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* 兵庫県明石市で発見されたノイバラの化石は、およそ200万年前
から500万年前のもの。したがって実際にはその遙か以前からこの
原種は存在していたものと思われる。今後調査が進めばさらに以前の
地層から見つかるかもしれない。
* ノイバラの変種やノイバラと同等と思われる原種・亜種は次々と発
見されており、今後も未知のものが見つかる可能性は高い。下の写真
のように、明らかにノイバラの変種と思われる「斑入り葉のノイバラ」
ロサ・ウクライアナ・バリエガタなどがある。
* 耐暑性・耐寒性・耐湿性・耐乾性・耐病性などにおいて、現在世界
最高レベルの薔薇とまで言い切れる。だからこそ、中国のすぐれたロ
サ・キネンシスや、センペルフローレンス、またオールド・ティロー
ズ、ハイブッド・パーペチュアルなどと人為交配されてきた。
* 薔薇のほとんどはアジアで生まれ育った。十字軍の遠征や大航海時
代がそれらをヨーロッパに持ちこみ、それから多種多様な薔薇の世界
が切り開かれた。中東の原種と中国の原種が出逢い、北米の原種と日
本のそれも出逢った。子孫たちが出逢い、交差し、無限に広がる豊か
な世界のまっただ中に、わたしたちはいる。
* 無施肥でも育つが、容器植などで十分に育てようとすれば、施肥は
必須である。幾度にも分けて、あらゆる肥料を少量ずつ施せばよい。
開花中でもかまわない。この原種は、他の原種のほとんどもそうだと
言えると思うが、人の手による肥培の次元を超越しているのだ。染色
体の変化なども含めてまだわからないことだらけなのに、頑とした生
育の確かさを見せる。あらゆる罹病も、手入れさえすれば完璧に枯死
を免れるし、ミノムシなどに丸裸にされても根はまだ生きている。そ
の強さをこの原種にもたらしたのは、わたしたちを生んだこの日本と
いう名の大地であり、太陽であり、悠久の「時」そのものだと言える。
そんなにも豊かな自然なのかと、わたしたちはこの国のあらゆるとこ
ろに感じて生きている。そこに、ノイバラも加えていただきたい。現
代世界の薔薇の原点・源の一つは、まちがいなくノイバラにあるのだ
から。美しいということの根拠にある、途方もない時間をかけた営み
と生と死が、人知が追いつくのを待ってくれている。日本人だけでは
ないことと思うが、わたしたちの花の好みにおいてよく口にすること
ばに「シンプルがいい、素朴がいい、一重がいい、そんな花にこそ、
原初のものの素朴な美を見て、癒やされます」という意味の表現があ
る。この感覚が、いったいどこに由来するものであるかは、もうすで
に明らかであり、言うまでもないだろう。ノイバラを初め、さまざま
な薔薇に恵まれているこの日本は、なんとすばらしいところなのだろ
う。
* あらゆる気候変動、病気、薬剤に対して、かなりの敏感さを見せる。
この原種に馴れていない人たちは驚き、当惑し、首をひねることも多
い。だが繊細であることは必ずしも弱いということではないと、ノイ
バラを育てれば気づける。地植にしたときの葉の大きさ、小さな鉢へ
挿し木したときの活着の速さ確かさ、どんな状況でもまちがいなく結
実する力。そうしたことを見ていると、弾みがついたときのつるの伸
長力のすばらしさへの感動は深い。また、容器植で土替えするとき、
健全な白根がどんなに多いかを知った人は、幸いだ。その感動の進む
ままに、思うような栽培をしていけばよいのだから。
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