
GIS = 地理情報システムは、"地理"という名前がついているように地図の情報を扱うものです。GISを使うにあたって、地図に関する知識はもっとも基礎的な部分です。
地図の基礎的な知識については、地図センターの「地図博士の部屋」にあるQ&Aにわかりやすく、かつ詳しく記載されています。興味があるかたはみてみてはいかがでしょうか?
Q1:地球の形状は?
Q2:地球楕円体とは?
Q3:地球上の位置や高さを表すシステムや基準は?
Q4:経緯度は?
Q5:地形図に表現される標高や等高線等の高さの基準はどこか?
Q6:方位、方位角とは?
Q7:磁北、方眼北とはなにか?
Q8:真北と磁北が合致しないのはなぜ?
Q9:ユニバーサル横メルカトル(UTM)図法、UTM座標系とは?
Q10:平面直角座標系とは?
Q11:国土地理院発行の地図(一般図)はどのような図法を使用しているのか?
Q12:北海道の全周は何キロメートルですか?
Q13:地図にはなぜ色がついているのか?
Q14:地図はなぜできた?
Q15:地図にはなぜ記号がある?
Q16:地図の記号はどのように決めたか?
Q17:地図の作り方は?
Q18:地形図の各図の面積は緯度によってなぜ違う?
Q19:地図の上方はなぜ「北」を指すのか?
Q20:地形図の図名はどのように命名されるか?
Q21:「地形図」と「地勢図」は違うの?
Q22:イチゴ畑は「果樹園」じゃ無いの?
専門家以外で、地理座標系?、投影座標系?、日本測地系(Tokyo Datum)?、世界測地系?、平面直角座標系?、UTM座標系?などといった言葉をきいてピーンとくるであろうか?一般の方は、そういえば学生の時に地理でそのような言葉を耳にしたような、しないようなといったところではないだろうか?
最近のGISソフトはよくできていて、これらを知らなくても操作はできる。ただ、知らないとは恐ろしいことで、データが重ならない、場所がずれるなど大きな問題が生じる。
座標系に関する知識は、「飛田幹男(2002):世界測地系と座標変換、社団法人日本測量協会」がわかりやすく、かつ詳しく説明されている。この本は日本測量協会に注文すれば入手できる。
ある場所を表現するには、"ここからまっすぐ行ってコンビニのところを右"、"あの店から200mまっすぐ行って左"、"○○デパートの近く"など、基準となる場所をもとに表現する。
地球上の位置について同様で、地球上の位置を緯度,経度,高さで表すには、最初に基準となる場所(基準面)を決める必要がある。この決められた基準面の上で地球上の位置は表現される。
地球の形状にできるだけ合う楕円体として、長半径、扁平率等を定めたものを地球楕円体と言い、地球楕円体の形状が国、地域等の測量や地図作りの拠りどころとなる。すなわち、地球楕円体は緯度と楕円体高の基準を与える。
日本で測量や地図に使用されている主な準拠楕円体は次の4つ。
(1)ベッセル楕円体
(2)GRS80楕円体
(3)GRS80楕円体(1983年改訂値)
(4)WGS-84楕円体
測地座標系は、三次元直交座標系(x,y,z)の原点O(オウ)や3軸の方向を決めるものである。あるいは、楕円体を空間の中でどこに固定するか決めるものである。
日本において実際の測量や地図で使用される主な座標系は次の3つ。
(1)日本測地系(Tokyo Datum)
(2)ITRF座標系(またはITRF系)
(3)WGS-84座標系(またはWGS-84系)
同じ場所の地理座標(緯度・経度)が異なった数字で表させるのは、上記にあげた1)座標系が異なる、2)楕円体が異なる、それぞれによって起こる。
すなわち、座標系と楕円体は異なる性質のもので、地理座標値を利用するには、「座標系名と楕円体名を知らないければならない」。
日本で使われる座標系と楕円体の組み合わせは、次の3つ。
| 座標系 | 楕円体 |
| 日本測地系 | ベッセル楕円体 |
| ITRF座標系 | GRS80楕円体 |
| WSG-84座標系 | WSG-84楕円体 |
正しくは、日本測地系 = "座標系;日本測地系,楕円体;ベッセル楕円体"、世界測地系 = "座標系;ITRF座標系,GRS80楕円体"の組み合わせのことであるが、一般的にはこの組み合わせを日本測地系と世界測地系と呼ぶ。
日本測地系と世界測地系については、国土地理院のホームページで解説されている。
地球上での位置を表す地理座標系は曲面を表現するために用いられるもので、距離を正確に測定したり2次元平面にそのまま表現することには向いていない。そこで地理座標系を何らかの2次元平面座標系に投影する必要がある。
投影方法は大きく分けて、3つに分けられる。主な図法は次のようなもの。なお、佐藤さんのサイトに図解付きで詳しくのってます。
| 投影方法 | 主な図法 |
| (1)等角投影法(正角図法ともいう:角度が等しい) | メルカトル図法、ユニバーサル横メルカトル図法(UTM)、ランベルト正角円錐図法、平射図法 |
| (2)等距離投影法(正距図法ともいう:長さが等しい) | トレミー図法、正距方位図法 |
| (3)等積投影法(正積図法ともいう:面積が等しい) | ランベルト等積円筒図法、サンソン図法、モルワイデ図法、ボンヌ図法 |
日本の地図の大元締め、国土地理院において全国を対象とする一般図を作成する際に主に用いられている図法と縮尺は次のとおり。
| 地図の種類 | 図法 |
| 1/2,500 国土基本図 | 平面直角座標系による横メルカトル図法 |
| 1/5,000 国土基本図 | 平面直角座標系による横メルカトル図法 |
| 1/10,000 地形図 | UTM図法 |
| 1/25,000 | UTM図法 |
| 1/50,000 | UTM図法 |
| 1/200,000 地形図 | UTM図法、多面体図法(北海道のみ) |
| 1/500,000 地形図 | 正角割円錐図法 |
| 1/1,000,000 国際図 | 正角割円錐図法 |
| 1/3,000,000 日本図 | 斜軸正角割円錐図法 |
前に説明した地図センターの「地図博士の部屋」にわかりやすく解説があるので、ここでは省略。
前に説明した地図センターの「地図博士の部屋」にわかりやすく解説があるので、ここでは省略。
以上までのように、異なる投影法をもとに作成されたデータをそのまま重ねてしまうと、使用者の意図に反するおかしなことになってしまいます。
ESRI JAPANのページに図入りの例がありますので、参考にしてください。
(1) 座標系とは
---地球楕円体とは
---測地座標系とは
---座標系と楕円体の関係は
---日本測地系,世界測地系とは
(2) 投影法とは
---投影方法と主な図法
---UTM座標系とは
---平面直角座標系とは
(3) GISにおける座標系と投影法の意義
(4) より高度な学習(未作成)
---座標変換するには?
---平面直角座標値⇔緯度経度の換算?
---UTM座標値⇔緯度経度の換算?
---日本測地系⇔世界測地系?
---楕円体の変換?
---1次〜4次メッシュコードは?
---メッシュコード⇔緯度経度?