残像 --廃 屋 に て --- 崩壊が 表玄関の脇まで現れてきている 建物の内部には どんな強い陽射しにが差し込んできても 木々の朽ちかけた においのみが床であった上に 淀んでいるにすぎぬ 傾きかけた廃屋の陰が 重さに成らぬのは 人間の足音が、満たされぬ俗習の為に 駆けづりまわっているからだと思えるのだ 残像だけだからこそ まばたき一つすれば 鬱蒼とした樹木が以前から 存在していたのだときづくのである。
崩壊が 表玄関の脇まで現れてきている 建物の内部には どんな強い陽射しにが差し込んできても 木々の朽ちかけた においのみが床であった上に 淀んでいるにすぎぬ
傾きかけた廃屋の陰が 重さに成らぬのは 人間の足音が、満たされぬ俗習の為に 駆けづりまわっているからだと思えるのだ
残像だけだからこそ まばたき一つすれば 鬱蒼とした樹木が以前から 存在していたのだときづくのである。