-栽培ワンポイント-
「食酢、台所酢と木酢」
上記で花首のうどん粉には食酢をとしたが、では木酢ではどうな
のかという疑問が当然湧くだろう。
どちらも酢酸を利用するものであっても、食用酢の場合には安定
化剤の入った多糖類の成分が、また酢酸としての性質そのものが飲
用として適正な製品にしてある。ところが純度の高い木酢を試みに
飲んだことのある人ならおわかりのように、原液であるかないかに
関わらず胃の中がかっと熱くなる。これは酢酸が胃の粘膜を刺戟す
るからだ。つまり食酢と木酢ではかなり性質が異なる。もしも両者
を混合するとどうなるか。見た目には何の変化も起きない。しかし
この酸は花首の表皮を刺戟して浸透しやすくなり、気温が低ければ
何ともなくとも、少し高い時期には細胞壁を傷めることまである。
したがって混合使用してはならない。
ただし、先に食酢でうどん粉のふわふわをぬぐい、30分以上経
ってから木酢を塗ったり散布するのは一向にかまわず、近接使用は
できる。その理由はそのぐらいの時間で食酢の効果が消えるからだ。
ではそれから木酢を用いれば効果がどうなのかというと、実は相乗
効果やどちらかが他方の効果を高めることはまったく無い。したが
って近接使用する意味はない。散布や塗布よりも、木酢は用土へ注
ごう。木酢は灌注しすぎさえしなければ、土壌の有益な微生物を活
性化させたり、根の周囲の化学性を安定させる効果がある。
次に台所酢であるが、これは殺菌力もあるが実は薔薇の表皮から
中へはほとんど浸透しない。だからうどん粉病の原因菌に対する効
果はほとんどない。この酢は各種の掃除などで使われるように、主
にぬめり取りに効果がある。つまり食用酢と同様にうどんこのふわ
ふわを除去してから、表皮を新たな菌から保護するのが主な役割で
ある。その台所酢は木酢と混合しても害はない。益も上がらない。
うどん粉病対策としてであれば混合するメリットはない。
そのメリットを求めるなら重曹との混合だ。1000倍の重曹液
に台所酢を数滴垂らすだけでよい。少しだが重曹のときだけよりも
効果は高まる。
しかし最善なのはやはり重曹に台所用洗剤を一滴垂らす方法であ
り、これによって黒点病対策も兼ねた予防と治療ができる。これは
洗剤の界面活性力によるところが大きい。重曹のみの場合には効果
の持続時間が短いが、この界面活性により長くなる。それは食器汚
れなどをたちどころに落とす台所洗剤の能力が、重曹の成分を細胞
壁にまで浸透させやすくするからである。しかも重曹が人が飲んで
もまったく害がないように、細胞に或る種の影響を及ぼすこともな
い。
また界面活性剤による環境への悪影響については、たとえ庭土等
へそれが染みこんだとしても、散布液に対して量はわずか一滴だ。
心配は不要である。
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