2017年1月25日 NO.505 「ムゼッタのワルツ」
まだまだ、寒いが続いている。あと一か月の辛抱かな。ワイフが風邪をひいてお
医者さんに行った。インフルエンプザでなければよいのだが。
全世界は、今、トランプ大統領の一言一句に戦々恐々としている。公人ではなく
個人が発言しているメッセージに振り回される状況は、あのヒットラーにそっくりだ。
しばらくはこの状態が続くのだろうが、ずーっと4年間、こんな状態が保たれるわけ
がない。それは歴史が証明している。人の感情の本質は永遠に同じ状態にいられ
ないからだ。彼の情報発信の手段であるツイッターも今は、多数のものが歓迎して
いるが、時間が経過するとともに、新鮮味がなくなり、人は冷静にその中味を考え
るようになる。彼の政策そのものが評価の対象になる。半年先、いや一年先、アメ
リカ国民がどう考えるのか、そこから本当のアメリカの姿が現れてくるのではない
だろうか? 大統領もタダの人にすぎない。尊敬できるかどうかは大統領ではなく
その地位に就いた人そのものである。それは私たち普通の人間も同じだ。
さて、身近な話に移ろう。私のつたないこの日記は身近な話が中心だ。最近、立
て続けに”小さなコンサート”に出かけた。たくさんある町田市の市民団体が、市の
後援を受けて開かれたコンサートである。参加費は一つは無料、もう一つは500円
である。出演者は前者はレベルの高いアマチュアの音楽家、後者はプロの方々だ
った。御近所の人たちが気軽に出かけて生演奏に聴きほれていた。あっという間に
時間が過ぎてゆく。最後のアンコールが終わっても、詰めかけた聴衆は中々席を立
とうとしない。やっと気が付いて出演者に感謝の眼差しを送りながら会場をゆっくり
出て行く。みんな大満足の顔をしている。その表情は高額な入場料を払ってコンサ
ートを聴く聴衆と変わらない。私もその一員だったが、音楽の内容はもちろんだが
皆の喜んでいる姿になお一層の喜びを感じて会場を後にした。もうひとつ、嬉しい
ことがあった。後者のプロのコンサート。プログラムの一曲目が突然、変更された。
そして、ソプラノ歌手が歌い始めたのが”ムゼッタのワルツ”。プッチーニのオペラ
「ラ・ボエーム」第二幕のアリアである。以前このホームページの「今月の音楽」(48
回シリーズ)で取り上げたことのある私の大好きなアリアである。この曲は学生時代から
なじんでいた曲。最初の出合いはフルオーケストラによるムードミュージックで、あ
る番組のテーマソングに使われていた。その後、ミュンヘンの歌劇場の片隅で直接
オペラを聴いた。そして”ムゼッタのワルツ”が始まると、なぜが目頭が熱くなった。
感動とある苦い思い出が重なって涙がこぼれた。40年近く前の話である。
一番前の席に座ってそのアリアを目を閉じて聴いていると頭に電気が走った。久しぶ
りの感動から出る電気である。
コンサートが終わりホールを出ると、ピアノ伴奏者と3人の歌手が並んで立っていた。
私はムゼッタのワルツを歌ってくれたソプラノ歌手の手を固く握りしめた。「ありがと
う感動しました!」興奮状態で話しかける私の気持ちを彼女は知る由もない。ニッコ
リ微笑んで会釈してくれた。クラッシックやコーラスをしている方はご存知だと思いま
すが初めて耳にする方は、ぜひ一度聴いてみてください。オペラは長いのでハイラ
イトで聴くのが手頃です。ラ・ボエームのムゼッタのワルツ(私が街を歩けば)。