トマトジュース
冷たい容器に入った
トマトジュース
のどを通り過ぎると言う事だけで
忘れたものを
一遍の詩として
思い出す
いや思い出すのではない
忘れてしまったものが
あるのでないのだから
さっぱりしたものを
ほしがる
今の疲れの中で
飲んだと言う事だけで
言いえてしまうものを
私が
<もの>として思いたっかったからこそ
ふと芽生えたものなのだろう
飲み干したと言う事で
グラスの底に残るように
確かに疲れたものを
ときぼぐすのだし
それに不服があるのではない
ただ
テーブルの上にこぼれた
トマトジュースのドロッとした感性に
似たものを
私の手の平近くで見ようとしたのだと
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