携帯頁
 Home    Cont.    Info.     Prof.     Album,Cultiv.    Onepoint     Lecture     Lecture 2    Salon     Link    Flower    Topic    Bouquet   Literat.    Books    History  
Album
Kouki 香貴

杏がかったサーモンピンク

剣弁高芯咲き  28~32枚

径12cm   強香

 日本人愛好家好みの剣弁と色彩。「ソニア」「ブルームーン」「ガーデン・パー
 ティ」「レッド・デビル」などと同じようなコンテストローズのカテゴリー。しか
 し、写真頁に記したように、コンテスト会場を出ての魅力がこの薔薇にはふんだん
 にある。
 月初旬、時には月下旬から咲き始める早咲き。花保は日間と短い。花期は
 長いときで3週間。多肥害が出たときは香りも弱まる。ところがもともと肥料をた
 っぷりと欲しがる方であり、よく吸収し主幹が太くがっしりとしていくタイプであ
 るだけに、加減が難しい。同じ京成生まれの「熱情」や「朝雲」に比べてデリケー
 ト。花色がやや濃く出たときには、花弁の薄さによる弁の表の浪打ちがむしろ花の
 美しさを高める。その表現力は他の薔薇にはないものだ。たいへん貴重だと思う。

 シュートは春も秋もよく出して、しかもその時期がかなり早い。しっかりとした
 枝にするためには7月と10月に有機石灰を各80g( 二握り )ずつ与える。ベー
 サルの出は概ね年で終わる。その後は樹高が高くなりすぎないように、また
 イドシュートの出を狙って強剪定を毎年くりかえすように。

 ステムはHTの中でも太くて硬い方に属する。だから降雨後も花首が折れないこ
 とになり、花弁が刺などで傷つくこともめったにない。ただし花弁には雨シミは生
 じる。弁厚が足りないためだ。また、梅雨時のように湿度が高いとブルヘッドにな
 りやすい。盛夏に完全開花まで置いておくと、だらしのない花容になる。
 冬剪定では「動いていない芽を選んで剪定」の基本を守らなくてはならない。休
 眠中の芽の上で切ること。秋剪定は日に。秋の花も含めて、咲き殻摘み
 欲張って枝を長く残しすぎないように。この薔薇は花梗全体の充実度が非常に高

 品種なので、もともと枝を長く伸ばしていくことに固執しない。そのような薔薇

 葉数の確保のためにと枝を長く残す切り方をすると、残った部分への働きが強ま

 て、花はますます貧弱な方向へと表現されることになる。この薔薇の個性は極め

 生理的なものであり、まずそこを理解して尊重しなくてはならない。

 元肥にはあらゆる肥料が向いていて、選り好みはない。有機・無機、化学・化成
 の別なく組み合わせればよい。このタイプの肥培が可能な薔薇は、アデノシン三リ
 ン酸の製造に、言わば器用であり、意外にも生殖生長よりも栄養成長に重きが置か
 れる傾向がある。しかもそれが「徒長」ではなく「充実」へ動く。本葉が見せる濃
 緑の色合いに目が行きがちになるものだが、この品種ではすべての枝葉の色味と厚
 みに気をつけられたい。HTの古株の多くが見せてくれる、あのたくましさが如実
 に顕れる。もちろんそれはこの品種だけが他よりも図抜けているという意味ではな
 い。史上最強のブッシュである「クィーン・エリザベス」と並べればわかる。樹と
 しての遜色の無さが。そして、施肥によって花の問題が何も解決しないという点で、
 まだ完成されていない品種なのだと言える。
 したがって容器植で育てるときには、主幹を制限する考えは採らず、むしろできる
 だけ多くの地際からの枝を均等な伸び・高さとなるような整枝がポイントとなるし、
 枝へ鋏を入れたときには必ず何かの肥料を単一に同時に与えること。礼肥や追肥を
 複合的な施肥としない方がいい。つまり、通常の固形の置き肥は使えない。元肥で
 の三要素の比率は1:2:1でも1:3:1や1:4:0.5でもかまわない。
 容器植で高度化成を元肥とするときは、Mg含量の多いものは避けて苦土は後から
 補うように。
 病害虫への抵抗力は強い。ただ春の花の中でこの薔薇がマメコガネに真っ先に狙
 われる。根の出方が旺盛であることを知ってくるのか。招きやすい堆肥を施してい
 ないにもかかわらず。ところで植底に木炭を入れればどんな薔薇でも根に好影響が
 あって根張りがよくなるのはまちがいないが、ただ入れすぎると地温の変化を受け
 やすいと心得ておくべきだ。14号以上の深鉢でないかぎり決して鉢底へ大量に入れ
 てはいけない。地方にかかわらず盛夏の高温で木炭そのものの温度が上昇し、よろ
 こんで炭へ侵入していた根がダメージを受ける。土の温度上昇を少しでもやわらげ
 るには、鉢底に河原の丸石を敷くこと。その上に木炭を並べる。それが備長炭であ
 れば、この薔薇の根はびっしりと巻き付く。
 ガン腫病のみに耐性がない。発病したら焼却するしかない。
 開花中の重曹や木酢の散布は避ける。花弁に不自然な皺が出ることがあるからだ。
 コンパニオンにはマメコガネの罠植物であるヒソップ。花の色と葉の様子で調和
 を求めるなら、白ではアレナリア・モンタナ、ピンクではリリカシャワー。琥珀色
 が強く出る秋の花へはゴールデンマジョラムが似合う。
 香りは、濃厚であってもどこかおちついたもの。決して刺激的ではない。しっと
 りとしている。わたしたちに馴染みのミルラ香。もともとカンラン科の植物から採
 取されたものの香りであり、樹脂が発するあの独特の”苦み”が香りの基底となっ
 ている。香貴の放つ香りには、奥の方でその”苦み”がしているし、また森林に充
 満している青葉アルデヒドや、「スターリング・シルバー」が放つダマスクモダン
 香とティー香の混在の香りも含んでいる。そう、ブルーローズ系の香りでもあるの
 だから、ただごとではない。くすみ成分の中にスパイシーさえ幾分漂っている。
 春の暖かい午後、高芯の裏弁に明るくすがすがしい杏の色がにじんでいるのを見
 て、唇の端に微笑が浮かばぬ愛好家はいまい。秋の夜も更けてきたころ、家屋内の
 カーテン越しに届くわずかの光を受けて、この花がまだ強い香りを漂わせているこ
 とに気づいたとき、思わず花へ顔を近づけない愛好家はいまい。真冬に、小雪がち
 らついている中でぽつんと一輪だけ開いていて、冷たい風にその花弁がそよいだ風
 情に目を細めない愛好家はいまい。この薔薇はそれほどの薔薇なのであり、そして
 それだけの薔薇でしかない……

Onepoint 雨シミはどうしてできるか
Lecture 2 HTの春剪定
Lecture 2 HTの秋剪定
Lecture 2 HTの整枝


Lecture 2 HTの施肥設計と実践




























                
 
              
                   -栽培ワンポイント-

                「なぜ動いていない芽を選ぶのか」

 このことが、剪定について最初に学んだときの最初の疑問ではないだろうか。
その答はほとんどのマニュアル本に書かれていない。
 当サイトを何度もお読みになっていれば、すぐに解ける疑問ではある。つまり
芽の生長に必要なホルモンは茎頂で作られるからである。すでに動き、伸びはじ
めていれば、その茎頂でホルモンが作られることと働くこととがほぼ終わってい
る。そこには薔薇の生長の大原則である頂芽優勢が揺るぎなく行われている。な
ぜ頂芽であるのかはおわかりだろう、他の薔薇よりも他の植物よりも上に伸びよ
う、広がろうとするためだ。
 剪定とは切り下げることであり、新しい茎頂を人の手が指定すること。剪定箇
所よりも上の芽が動いていれば、当然その芽と茎頂は喪われる。北日本から関東
地方までの間では、2月の剪定期にほとんどの芽が動いていない。だから剪定を
狙い通りに行える利点がある。ところが暖地であれば、2月にすでに頂芽が動い
ていることがしばしばであり、やむなく不本意な外芽を選ばざるを得ないことが
よくある。しかし暖地であってもわが国では冬である。沖縄などを除けば、最高
気温が7℃を下回る時期がある。その時期に剪定すれば、新しい頂芽の指定によ
るそれまでのロスは小さい。そして休眠がすでに打破されているから、各枝は新
しい頂芽の付近で活発に芽を伸長させ、葉をいずれ展開させる仕組みを働かせる
 もしも剪定しないで休眠以前の頂芽をそのままにしておいたらどうなるか。生
長途中で休眠に入り、たとえその期間が短くとも、その芽と茎頂組織は冷害の打
撃を受けるおそれが強い。気温が8℃を安定的に上回り始めてからも、順調な勢
いのよい生長に陰りが出てくる。そしてたとえするするとそのまま伸びたとして
も、枝の充実は起きにくくなる。
 だから動いていない芽で剪定するのだ。しかも剪定にはあくまでも「更新」と
いう狙いがある。それは古くなり勢いを無くしつつある枝の切除ということに、
とどまらない。そのような枝を落とした後、残された枝を見て、どのような樹形
を作ろうとしているか、またあなたが作れるかを判断し選択することだ。そのこ
とがあるからこそ、春剪定はあなたと薔薇との一年で最大の対話となる。決して
無雑作に切り進めないように。一株へ充分な時間をかけよう。そうすればこれほ
ど楽しい手入れは他にないほどだ。


検索 Q&A  剪定時によい芽がなかったら?






              -栽培ワンポイント-

        「一株の花すべてが同じように美しく咲きそろわないのは?」

 多くの人が何気なく思いつかず、なんとなく理由がわかっているようでもあま
り気にしていないことの一つが、花の出来不出来が一株全体において生じる理由
のことだ。
 ある蕾は開くにつれて見目うるわしくきれいに開くだろうと予感させ、しかし
別の蕾は(蕾の大小とは無関係に)あまりきれいに開いた花にならないだろうと
予感させる。
 実はその直観はほとんどの場合現実のものとなって、期待通りに美しい花と、
期待できなかった通りの花になる。
 その根拠は、十分な手入れ、自然の気候、用意した環境といったことに特に問
題が無い場合でも存在する、花梗の充実度の違いにある。幾人かの専門家は特定の
枝は根の特定のものと関係が深く、それぞれの組み合わせによって花の善し悪し
が決まると語ってきた。だが薔薇を植物生理学の観点から理解すると、その見解
には誤謬があると言わざるを得ない。つまり根は吸収したものをクラウンへ送っ
ているのであり、根が枝によっていくつかのグループに分けられているのではな
い。クラウン全体からそれぞれの枝(幹)へ要素やホルモンが均一に送られてい
るのだ。ところが、品種による若干の素質上の違いはあるものの、薔薇の幹はそ
もそも「中心主幹を持たない」株立ちをすることにより、それぞれの幹へ均等に
それらの物質を調達しようとする。しかしベーサルシュートにおいてすら長さや
太さが一本一本異なることからもわかるように、枝は決して均一にはならない
このことが薔薇の大きな特徴であり、もしも桜や梅のように一本の主幹を決定さ
れたら、そこから樹形全体を整えようとするという仕組みを持たないのだ。
 これは薔薇の弱点や欠点ではない。樹形作為の意志である。一本の主幹に頼ら
ない造形を遺伝上も生理上も選んだ。サイドシュートの発生や、つるの勢いがそ
の証しである。高く伸びることよりも、横へ伸び、広がることを求める樹なのだ。
つる性植物は言うまでもなく、高い木をよじ登るか、あるいは広く遠くへ伸びよ
うとするものに分かれる。薔薇は巻き付きを選ばず、刺で他の植物を傷つけてで
も有利な地へつるを伸ばそうとする。光を得るためだ。
 こうして、つる性の不均等が枝そのものの不均等を決めた。
 枝の充実度が当然違ってくる。勢いの差である。勢いの差を設けたからこそ伸
びる素質を獲得できたと言っても過言ではない。この差が、花の差をもたらして
いるのだ。よい枝には良い花がいくつも咲こうとする。しかしよくない枝にはい
くつも不出来な花が開く。ブラインドシュートや芽、短枝や弱小枝が発生するの
も、そうでないものに生殖生長を集中させ、受精の機会を確実なものにしようと
努めるからだ。その傾向が、薔薇のグループの多様性ももたらした。小輪多花の
ものと中大輪房咲き性のものとだ。
 しかし薔薇は、そこまでに終わらない花木となってきた。人の手入れへの反応
のことだ。あらゆる手立てにより、よい枝をいくつも持とうとする生き方を選ぶ
ことができる。それにはわたしたち人間の飽くなき「花への欲求」「美の追求」
が決定的に働きかけている。シュートを処理し、つるを寝かせ、長いつる種を生
み、他の植物以上に欲しがるリン酸を与え、病害虫から守り、美しい環境を用意
する。それらはすべて、放任されたまま仕方なく花を付けようとするありさまか
ら薔薇を救い、生き生きとさせ、美しい花を一つでも多く咲かせたいとの薔薇自
身の求めに応じたものだ。そのことに応えられるのは、わたしたち人間だけであ
る。
 にもかかわらず、薔薇はそれでも不出来な花も咲かせてしまう。それは万全を
尽くしても、花梗とそれを付けた枝との間に、ある種の予測困難な生殖生長上の
関係が生じているからであり、わたしたちの願いを超えて、枝の不均一の原則を
守ろうとする頑固さこそ、ここのタイトルへの答えとなる。完全無欠な人間など
いないように、完全無欠な薔薇も存在しないと言える。完結を嫌い、永遠を選ん
だのだ。わたしたちを愛するがゆえに。   これが薔薇の倫理なのである。い
つまでも期待され、努めてもらい、愛情を通わせていられるようにと。その欲求
の強さこそ、薔薇の「完成度」の意味となっている。そしてその完成度は、あな
たによっていくらかでも高めていける性質のものである。
                                                         

Salon 薔薇と温度


Bouquet  芽の動き





























































サイト内検索 powered by Google
 
                          
       Road to Rosa synthesis
Cultivation