ホフディラン アルバムレビュー(第2回)

第2回『多摩川レコード その1』2010.1.28

 ホフディランメジャーデビューから14年。音楽の技術的な話(音楽の場合、技術と言うのかは不明だが)については全く分からない僕だが、貴乃花の土俵入りが素人目にも綺麗なことが分かるように、ホフの曲は僕の心を素直に感動させた。
 ・・・・そんな、訳の分からない例えは、自分で言っておきながらなんだが、ホフの魅力を語るのには全く、不要である。。


 ホフディランについて、つらつらと思いの丈を書き綴る本欄の、第2回は、『多摩川レコード』である。前回はユウヒーズというバンドの『ユウヒビール』を紹介してしまったので、やっと本題に入ることができるのである。

 ユウヒビールと同様だが、僕は多摩川レコードを聞くとき、いつも思うことがある。それは発表時、ユウヒは23歳であったと言うことである。まだ、テンフィンガーだった頃である。ついでに、渡辺君は28歳であった。ついでで申し訳ないが。ユウヒビールを弱冠22歳で発表した小宮山雄飛が、それからわずか8ヶ月・23歳にして不朽の名作『多摩川レコード』の発表である。才能開花させすぎ、ドーパミン放出させすぎと言わざるをえない。天才である。オイルショック前の油田みたいなもんだったんだろうか。なんつーか、棒で突っつけば石油が垂直に噴き出す的な何か。何が天才的かなどについては、紙幅の都合で後日の各論に譲ることにする。

 尤も―。

 この作品は、渡辺君の、無邪気で素直な発想、意表をつく展開、毒の利いた鋭い歌詞がバランスよく味わえる、と思う。渡辺君は色々な系統の歌をこの後もたくさん作ってくれるのだが、遊びがふんだんに行われながら作品としてしっかりと形状を保っていると言うのかなあ。だって、マフラーをよろしくって言ったあと、マフラーありがとうだよ? だれがこんなの考え付くだろうか?

きっと誰もいない裏道で一人作曲して十余年、そこからのエネルギーが結晶化された希有の一枚なんだと思う。こと、渡辺君に関しては。歌詞カードの写真はピーコに見えても、残した業績は偉大であった。

ホフディラン7枚のアルバムの中で、唯一渡辺君のほうが曲数が多いことでも有名だ。渡辺君8.75曲:ユウヒ6.25曲。+ゴーストは1.5曲:1.5曲。賢明なホフファンはお気づきかと思うが、端数は共作である。ホフディランはビートルズ同様、共作が極めて少ないが、ゴーストを含め2曲も共作を聞けるのはこのアルバムだけであって、スマイルで始まったホフディランのメジャーの歴史の原点として、常に振り返らずにはいられない作品である。


つづく
多摩川レコード

多摩川
筆者が撮った多摩川(2009年)




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