2008年10月18日 NO.386 「こんな遅い時間に何方だろう?」      
 風呂からあがり、半そでとパンツのパジャマ姿でワイフと二人で冷たいものを飲んで
いた。最近、ビールの代わりにグレープフルーツを絞り炭酸と焼酎を加えて飲んでいる。
これが結構、うまい。程よく酔いがまわって、報道ステーションをうとうとしながら見てい
た。「ピンポーン!」 この夏、新しく変えたばかりのドアホーンが嬉しそうに鳴った。時

計を見ると夜の10時30分を回ったところだ。「こんな遅い時間にいったい誰だろう?」
ワイフが玄関のドアーを開けて階段を下りて行った。何だが大きな声で話をしている。
「あなた、Nさん夫妻よ」 ちょっとびっくりした。彼らとはだいぶ長いことあっていない。
しかも、彼らは我が家から大分離れた町中に近い所に住んでいるのだ。こんな夜更け

に・・・・   二人ともスポーツスタイルだった。どうやら深夜のウオーキングの
途中のようだった。「久しぶりにこちらの方まで歩いてきて、お宅の前を通ったら、まだ
電気がついていたので、遅いとは思ったんだけど。」 と旦那が話し始めた。彼らはまだ
私たちが夜は町中のマンションに帰っているのだと思っていたようだ。友人から娘エリカ

のことを最近、耳にして、マンションの方に出かけようと相談していたのだと言う。彼らを
2階に案内している間に私は着替えて、エリカの祭壇がある部屋にあがって行った。Nさ
ん夫妻は2年前にシベリアンハスキーを亡くしている。マリリンと名づけられたシベリアン
ハスキーはエリカの幼馴染だ。10年ぐらい前は公園で毎日のように顔を合わせていた。

会社の休みの日には、ご主人がよく、自転車に乗ってあちこちに出かけていた。マリリン
茶目っけたっぷりな子で、何回か家族のすきを窺って脱走劇を演じたこともあった。真剣
なまなざしでマリリンを探し回っているご主人の姿のかわいらしかったこと・・・・・
10年前・・エリカもマリリンもそして私たちも皆若かった。しばらくその思い出に浸った。
    
「ところで、こんな遅く、いったいどうしたの?」 彼らはウオーキングを始めた。この日が
3日目だという。弁護士の卵である息子さんに孫ができ、娘さんが最近結婚して福島に

行ってしまい、ついに彼らは二人になってしまった。いよいよ彼らも人生の第二ステージ
に入ったのかな。仲の良いNさん夫婦が手を取り合って夜の散歩。なんだか私たちにも
その意気込みがほのかに伝わってくる。実は私たちも10日前から本格的なウオーキン
グを始めたところだった。昨日は1時間40分も歩いた。やっと足の疲れを感じなくなって

きた。すっかり忘れかけている山登りのあの味を、もう一度味わいたいから、がんばらな
くちゃ。私たちより若いN夫妻が始めたんだから、負けられない。「Nさん、3日坊主にな
らないようにね」 玄関で見送りながら、ポンと肩をたたいた。11時を回っていた。
「エリカ、お前は幸せな犬だね。こうやって突然、会いに来てくれる人がいるんだよ。」

「僕が死んでもエリカみたいに次から次へと訪ねてきてくれる人がいるだろうか?」
全く自信がありません。正直言って私よりエリカの方がワンランク上にいたような気がし
てならない。
エリカがいなくなって2か月、さびしい気持ちは今も変わらない。けれども周りの友人が
    
言ってくれるように、エリカが天国で見守ってくれている……という意味が少しづつわか
ってきたような気がする。「お父さん!もう、私の心配をすることはないのよ。人生これから
よ。楽しんでね!応援しているわ。」 エリカのかわいらしい声が聞こえてきた。
金時山目指して明日もがんばるぞ!学生時代に会った金時娘さんどうしているかな?