2012年04月23日  NO.439 「今年はお祝いをした」      
     
 
桜が終わり新緑の季節が始まった。サンデッキから臨む市民の森の木々が太陽の光を
受けて黄緑色にキラキラと輝いている。朝のコーヒーをすすりながら森をじいーと眺める。
デッキから眺める風景の中でこの時期のこの瞬間が一番好きだ。時間を忘れて見入って
しまう。

 一昨日は私の何回目かの誕生日だった。この年齢になると誕生日がやって来るのが嬉
しいような、切ないような複雑な心境になる。今年は冬が長かったせいか春が待ち遠しく
私の誕生日には外に出掛けてお祝いしよう、とワイフと決めていた。先日から始めた外の
階段のペンキ塗りの仕上げをするために一時間早く起きて、緑色のペンキを素早く塗り上
   
げ、10時半に家を出た。まだまだその気になるとエネルギーがほとばし出るようだ。
公園の中を二人で並んで歩いていたら、顔見知りのTさんが通りがかった。「今日は私の49
回目の誕生日なので都会に行って食事をしてきます。」「まあ、いいわね。あら、49歳?私
の息子と同じなのね。」 1・2秒おいてお互いに顔を見合いながら笑い始めた。私は彼女の

息子と同い年・・・・・・・・・ 
目黒の雅叙園でランチを愉しんでから、館内で開催中の辻村寿三郎の人形展を観た。あの
有名な百段階段に設けられたいくつかの部屋に展示された数々の人形、テレビでちらっと
見ただけで、こうやって直接、間近で見るのは初めてだ。人形が生き生きとしていて今にも

語りかけてくるような雰囲気が漂っている。流石に俳優や演出など様々な才能を持ち合わ
せた人の作品だけに、着物や立ち振る舞い、顔の表情など隅々まで行き届いている。
感動の気持ちを伝えるために家に帰ってからすぐに、町田に住んでいるIさんのご主人にメ
ールで報告した。人形の素晴らしさを教えてくれたのは、やはり、人形を制作しているIさん

  
だった。散歩のついでに足を延ばしてIさんの家に立ち寄り、彼女の人形をみながら一緒に
お茶をすると、なぜか気持ちが落ち着いてくる。精魂込めて造られたお人形は奥が深い。
気分良くメールを送っていたら、若い女性二人から誕生祝いのメールが届いていた。全く予
期していない彼女たちからの突然のメッセージに気分はさらにルンルン・・・・

「先生、まだまだ若いですよ。」と言われて目を輝かす自分に苦笑しながら、「よし、やるぞ」
と夕飯を知らせるワイフの声にぱっと反応してドンドンドンと、勢いよく階段を下りていった。
「どうしたの?」「いやー夕飯が待ち遠しくて。」
今日はいつも飲んでいる安物のチリワインではなく、ちょっと奮発して1450円のフランスワ
  
インの赤で49歳(?)の誕生日を祝った。「俺若く見えるかな?」
私とワイフには何人かの若い友達がいる。みんな其々、悩み事を抱えながらたくましく生き
ている。彼らの悩み事などに耳を傾けながら、実は彼らから出てくる若いオーラをいただい
ている。肉体は歳をとるけれど、精神は歳をとらない。それは自分の気持ち次第だと思う。

ロマンチックな気持ちをいつまでも・・・・・・それが生きる喜びを生むのだ。
先日、友人が私に一枚のCDをプレゼントしてくれた。ジャズとシャンソンとピアノ曲が入って
いた。中年の女性の素敵な声が聞こえてくる。ジャケットに映る彼女の姿も麗しい。実は友
人はその彼女に今、歌のレッスンを受けている。どんな気持ちで歌の練習をしているんだろ
うか? 今度会ったら彼に聞いてみたい。