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 土壌が肥沃で日照がよければ、絶え間なく咲き続ける。繰り返し咲き
の頂点にある薔薇の一つ。地植の成熟株で、年間1000輪に近い数の花
が咲いてくれる。
 この薔薇の最高の美しさはその樹形にある。これほど整ったすべてバ
ランスのよい樹形になるものはめったにない。その結果として、多くのE
Rが主幹の更新の必要がないと言えるなかで、年々大きなすぐれた樹とし
て見応えのあるものになっていく。つまり育てば育つほど、スケールの大
きな美しい樹になるということ。これはORからすぐれたものを受け継い
でいるからであり、「エイブラハム・ダービー」や「エヴリン」ではなく
「アンブリッジ・ローズ」などの系譜へ向かう道を切り開いた。華麗なる
シェイプとは別に、樹としての完成度の高さを追求したような薔薇と言え
る。
 どの一輪も気品に溢れ、ERらしくすべて整った同じ花を見ることが
できる。このことはまさにER最大の特徴であり、花容から不安定さを消
し去ったことの凄さに思いを馳せてしまう。切り薔薇の世界の頂点がER
にはあるし、特にヘリテイジは花付きが凄いと言えるほど多く、最高の香
りを放ち、邸宅のゲストルームの女王として君臨できるだけの、品位の高
い存在感にあふれている。彼女はプリンセスではない、クィーンである。
 月上旬から中旬にかけて咲き始めるやや早咲きで、花保は10
間。花期は月で約一か月。二番花までは一斉に開いている満開状態をま
ちがいなく見られる。その後の花期は短くなる傾向。
 すべての病害虫に対する耐性も最高。生理的にも強健で、痩せた土壌
でも必要養分を補給してやれば自分で寿命を全うできる。アブラムシはい
くつかの伝染性ウィルスを媒介するが、多くのモダンローズがそれに弱い
ものを人為淘汰して市場へ登場しているように、この品種も生理的にはね
返してしまう。すべてのカビ菌に対しても、中位の葉が発病して傷んだ状
態を見せてしまうなかで、勢いよく伸び続ける上位の葉は発病しない。株
元の古い樹皮が、他の品種では厚いまま剥がれ落ちていくのがあたりまえ
の中で、このヘリテイジの古い樹皮は年月を経てもどこか若々しさを保つ。
そして樹としてどこまでも大きく高くなっていく形質を示し、その迫力に
追随できるERはグラハム・トーマスをおいて他にない。
 元肥は12月と月という、薔薇の元肥入れの基本を守ること。NPK
の肥料の種類は選ばない。どれをやっても育つ。変更しても狂わない。他
の薔薇や灌木と2m以上の距離を保てればNPKの総量1kgを限度とし
てたっぷりと施してやれる。追い肥は12月末に苦土石灰、1月中旬かま
たは2月初めに硫安・骨粉、3月に過石または少量のヨーリン、4月初め
に元肥の時よりやや量を減らした魚粉、6月末に礼肥として油かす・骨粉
・少量の硫酸カリ、8月に骨粉入り油かす、9月の下旬または10月の上
旬に炭カルまたは有機石灰、11月初旬に冬の元肥の半分の量のボカシ肥
料または苦土石灰を少量。液肥はどのブランドも1000倍以上で。
 剪定はシュラブの切り方でよい。一番花後に樹高を整える強い切り方
をし、後は混み合った場合の整枝を行えばよい。咲き殻摘みの切り方も通
常通り。五枚葉を1,2枚付けて切る。
 高木多花の大輪の薔薇の理想がここにある。あまりに高くなると花の
観賞にさしつかえるけれども、できればそうなってでも高く育てた方がよ
い。たとえばゆるやかなスロープの小道のほとりに空間の余裕を持って植
えれば、上がりながら振り返ったとき、薫り高いピンクの大輪が一斉にあ
なたを見上げてくれるだろう。しかもそのとき全輪に朝陽が当たっていれ
ば、花芯までピンクの眼に溜まった水滴が、きらきらと光の条( すじ )を
届けるに違いない。甘くしたレモンの香りとともに。
 すなわち、通常の庭園においても、人間の立ち位置が彼女よりも高くな
るような配慮をすべきであろう。ひざまずく女王は、わたしたちの心をひ
ざまずかせる。
 シュートは毎年必ずと言えるほど出てくれる。環境さえ悪くなければ
必ず幹になってもくれる。HTやFlのようなシュート処理をする必要は
ない。こういう枝の生育の在り方だからこそ、樹形が整う。ただ、すぐれ
た生育を続けさせてやれるかどうかのポイントは、水分管理にある。 
最低気温が25度を超えているときは容器植の場合夕方灌水も必要。ただし
朝の灌水とバランスをとる必要があり、だぶついてはいけない。栽培をす
る人は、心優しいキングでいること。















Onepoint  肥料配合適否表   
Lecture 2 ERの施肥設計と実践







Lecture 2 シュラブの春剪定








               -栽培ワンポイント-

                  「シェイプとは」

 花容と同義語。すなわちわが国では馴染みのない見方でありことばだが、
花とその枝の上から本葉2,3枚までの姿。花梗全体を指さない。
 この見方は、西欧における( また世界の至るところで同じほどであろうが )
花瓶に薔薇を活けるときの基準となる長さに由来する。この長さの時、自然
状態では最も花保が長くなるからに他ならない。現代では切り花延命剤はい
ろいろとあり、それらを用いている人も多いだろう。
 実は近代までの薔薇の活かし方には、今に至る室内装飾的な使われ方が大
きな流れとしてある。その中心にはヨーロッパ各国の宮廷文化があった。そ
して広く市民的大衆的な薔薇となったのは、その文化の香りが薔薇園からた
だよった力によると考えられる。さまざまな花の咲き乱れる庭園への憧れと
も重なり、人々は市民の時代になって薔薇を自分たちのものとした。そのと
き、花瓶に挿す長さが王侯貴族たちによって理に適った長さだったので、ご
く自然に市民社会・家庭へも広がった。
 薔薇の栽培は、王侯貴族たち中心の時代には堆肥によって育てられていた
と考えられている。現代のような肥料がなかったから、養分保持量の少ない
堆肥類を大量に薔薇園へ投入するか、または園芸花卉や樹木がよく育つと評
判の土を運ばせて入れた。また、種類はわからないがそれらをよく育てると
評判の、今で言う油粕のような肥料になりそうなものを生産させていたはず
である。何もかもが自然の産物によって育ち、薔薇もそうだった。
 そのことからはっきりと推測できるはずだ。かつて、薔薇の花梗は今より
もずいぶん短かったことを。室内装飾へと求めに応じて切り花を供給しよう
とすれば大量に必要だから、花枝の数が多く、当時大輪の径だった8cmそ
こそこの花々を揃えるのには、当然のように花梗の長い薔薇の品種が選ばれ
たはずであり、枝の付け根から切らずに済み、残った芽ができるだけ多く伸
びてくれるようにと願っていたのである。そして薔薇はそれに応えていった、
歴史の時間とともに。
 ルイ14世の時代、ヨーロッパ各国はフランスの庭園様式を賛美し、羨望し、
真似た。( イギリス以外は )。フランスのジャルダン・ルグリエ( フォーマ
ルガーデン )は広まり、そこに薔薇が君臨していた。果樹ならともかく、花
卉においては樹高が王や領主よりも高くあってはならぬのがフランス式だっ
たからだ。
 やがて歴史は、薔薇の多くを高くした。市民は見上げ、そう呼ばれるにふ
さわしくなった薔薇の数々を、ごく自然に「花の女王」と呼ぶようになった
のである。
 ベルサイユ宮殿の壮大な庭園を、ルイ王に厚遇されて造った造園家アンド
レ・ル・ノートルは、88歳で没する直前も輿に乗り庭園内を見回ったそうだ。
そして供の者へ言った、「これからの王の園は、森を取り込むか、一年中咲
き続ける薔薇を見つけるかのどちらかしかあるまい」と。







               -栽培ワンポイント-

              「鉢植えで過肥となったら」

 鉢植講座をまだ読む前、あるいは自己流で施肥を行った後で、どうも肥料が
多すぎたかなと思えるときもある。そのような場合、それでも手をつけずによ
うすを見ておいても悪影響はなかったということもある。しかし肥料によって
は( 特に有機質肥料の時 )用土の質や株に対して、多少なりとも後で影響が出
てくるものだ。それに気づかないでいると、次の施肥で減らし損なったり、あ
るいは減らしすぎたりしていっそう生育を悪化させることもある。
 したがって多すぎる部分を減らせばよいのであるが、置き肥では表土から取
り去り、液肥ではそのまま多量の灌水で流し去ればよい。しかし用土に混ぜて
与えたり、複数の粉末や粒状肥料を混合したときには、その抜き方では不十分。
そこで簡単で確実な灌水による軽減方法がある。
 まず鉢縁に沿って、薄いヘラ状の園芸器具を差し込む。そして鉢縁にくっつ
いているような落ち着きをしている用土を、鉢から放すように作業する。つま
りクラウンに向かってしっかりと、押しつけるような、固めるような力の入れ
方をする。それからたっぷりと灌水するのであるが、この間に押された外周土
がゆっくりとまんべんなく崩れていき、ヘラを入れなかったときよりも効率よ
く養分を抜くことができる。5分ほどの流水でこの作業をしておいてから、今
度は固まった用土を、根をあまり傷つけないようにして浅く耕す。表土がほぐ
れる程度でよい。そして最後にもう一度たっぷりと灌水して終わり。
 このやり方で、一日中雨が降ったような日以上の効果がある。特に、元肥入
りの市販用土へ植え付けたとき、自分の施肥で用土全体へ肥料が混ざる与え方
をする人は、夏の元肥の際には施肥直前に一度実施しておこう。

                                      






               -栽培ワンポイント-

                              「前年に衰弱した株への施肥」

 地植容器植の別に関係なく、病害虫やその他の原因で弱っている薔薇へは
むやみに施肥してはならないのが基本。その上で Salon 6の第33話のよ
うに、要素別に量を加減した物をタイミングよく与えるのがコツである。
 そこで元肥についての考えにおいては、冬の元肥( 春肥 )にかぎり、前年
衰弱したと思えるほどの薔薇へは、それまでの元肥の量で与えよう。たとえ
予防や治療が前年の間不十分であったとしても、また当年も十分にできるか
どうかがわからないような状況であっても、いつものようにしっかり与えた
い。
 その理由はもちろん体力のことにある。耐病性がどの程度増進していくか
がわからなくとも、施肥で体力が伴わなければ増進も安定もしない。枯らす
つもりであるならともかく、与えなければますます弱っていく。弱った株で
は、あなたの手入れへの反応が鈍るだけでなく、アレロパシーの力も働かな
い。その実例をわたしは何度も見てきた。それらの株が仲間たちへ病害虫の
ことを知らせることが不可能になると共に、仲間たちからのそれを受けて反
応することもできなくなる。
 たとえ衰弱後に一、二度美麗な花を咲かせたとしても、それらの花は死を
待ち受ける絶望の花であり、あなたへの精一杯の訴えである。そうなる前に、
少しでも救うような努力をすべきではないか。
 ただ、ここで言う衰弱とは、枯死へ向かいそうなほどの弱り方のことであ
って、たとえば害虫にほとんどの葉を食害されたとか、初めて根頭ガン腫病
に罹ったとかという状態のことではない。それらは試練だが、そのために樹
勢が悪影響を受けるのも確かだとしても、単一の理由で急激に衰弱するほど
薔薇は弱くはない。
 複合的な要因とともに、特に何かが激変することがあったとき、薔薇は急
速な衰弱をする。たとえば土替えの不手際、たとえば渇水、たとえば大量の
施肥や過度の濃度の薬剤使用といったようなことだ。
 また、地上部に起きた激変が根へ伝わる場合と、根に起きた激変が地上部
を衰弱させる場合と、二つある。いずれであるかを必ず確かめよう。不確か
であるなら、地植のものは地上部も根も切りつめ、鉢植えなら根を半分の長
さに切りつめておいてから、いずれもしばらく水の中に浸けておくことをす
る。もしも芽が伸びてきたり、葉がいつまでも萎れなかったり、新しい根が
水中へ伸びてくれば、それによって危機を脱したことがわかる。
 衰弱株に対する最もよくないこととは、何もせずにただ眺めていることで
ある。


                                                      
                           
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