野球大国日本


戦前・戦後から、平成に至るまでの数十年、
『野球』というスポーツは日本において最も有名なスポーツであった。

「巨人阪神時代」から始まり、今では12球団のプロチームがあり、
下は小学生のリトルリーグから大学・社会人リーグまで、
アマチュアの裾野はとても広い。

近年まで、その人気は不動のものにさえ思われた。

だが、最近野球の人気は低迷し、
人気スポーツの分散が起こり、
さらにサッカー・バレー・ラグビー・バスケット等のプロ化が、
人気の衰退に拍車をかけている。


そこで、今の野球業界の問題点に関して語ることにする。


先ず最初に挙げられるのは、「プロとアマ」の問題である。
「プロとアマは交流してはいけない」風潮のことだ。

元々、なぜプロ選手とアマチュア選手が交流・指導してはいけないかは、
昔の協定にあって、「不平等性」や「確執」などによって、
互いの協会が対立したことによって『壁』が出来たのである。

プロとアマをわざわざ分けるのは良いとして、
社会人選手をアマ扱いするのは、いかがなものかと思われる。

なぜなら、「野球で飯を食っている」事はプロ選手と一切変わりはなく、
そのような意味でも「社会人選手」は『プロフェッショナル』なはずだからだ。

「プロとアマの交流」に関してはどうであろうか?
最近になって、ようやく容認されるようになった、「現役選手の指導」

夢を与える仕事でもある野球選手が、なぜそのような「営業活動」を、
してはいけないのか。
これは大きな問題である。

このような、「プロとアマの垣根」は、さっさと取り除かれるべきである。



次に挙げられるのが最大の問題点で、
「チームは企業の所有物」である、という点だ。

チームのフロント陣は常に、看板として、宣伝としてとしかチームを見ていない。
たとえ勝てなくても、降格などしないし、チームは無くならない。

このような『安全圏』で「切磋琢磨しろ」と言うほうが無理で、
イチローや松井などのトップレベルのプレイヤーが、
この『安全圏』から脱出しようとするのも分かる話である。

では、どうすべきか?

目指すべきは、「企業色の排除、完全フランチャイズ制の導入」の他にはない。

これは強行的にでも行わなければ、真の意味での人気は取り戻すことは出来ないであろう。

事実、「広島カープ」は、数少ない完全フランチャイズ制で、その経営は黒字なのだ。
さらには、「北海道日本ハムファイターズ」のような半フランチャイズ制においても成功しつつある。

最近になって、ようやくこのような動きは出てきたが、余りにも遅すぎる。
Jリーグにおける、「ベルディ」並の強制排除(読売新聞)があって然るべきなのだ。

なぜ、それが出来ないか?
その答えが、最後の、「既存権力者の存在」である。

これはプロ野球にとって最大の『癌』である。

つまり、いわゆる「チームの所有者(会社の経営者)」が幅を利かせているが為に、
『野球業界の繁栄』よりも『我が社の利益の確保』を優先させようとするしくみを作り出しているのである。

新しいチームを発足させる為に、多額の上納金を盾に、実質参入できないようにしたり、
チームやリーグのマネージャーの意見を平気で握りつぶしたりである。

さらに、選手達が自らの意見をフロント側に伝えた際に、「たかが選手が...」などと切り捨てる光景は、
「会社における経営者と労働者」の関係そのものであった。

つまり、彼ら経営者に『プロとしての自覚』は存在しないのである。





このような『野球業界の癌』を排除することこそ、
野球人気復活の最大のポイントなのではないか。


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