13.夏の避暑地・蔵王(写真10枚) 森のホテル・ヴァルトベルクにて 2005.8
もう、10年以上も前になる。町田のJTBに勤める犬仲間のNさんに、山形で泊まる宿を
探してもらった。彼女が紹介してくれたホテルのひとつにドイツ語名のホテルがあった。
ヴァルトベルク、ドイツ語をちょっとかじった人ならすぐわかる言葉だ。Waltは森、Be
rgは山だ。 「どんなホテルなんだろうか?」私は迷わずこのホテルを選んだ。
初めてたずねた時、そのホテルは完成したばかりで、駐車場が工事中で木で出来た仮の
はしごを危なっかしそうに上っていったのをよく覚えている。ホテルは私のイメージどおり
で静かな森の中にあった。外観は洋風のシックな建物であったが、中味は日本風で家庭
的な雰囲気がある。その伝統は今も変わらない。私はそういう環境が大好きだ。受付に
大学を出たばかりのような可愛い女性がいた。ここのオーナーのお嬢さんかな?何しろ愛
娘エリカつきの旅行だから、いろいろとお世話になった。ここのホテルのお湯が、特に気
に入っている。硫黄分の多い源泉100%の温泉だ。成分はあの宣伝上手な玉川温泉と
ほとんど変わらない。水虫を持っている私の足は蔵王に来るといつの間にか治ってしまう。
あれから10年以上経つ。お嬢さんは若女将となって、夢とロマンを抱きながらヴァルトベ
ルクを取り仕切っている。その奮闘振りは短い滞在中でも伝わってくる。
私の蔵王は冬のスキーではなく、夏の避暑地なのである。いつか日本人も長い休暇が
取れるようになり、家族や夫婦で長期滞在の旅行が出来るようになったら、ヴァルトベル
クのようなホテルで読書をしたり、犬と散歩したり、ゆっくり温泉に浸ったり…そんな光景
が私の頭の片隅に浮かんくる。日本のバーデンバーデン蔵王。ダンケ・シェーン!
この芝生に来るとすぐ踊りが始まる (蔵王・中央ロープウエーの草原で)
私のドッグランよ (毎朝・夕遊んだよ ヴァルトベルクのお隣にあるゲレンデにて)
野天風呂、 硫黄分の多い乳白色の源泉かけ流し湯(女湯)
まさにヴァルト・ベルクだ
6階のホールからの眺め
裏磐梯でタップリご褒美 ご覧の通り、子供たちの前で得意の犬掻き (五色沼にて)
今年もお釜に上った。涼しいはずのお釜なのに約束が違うじゃないの、とエリカが言っている (蔵王・お釜にて)
元湯 湯量が多いためほとんど写真のように川にそのまま流している
(ヴァルトベルクにて)
フランス懐石弁当 (日光・明治の館にて)
白馬のお出まし(日光・東照宮にて)
エリカを置き去りにしてリフトで第二ゲレンデへ、エリカの悲しい叫び声が下から響き渡る。
遠く、三五郎小屋が見える。この後、下に降りて三五郎小屋でビールを飲む。ロープウエー
は5時で止まる。小屋を出たのは5時だ。「こちらはお客さんよ。待ってくれるのが常識よ。
私たちの顔を見てるんだから。」 ワイフは悠然としている。エリカが必死になって先頭を
切って走り出す。なんだか事情が判っているみたい。
駅には5時10分に着いた。帽子をかぶった職員が電気を消している。「もう止まりました。
歩いてください。」 つれない返事が返ってくる。下までタップリ2時間はかかる。暗くなった
らどうしよう。結局、職員の車で立ち入り禁止のリフトの真下の道を急降下で降りた。冷た
い振りして、親切なんだよね。 それにしてもワイフのセリフは頼もしかった。「待ってくれる
に決まっているわ。お客さんなんだから。」 車から降りるときに往復切符を感謝を込めて
差し出した。駅員さんはワイフとエリカがいたから車に乗せてくれたんだろうな。
わたしだけだったらどうなっていただろう。 (蔵王・三五郎小屋にて)