牛肉問題に見る日米の食文化


日本は今、食糧危機に陥っている。

それはなぜか?


皆さんは日本の食料自給率をご存知だろうか?


理由はその食料自給率である。

先に主要な先進国のデータを紹介すると、

フランス130%
アメリカ119%
ドイツ91%
イギリス74%


そして日本は40%


つまり、

先進国同士で篭城したら、真っ先に飢えるのは日本なのである。


戦前には100%近くあった自給率が、
現在の数値まで落ちた原因は、
・日本人の食生活の変化(肉食・パン食の増加)
・海外産安値食材の流入

大きくこの二点である。

食生活の変化であるが、
日本人は昔から、牛や豚などは「四足」などと言って一般に食用にはしなかった。
主に、米を主体として、魚や野菜がメインであった。

だが、文明開化から大東亜戦争の敗戦によって、
欧米の食材や料理が多く入ってきて、
「洋食」を好んで食べる習慣が根付いていった。

そのような流れの中で、『肉』を食べる習慣も庶民生活に浸透し、
「すきやき」「しゃぶしゃぶ」などの料理も開発されるなど、
日本人にわりと早く馴染んでいった。


次に、「海外産の安値の食品の流入」である。

この問題は近年特に著しく、
日本国内でのデフレの影響が強く影響し、
国内産の市場だったものを、人件費の安い海外産が支配してしまった食材もある。

これは、国内の農家に対しても大きな影響を与える問題であり、
必死に良い物を生産しても、「安値である」というだけで、
販売争いで負けてしまう農家も少なくない。



日本人は、世界で最も「『食』に最もこだわる民族である」と、私は思う。


日本ほど海外の料理や食材が受け入れられている国があるだろうか?
日本人に馴染みの海外料理は、
フランス料理・イタリア料理・中華料理・インド料理などなど、沢山ある。

また、テレビを見ていても、必ず毎日料理を食べる企画や番組が行われている。それもどの局でも。
新聞や雑誌にも料理コーナーを設けている物も数多い。

それほどに、日本人の『食』に対する拘りや執着心は計り知れないものがあるのだ

その、「食にこだわる日本人」に対して、
欧米人、特にアメリカ人のスタンスは「食べられれば良い」といったところであろう。
これはアメリカ人に対する中傷でも何でもなく真実である。
実際、「とりあえず胃が満たせればそれで良い」のです。

それは彼らの食生活を見れば分かることで、

アメリカの料理(食べ物)といえば?
ホットドック。ハンバーガー。コーンフレーク。ステーキ。ピザ(アメリカ式)。
あれ?あと何かありましたっけ?ファーストフード?

これらの食べ物に、「見た目の美しさ」「繊細な味付け」「栄養のバランス」
このいずれかがあるだろうか?

「ある!」という人もいるかもしれませんが、

普通に見るとありません。

アメリカ人である彼らから言わせれば、
「細かく調理したり、繊細な味付けをするのは時間もかかるし面倒である。
そんな非合理なことをするくらいなら、シンプル(切ったり加工したりせず)に食べる方が良い
まして、見た目になど拘る理由はない」

こんなものであろう。



で、話は本題で、

日本は、国内で狂牛病の牛が見つかり(たしか白老でしたね)、
全頭検査まで行いました。

それに対して、アメリカは全頭検査はおろか、抽出検査にすら応じません。
アメリカの牛の数が膨大なのも分かります(約2000万頭)
日本がアメリカに対して発言力が無いのも分かります。

しかし、それでも抽出検査にすら応じず、
大統領が「強硬的に解決する」と言ったり、
下院議長が「狂牛病で死ぬより、交通事故で死ぬ確率の方が高い」と言うのは、
本人が救いようの無いバカであるのは当然なのですが、
彼らが「アメリカ人である」が故なのです。


『食(食べること)』に関してその程度にしか考えていないアメリカ人と、
『食』を娯楽にすら感じる日本人が、
食糧問題に関して意気投合できるはずもないのだ。
所詮はタダの貿易相手・商売相手にしか考えていないのである。


「日本に輸入を止められたら、国内の供給が余って農家が損するから輸入禁止するな!」
なんて発言し、「自分の国の責任」なんてものは二の次です。



最後に

大統領などが言うように、
「自由に貿易が行われ、市場は開かれているべきだ」
確かにその通りです。

なので、恐らく再び輸入開始はされるであろうが、

市場に自由があるように、
「消費者にも『選択の自由』がある」

この言葉を彼らには送りたい。


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