京湘電気鉄道株式会社
本社:神奈川県川崎市高津区野川
1 京湘幹線系統
1−1 京湘幹線
東京と湘南をむすぶ大動脈の路線で、幹線と呼ばれている。神宮駅〜渋谷駅間は、川崎幹線・寒川幹線と三複線になっており、地下の新武本線も含めると、私鉄最大級の四複線となる。
起点の神宮駅は10面9線の巨大ターミナルで、京湘幹線の他、川崎幹線や寒川幹線も発着する。渋谷駅には「リゾート特急(※リゾート特急…展望車・ダブルデッカーを備えた、専用車両「エレガントカー」を使用した特急の事。乗車券の他に、特急券が必要となる。また、展望車やスーパーシートは、さらに特別料金がかかる。車内では、客室乗務員によるビュッフェサービスを実施。※座席指定特急…早朝・夜間にエレガントカーを使用して運転される特急。リゾート特急よりも安い料金で利用できるが、ビュッフェサービスは省略される)乗車専用ホーム」があり、特急券の確認などを円滑に行えるようにしている。なお、川崎幹線・寒川幹線に同ホームは無い。南渋谷駅からは緩行線と並行、21.3kmにもおよぶ複々線区間が続く。急行線は緩行線に比べ、停車駅が少ない。ただし、万が一緩行線が不通になった場合は、すべての駅に停車できるようになっている。
駒沢公園駅は、東京オリンピックに合わせ、地下に建設された。玉川多摩川駅は「たまがわ」を連呼する変わった駅名だが、京湘電気鉄道には『多摩川の近くにある東京都側の駅には、地名の他に、多摩川の名を付けなければならない』という規定があったためである。
武蔵新城駅は、(旧)武蔵坂戸駅を移設したもので、JR線との接続をスムーズにした。野川駅は、本社や関連施設が点在し、周辺はムラサキタウンと呼ばれ、親しまれている。また、同駅は百貨店用地確保のため、地下化された。横浜市内に入ると、港北ニュータウンの東側を南下しながら走行。緩行線と並行する最後の駅、菅田駅からは、横浜支線が分岐する。高架に設置されている羽沢駅から京湘戸塚駅までは、逗子急三浦線とほぼ並行。
リゾート特急や快速など、逗子急三浦線と相互直通運転する列車は、東戸塚駅で乗務員が交代する。京湘戸塚駅を過ぎると、国道1号線に沿っていく。JR線・小田急線・江ノ島電鉄線と接続する藤沢駅には、京湘幹線・辻堂線車両を担当する、藤沢工場・検車区がある。藤沢駅から殆どの列車が、(旧)湘南都市鉄道の西神本線に乗り入れる。京湘幹線の藤沢駅〜湘南駅間は、スピードがあまり出せないため、準急(この区間はどの駅にも停車)のみの運転だ。
鵠沼公園駅は、以前「引地」という駅名であったが、現在の駅名に改称された。南辻堂駅では、辻堂線と直角で平面交差。現在は、辻堂線への直通運転は廃止となり、連絡線路は入出庫時のみ使用している。また、辻堂線用の辻堂車庫も撤去され、藤沢工場・検車区で扱うようになった。
南辻堂駅〜南茅が崎駅間は、距離が長かったので、周辺住民の利便確保のため、途中に浜須賀駅を新設した。柳島駅〜湘南駅間は、国道134号線・湘南大橋併用軌道(日本唯一のガントレット)となっていて、路線バスと電車が一緒に走行する。ただし、ラッシュ時に限りこの区間のみ列車が運休となり、一般車も通行できる。通常、一般車は南側の「新湘南大橋」を通行しなければならない。
1−2 横浜支線
菅田駅から分岐し、地下の羽沢駅(城南ホーム)を通って横浜駅へ向かう。途中駅の三つ沢駅は、並行する城南南線には存在しない。この路線は、普通列車のみの運行で、地下区間が多いのが特徴。横浜駅〜横浜港駅間は、第二種鉄道事業者が京湘電気鉄道、第三種鉄道事業者がYTSのため、乗務はそのまま京湘電気鉄道の横浜乗務区が担当している。
2 川崎幹線系統
2−1 川崎幹線
(旧)川崎電気鉄道が、えびす駅から池上本門寺参拝客を輸送するために設置した。3線ある幹線の中で、最も距離が短い。えびす駅が平仮名なのは、(旧)川崎電気鉄道時代の創業者が、利用客に見やすく、わかりやすくとの考え方を持っていたからである。ただし、サービスセンター(管轄)の名前は、漢字の恵比寿。
路線は目黒区の高級住宅街を貫くようになっており、田道駅・元競馬場駅・清水駅など、現在では残っていない、味のある地名が駅名として使われている。長原駅は、乗務区・検車区があり、川崎幹線の中枢となっている。工場はないため、全般検査などは寒川幹線の奈良工場で行う。ここからは、馬込支線が分岐する。本門寺駅では、逗子急三浦線に連絡。その後、多摩川を渡って、終点の川崎駅へ。同駅は、JR線の駅よりも横浜駅寄りに位置し、運鉄入江崎線に接続する。
2−2 馬込支線
(1)長原駅〜沢田駅間
沢田支線と呼ばれていた路線。もともと、平和島付近まで敷設する予定だったが、用地買収に失敗し、中途半端な存在として現在に至る。馬込駅では都営浅草線と、馬込銀座駅では逗子急三浦線と接続。末端の馬込銀座駅〜沢田駅間は単線で、運転本数も利用客も少ない。沢田駅は、平和島からかなり離れているが、かっこ内には「平和島」という文字が入る。
(2)馬込銀座駅〜大森海岸駅間
開業当初は、大森新線と呼ばれていたが、時間の経過に伴い、沢田支線と統合された。大森駅ではJR線と、大森海岸駅では京急線と接続する。この区間は、駅間距離が短いのが特徴。
3 寒川幹線系統
3−1 寒川幹線
(旧)寒川電気鉄道が、寒川神社・大山参拝客のために設置した路線で、京湘電気鉄道最長の距離を誇る。
渋谷駅〜道玄坂駅間は、神宮へ向かう地上線と、さくら地下鉄に直通運転するための地下線が並行する。淡島駅からは、高級住宅街を縦断するように走行。馬事公苑駅は「園」ではなく「苑」という字を充てる。岡本駅は、城南南線の砧公園駅に接続。車庫や乗務区があり、岡本支線が分岐している。
狛江多摩川駅から多摩川を渡り、一度神奈川県に入る。宿河原駅でJR南武線に接続。奈良駅は「こどもの国」の最寄り駅で、工場・検車区が存在する。成瀬駅ではJR横浜線に接続。新興住宅地の成瀬台駅からは再び東京都になり、東鶴間駅まで来ると、また神奈川県に戻る。
鶴間駅では小田急江ノ島線に、相模大塚駅では相鉄線に接続。綾瀬市駅の近くには、グループの総合研究施設があり、職員の教習・研修に使用。併設されている鉄軌道博物館は、一般公開されていて、家族連れなどでにぎわう。寒川神社駅は、同神社の最寄り駅で、人出が多い。伊勢原駅では小田急線に接続。終点の大山口駅は、神奈川県の名勝・大山の登山口に位置する。
3−2 岡本支線
多摩川河川敷の砂利を運搬する、貨物線として建設されたが、地元住民やその地域の企業などから、旅客化を希望する声が出たので、ディーゼルカーで旅客営業することになった。標準軌の非電化区間は珍しい。使用されるディーゼルカーは、ホーム位置の関係から、下り側を右側運転台、上り側を左側運転台とした特注車両である。終点の砧本村駅は無人駅で、周辺は併用軌道になっている。なお、岡本支線の運賃収受は、無人駅の砧本村駅ではなく、有人駅の岡本駅で行われる。
4 朝比奈線
(旧)朝比奈開発鉄道が、当初、別の会社線と相互直通運転する予定で、軌間1,067mm・20m級4扉の規格・車内信号閉そく式で設置した路線。完成して間もなく、直通運転とは無関係の京湘電気鉄道に吸収合併された。京湘電気鉄道のどの路線ともつながっていない、独立した路線になっている。
起点の横浜東口駅は、横浜支線をはじめとする各線に接続しているが、城南南線の横浜西口駅とはかなり離れているため、乗り換えは非常に不便だ。この駅から平沼駅の間は地下区間で、久保駅から地上に出る。保土が谷駅は、JR横須賀線の保土ヶ谷駅に連絡。狩場駅から横浜横須賀道路に並行して南下。永谷駅は、横浜市営地下鉄上永谷駅に連絡している。野庭駅は、朝比奈線の心臓部で、乗務区・工場・検車区などがある。釜利谷駅の近くには、神奈川県内最大の遊園地「あさひなパーク」が存在する。パーク内にはモノレールが循環しており、広大な敷地をスムーズに移動できるようになっている。終点の朝比奈駅には、バスターミナルが置かれていて、鎌倉や金沢八景方面ゆきの路線バスが発着する。
5 辻堂線
◎普通 湘南ライフタウン駅〜辻堂海岸駅間 日中10分毎 4両/南辻堂乗務区
京湘電気鉄道発祥の伝統ある路線だが、現在は、辻堂駅が高架化され、湘南ライフタウン駅まで延びている。湘南ライフタウン駅〜羽鳥駅間は、騒音防止に芝生軌道とした。南辻堂駅は、京湘幹線と直角で平面交差、安全確保のため、脱線レールを設けている。法規上軌道のため、開業以来路面電車タイプの車両を使用していたが、輸送量が増してきたので、ワンマン運転用に改造した一般車両を導入。これに伴い、営業所をサービスセンターと乗務区に分割、低床ホームの高床化を実施した。使用されていた路面電車タイプの車両は、西神電気鉄道の市内電車に譲渡している。