
江戸っ子は「ひ」が言えない。これは有名ですが、私の父くらいまでです。私は昭和23年生まれですが、言えます。でも、「ひ」と「し」が続く言葉の発音は苦労します。「夕日が沈む(ゆうひがしずむ)」「朝日新聞(あさひしんぶん)」などはゆっくり考えないと「ひ」と「し」を間違えます。私の子等は間違えません。
「い」と「え」の関係は祖父の時代くらいまででした。
大工 「だいく → でえく」
私の父 伊二 「いつぎ → えっつぎ」
台所 「だいどころ → でえどこ」 ろ は発音しない。
この「台所」についてですが、粕谷で言う「台所」は、今で言う玄関から入った所の土で出来た「土間」を言います。世田谷区の民家調査書を見ると、この土間が「泥床」と漢字が振られています。この発音の特徴を知らない調査員が「だいどころ → でいどこ」を聞いて、短絡的に「泥床」と、土で出来た「土間」だから、漢字にしてしまったようです。「台所」は荒縄や草鞋の藁打ちをしたり、臼で米や、麦を搗いたり、餅を搗いたりと、藁打ちの台や臼を使う場所と言うことで土間を「台所」と言います。今この「泥床」が一人歩きをしてしまっています。「でえどこ」は「だいどころ」の方言なのです。
江戸語大辞典(講談社 前田勇)とほとんど同じです。私が大学で友人に「後ろから、”おっぺして”くれ。」と言ったら、「お前なに言ってんだ。」と理解されませんでした。
その「とんぼぐち」に続く公道路からの宅内道路を「じょうぐち」と言います。福島県安達 相馬
静岡県天城 山梨県大泉 あたりでも使われています。錠口 上口 常口 城口
語源も、漢字もわかりません。「じょうぐちの長い家」のように言います。
「とんぼぐち」は玄関口を言います。表の入り口で「大戸」があり、その脇に「くぐり戸」があります。その付近を「とんぼぐち」と言います。語源はわかりません。漢字もわかりません。どなたかご教示ください。福島県安達 相馬 静岡県天城あたりでも使われています。