|
* つる薔薇として非常にすぐれた性質を持っている。
① シュートの伸長力が旺盛で、暖地で条件がよければ10mという記録
があるぐらい。
② つるは太く硬くて、誘引で無理をしない限り折れることはまずない。
そしてどの花枝にも花を咲かせ、ほとんどブラインドにならない。
③ 花色と型は常に安定していて、肥料や天候、病気などでは決して乱
れたりでき損なったりしない。
* 本葉は大きく、しかもよく繁る。革質で濃緑の照葉。刺も大きく鋭
い。アーチやポールには向かず、フェンス仕立てに向く。
* 元肥は、広い範囲の土と混合がしっかりできさえすれば、多ければ
多いほどよい。油かす400g、骨粉700g、硫酸カリ200gとい
った具合。牛糞堆肥やピートモスもたっぷりすきこみ、少し離れた場所
へヨーリンも土と混合して施す。12月に元肥入れをできたら、1月に過
石と草木灰を追加する。ただし同じ場所へ入れてはならない。追肥は元
肥と同じものを量を半分以下に減らして与える。さらに、各時期の花後
に液肥を10リットルぐらい。根から離れた箇所に穴を掘り、そこへ集中
的に流し込む。与えるつど、箇所を移動させればよい。5月の閉花後、
まず炭カルと過石を別々の場所へ少量与え、その10日後に油かすと骨
粉の礼肥を元肥の半分にして与える。
* 5月上旬に咲き始める早咲き。花保は6~12日間。満開時の圧倒的
な迫力はみごと。花径も必ず揃い、カラーブレンドのデザインもまった
く乱れない。夏の花が終わったら、洋ラン用のゼオライトを土へ入れて
やるとよい。10月、施肥直前に腐葉土をしっかり耕しながらたっぷりと
混合。シュートがいかにも途中で伸びがストップしたときは、水分不足。
葉には皺がよる。
* 株元にはヒペリカムがコンパニオンとして合う。殖えすぎたときは
間引く。マルチ材にローズマリーを敷くと、黒点病の胞子が跳ね返りに
くい。
* 夏剪定では伸びが短いシュートをさらに切りつめ、まっすぐ長く伸
びているシュートには支柱を。
* 耐病性は典型的な増進型。すべての病気に罹りやすいが年々耐性が
増していく。またどの害虫も、このごちそうめがけてやってくる。花に
はカナブンが群がるし、地際にはテッポウムシによる木くずが盛り上が
る。しかしどんなに痛めつけられてもこの薔薇は枯れない。不死身と言
えるほどの活性がある。ミミズたちも落ち葉を好み、大量に食べる。彼
らのために特に何もしなくとも、この品種のある花壇にはミミズが多い。
* 香りの個性はあまりなくて、標準的な甘いものだが、花容とすっき
り調和していて好感が持てるもの。おおらかでやわらかい、気品に溢れ
た花としっかりした丈夫なつるを持つこの薔薇は、今後も長く愛され続
けるだろう。実際、澄みきった青い空を背景に高い位置で咲いた花を下
から見上げても、一輪ずつの花の周りの空気感に、そよ風に揺れる花弁
の一枚一枚に、すがすがしい情趣を憶えてやまない。
|
|
[日東ゼオライト製品説明]
[草木図譜]
|
|
|

|
 |
-栽培ワンポイント-
LCLのシュートへは支柱を
シュラブ性の蔓でなく、ブッシュ性の蔓を伸ばすものがLCL( ラージフラワード
・クライマー )の基本的な特徴だ。支柱を与えなくても真っ直ぐに立っていればよい
が、普通は倒れ気味に伸びてしまい、伸びるだけ伸びずに途中で止まる。仕立て上そ
の方が都合のよいときもある。しかしその場合も、樹勢が制限されたと見なす方が正
しいと言え、つる薔薇は制限を受けると分枝力の旺盛さへと樹勢力を転換させやすい。
これは一種の環境への適応であり、葉数や花数を枝数によって増やそうとする本能
のようなものだ。HT等のブッシュではこのような適応性は低く、張り出した枝が何
かで制限されても、たとえば塀などへ突き当たっても、曲がってでも必要なだけの伸
長を続ける。それで正常なのであり、つる薔薇は倒れたり曲げられると生長点が変わ
るようになっている。
もしも何度も適応のために伸長が制限されることが続けば、つるピースなどでも3
m程度でシュートが常に止まるようになる。そのまま樹勢が弱く抑えられる状態へ傾
いて行きかねない。たくましさ、丈夫さが8年ほどしか持たなくなる。
したがって支柱を与えてシュートをできるだけ上に向けて立てるのだが、LCLは
45度が限界となる。それ以上斜めに伸び続けることは少なく、理想は15度まで。
そのくらいであれば( 地植に限るが )樹勢のいっぱいまでシュートは直進を続けてく
れる。そしてシュートの本数にかかわらず、大輪の良花を咲かせる。
気をつけたいのは支柱の強度だ。強風等で支柱そのものが倒れたり折れたりしない
ように、堅固にしておこう。だからその堅固さが保持できるようなフェンスやポール、
アーチの材質を吟味し、支柱も人の腕力で曲がらないようなものにしたい。
また台風等の強風が吹くと予想されるときには、支柱はつるからはずしておこう。
結んだままにしておくと、かえって折れやすくなる。
|
|
|
 |

-栽培ワンポイント-
隣のつる薔薇
各地各所のつる薔薇を気にかける習慣があると、「隣の芝生は青々としている」との
見方に似た気持ちになることがある。つまり同一品種や似たタイプのつる薔薇の樹勢の
差や花付きの違いに目が行きがちになる。このとき優劣を付けたがるのも無理はないの
だが、もっと楽しいのは、誘引形の比較でもないし、株が育っている場所の条件のよし
あしでもない。株元の整理感や背景との調和をこそ観察しよう。するとわたしたちにと
って当然である一輪ずつのみずみずしさや葉の元気の良さまでもが正確に見えてくる。
館が瀟洒であったり豪壮であるから花が美しく見えるのではない。隣に野菜が植えてあ
ったり小さすぎるほどの池がくすんでいるから美しく見えないというのでもない。たい
せつに育てられているかどうかが花の美の見え方を左右する。株周りが清潔であり、薔
薇以外の植物も生き生きしていたり、葉がいじけておらず、株全体の力を感じさせ、す
っくと、あるいはしっとりと、あるいはまるで花数でそこの空気を盛り上げているよう
に見えてこそ、その薔薇は美しい。そんなふうに感じられさえすれば、庭でないところ
で育てられている薔薇も、まったくもって等しく美しい。
それに、貴方のつる薔薇がそうであるように、隣のつる薔薇も一年を通し、またその
季節を通して、「変化」というものに満ちている。その度合いはどこのどんな品種であ
ろうとも同じだ。美しい花を惜しげもなく咲かせている人ほど、変化を精確に把握でき
る。手抜きも、心得た手抜きであれば薔薇もよろこぶ。病害虫による傷手からも、回復
が早いものだ。それは人が即応しているからであり、やり方やタイミングにまちがいが
なくなっていくからだ。隣のつる薔薇を見るとき、貴方がその持ち主のことを思うよう
に、相手もまた隣である貴方のつる薔薇を通して貴方のことを見ている。見えてしまう。
変化するから見える。何も変わらなければほとんど見えまい。
「しまった、隣のようにフェンスへ誘引しとけばよかった」
「どうだ、完璧な薬剤で完璧な防除ができているだろう」
「たくさんの品種があってたくさんの花が咲けば、不出来な花も目立たないはず」
などと、思わないようにしたい。わたしたちの、高いレベルにおける栽培の折り合い
とは、つまるところ変化に対する不即不離の付き合い方のことだ。それに終わりはない。
あるはずもない。
|
▲ |
|
|
|
|
|