小さなけもの
猫が、ストーブの脇から
よろめいて歩き出す
ガラス戸を、前足でこじ開け
人いきれする室内は、猫の方向から
夜気が流れ込む
人の声に含まれて
部屋は、しばらくの後に
夜気にあふれる
ガラス戸が閉められると
外側から、星空の下の家並になる
街灯の並ぶ本道りに
白色の光だけが残り
車が時々、スピードをあげて通り過ぎる
人々は眠っている
赤ん坊の脇で母親が
一つのベッドで、恋人同志が
スヌーピーの脇で女の子が
雨戸のすきまからもれる光が
遠く
二階家のリンカクの中で
淡く光っている
疲れた。
眼が、体から外れそうである
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山田和夫
kyamada@nns.ne.jp
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