、ニンニク木酢液100倍を土表に撒く。うどん粉病には平気で、
いつのまにか消える。
害虫はアブラムシとスリップス。乾燥がつづくとハダニも出るが、
コーヒーシリンジで効果がある。容器植ではアグリチンキの定期的予
防使用を。
* 高性で花も大きく、スケールの大きなミニだから育て甲斐はある。
しかし実はデリケートな品種であり、思い通りに行かないことが多い。
水培・肥培・整枝剪定で数年間も樹がしっかりしてこないときには、
発想を転換して、山土を採取してきてすっかり入れ替えてみること。
それで劇的に改善されることがある。後はちょうどよい手入れのかげ
んを自ら理解し会得していくことが望ましい。決して栽培困難種では
なく、手入れ全般に亘るコツを飲みこめばたいへん育てやすくなる薔
薇だ。
* コンパニオンにはネモフィラやニゲラが合う。当園では最初ムスカ
リをわざわざ合わせてみた。ところが土の好みが合わず、容器植や他
の場所での経験から上記二つに絞られた。ワスレナグサなどは繁りす
ぎて見苦しくたびたび間引くのでなければ難しい。ゴタゴタとした印
象になると、ピンク系の薔薇はぼやけてしまう。
* 土を軟らかくするのに最適だったのは、意外にも基本である腐葉土
の活用だった。それでマルチし、毎月のように土へ梳きこんで新しい
ものでマルチすることをくりかえす。半年ほどで指がすっと入る土に
なる。
* 似たような花に1982年作出の「エールフランス・メイアンディ
ナ」があるが、比べると明らかに完成度が違う。レディの方がすぐれ
ている。
* 1989年、鹿児島の天文館通りへ商店街活性化の指導にと招かれ
た時、薔薇の話になって「ミニ薔薇で最も美しいのは何という名の薔
薇ですか?」と訊かれた。しばらく考えたが実のところこの問いには
答えようがない。ミニたちは、”咲き続ける”という運命を、たいへ
んなエネルギーで実行している。自らの運命を懸命に生きているもの
は全て美しい。
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