
杏がかったサーモンピンク
剣弁高芯咲き 28~32枚
径12cm 強香
|
* 日本人愛好家好みの剣弁と色彩。「ソニア」「ブルームーン」「ガーデン・パー |
|
||||||||||
![]() |
|||||||||||
-栽培ワンポイント-
「なぜ動いていない芽を選ぶのか」 このことが、剪定について最初に学んだときの最初の疑問ではないだろうか。
-栽培ワンポイント-「一株の花すべてが同じように美しく咲きそろわないのは?」 多くの人が何気なく思いつかず、なんとなく理由がわかっているようでもあま り気にしていないことの一つが、花の出来不出来が一株全体において生じる理由 のことだ。 ある蕾は開くにつれて見目うるわしくきれいに開くだろうと予感させ、しかし 別の蕾は(蕾の大小とは無関係に)あまりきれいに開いた花にならないだろうと 予感させる。 実はその直観はほとんどの場合現実のものとなって、期待通りに美しい花と、 期待できなかった通りの花になる。 その根拠は、十分な手入れ、自然の気候、用意した環境といったことに特に問 題が無い場合でも存在する、花梗の充実度の違いにある。幾人かの専門家は特定の 枝は根の特定のものと関係が深く、それぞれの組み合わせによって花の善し悪し が決まると語ってきた。だが薔薇を植物生理学の観点から理解すると、その見解 には誤謬があると言わざるを得ない。つまり根は吸収したものをクラウンへ送っ ているのであり、根が枝によっていくつかのグループに分けられているのではな い。クラウン全体からそれぞれの枝(幹)へ要素やホルモンが均一に送られてい るのだ。ところが、品種による若干の素質上の違いはあるものの、薔薇の幹はそ もそも「中心主幹を持たない」株立ちをすることにより、それぞれの幹へ均等に それらの物質を調達しようとする。しかしベーサルシュートにおいてすら長さや 太さが一本一本異なることからもわかるように、枝は決して均一にはならない。 このことが薔薇の大きな特徴であり、もしも桜や梅のように一本の主幹を決定さ れたら、そこから樹形全体を整えようとするという仕組みを持たないのだ。 これは薔薇の弱点や欠点ではない。樹形作為の意志である。一本の主幹に頼ら ない造形を遺伝上も生理上も選んだ。サイドシュートの発生や、つるの勢いがそ の証しである。高く伸びることよりも、横へ伸び、広がることを求める樹なのだ。 つる性植物は言うまでもなく、高い木をよじ登るか、あるいは広く遠くへ伸びよ うとするものに分かれる。薔薇は巻き付きを選ばず、刺で他の植物を傷つけてで も有利な地へつるを伸ばそうとする。光を得るためだ。 こうして、つる性の不均等が枝そのものの不均等を決めた。 枝の充実度が当然違ってくる。勢いの差である。勢いの差を設けたからこそ伸 びる素質を獲得できたと言っても過言ではない。この差が、花の差をもたらして いるのだ。よい枝には良い花がいくつも咲こうとする。しかしよくない枝にはい くつも不出来な花が開く。ブラインドシュートや芽、短枝や弱小枝が発生するの も、そうでないものに生殖生長を集中させ、受精の機会を確実なものにしようと 努めるからだ。その傾向が、薔薇のグループの多様性ももたらした。小輪多花の ものと中大輪房咲き性のものとだ。 しかし薔薇は、そこまでに終わらない花木となってきた。人の手入れへの反応 のことだ。あらゆる手立てにより、よい枝をいくつも持とうとする生き方を選ぶ ことができる。それにはわたしたち人間の飽くなき「花への欲求」「美の追求」 が決定的に働きかけている。シュートを処理し、つるを寝かせ、長いつる種を生 み、他の植物以上に欲しがるリン酸を与え、病害虫から守り、美しい環境を用意 する。それらはすべて、放任されたまま仕方なく花を付けようとするありさまか ら薔薇を救い、生き生きとさせ、美しい花を一つでも多く咲かせたいとの薔薇自 身の求めに応じたものだ。そのことに応えられるのは、わたしたち人間だけであ る。 にもかかわらず、薔薇はそれでも不出来な花も咲かせてしまう。それは万全を 尽くしても、花梗とそれを付けた枝との間に、ある種の予測困難な生殖生長上の 関係が生じているからであり、わたしたちの願いを超えて、枝の不均一の原則を 守ろうとする頑固さこそ、ここのタイトルへの答えとなる。完全無欠な人間など いないように、完全無欠な薔薇も存在しないと言える。完結を嫌い、永遠を選ん だのだ。わたしたちを愛するがゆえに。 つまでも期待され、努めてもらい、愛情を通わせていられるようにと。その欲求 の強さこそ、薔薇の「完成度」の意味となっている。そしてその完成度は、あな たによっていくらかでも高めていける性質のものである。 ![]() |
|
||||||||||
|
|
|||||||||||
| ▲ | |||||||||||
|
|||||||||||