-栽培ワンポイント-
「どうすれば剪定・整枝が上手になれるか」
栽培歴数年になる人たちが、手入れの実際を覚え始めてまもなく、必ずと言って
いいほど苛立ったりストレスを溜めていくのが、この鋏の入れ方のことである。そ
しておそらくほとんどの人が気づいているだろう。そう言えば、最初から、わから
ないことによる不安がつきまとっていたな、と。わたしはこれを「プルーン・スト
レス」と呼んでいる。
いつ、どこを、どんな狙いを持って切ればよいのか。その答を講座で多種類に渡
って解説したけれども、多くの人たちが頭を抱えていると思う。
実のところ、あの解説だけでは、さらには他の書物や雑誌を付き合わせてみただ
けでは、十分な納得が得られていないだろう。納得して行くには、
①日々の時間をかけた観察、品種と植栽状態の理解。
②熟練者による直接指導や現場での説明。
③整理と記録。
この三点が充たされる必要がある。たとえ②で、指導した人どうしが異なること
を指示して混乱しても、①と③が救いだしてくれる。②など無くともと思うかもし
れないが、それは明らかにまちがいである。わたしたちは一般に、①と③の内容を
すべて並列的に頭に入れて鋏を持とうとする。そのとき実地面によって一つの筋道、
実行手順のきっかけを与えてくれるのが②である。
そして、
( 1 )なぜ今、そこを切るのか、別のところでないのはなぜなのか。
( 2 )なぜあそこは切らなくてよいのか。
( 3 )切った後にどうなっていくのか。
主な疑問であるこの三つに、①②③がみごとに順に対応している事柄なのを知る
ことになる。そこで初めて自己流というか、我流の長所短所、適不適が理解できて
いくようになる。この「三三原則」を忘れて、薔薇への鋏の入れ方に上達はない。
では、かなり手慣れてきたら、もう②は不要ではないかと考えるのも、不十分な
姿勢である。始めてから五六年も経つと、だいたい誰でも②から遠ざかりだす。あ
るいは自分よりも初心者に近い人たちの疑問質問に適確に応えられないために、う
っとうしくなってくる。自動車の運転と同じで、そのような時期が最も危険なとき
だ。薔薇栽培に「いまさら」という一語は禁句である。
事実、②をおろそかにする人は、しだいに①も③もおろそかになっていき、それ
に伴って( 1 )( 2 )( 3 )もどんどん不確かになっていく。それが嫌に思えて、
今度はこじつけや的はずれの解釈を始めるようになる。
しかし、何年経っても三三原則を生き生きと実行している人たちは、ますます理
解が進み、その人が触れる薔薇は、すべて元気で幸せな状態になっていく。そこに
はもはや、うっかりによる失敗が忍び込む余地はあっても、すぐに薔薇の感謝の声
が埋めてくれる楽しさばかりが満ちて行くのである。心が経験を決めるのではない。
経験が心を決めるのである。
剛胆にしてためらわず、謙虚にして学びつづけるべきである。
