はじめの1歩



AutoHotkey(AHK)を使ったことがない方のために、その使い方を簡単に説明します。

まず、公式サイト(英語)にアクセスして、「Download」からインストーラをダウンロードします。

インストーラを実行して、AutoHotkeyをインストールします。

デスクトップ上に新規のテキストファイルを作成します。

適当なファイル名をつけて、拡張子をahkにします。ここでは仮に、「TestScript.ahk」というファイル名にすることにします。

TestScript.ahkをメモ帳などのテキストエディタで開きます。テキストエディタを開いてから、その中にファイルをドラッグすれば開けると思います。新規のファイルですので、中身はまだ空白のままです。

このサイトの「サンプルスクリプト」に移動して「Googleで検索」をクリックします。

そこに掲載されているサンプルスクリプトをコピーしてTestScript.ahkに貼り付けます。

;Googleで検索
;右Altキー
;2015/03/22作成

RAlt::
Clipboard =
Send, ^c
ClipWait, 1
Run, http://www.google.com/search?q=%Clipboard%&gws_rd=ssl
return

真ん中あたりの「RAlt::」は、Google検索を実行するキーを表しており、このままにすると「右のAltキー」でGoogle検索を実行できます。

別のキーで実行したい場合は、こちらを参照してキーを変更します。ただし、リンク先のキーリストでは特殊キーのキー名が「vkXX」と「scXXX」を組み合わせた「vkXXscXXX」の形式で書かれていますが、これは旧バージョンのAutoHotkeyの形式です。最近のバージョンのAutoHotkeyを使用しているとエラーになりますので、その場合は「scXXX」の部分を削除して「vkXX」だけにしてください。いずれの場合も、必ず後ろに半角コロンを2つ付けてください。ここでは仮に、F1キーで実行するように変更することにします。すると、次のようになります(2行目は、ここでは変更する必要はなく、真ん中あたりの「RAlt」を「F1」に変更)。

;Googleで検索
;右Altキー
;2015/03/22作成

F1::
Clipboard =
Send, ^c
ClipWait, 1
Run, http://www.google.com/search?q=%Clipboard%&gws_rd=ssl
return

変更を保存してファイルを閉じます。

デスクトップ上のTestScript.ahkをダブルクリックしてスクリプトを実行します。タスクバーに「緑地に白色のH」のアイコンが表示されていれば、スクリプトは実行されています。

Wordファイル、テキストファイル、ウェブブラウザ、PDF、電子辞書、Tradosなど、テキストを選択できる任意の場所でテキストを選択状態にしてF1キーを押します。するとブラウザが起動して、そのテキストのGoogle検索が実行されるはずです。

スクリプトの実行中は、AutoHotkeyで使用しているキーで通常の機能を実行できなくなります。たとえば、今回の「F1キー」は、Wordでは、通常、ヘルプを表示するキーになっています。しかし、このスクリプトを実行している間は、F1キーを押してもヘルプが表示されません。スクリプトを終了すると、通常の状態に戻り、WordではF1キーでヘルプが表示されるようになります。スクリプトを終了するには、タスクバーのアイコンを右クリックして、「Exit」をクリックします。

このスクリプトの最初の3行には先頭にセミコロンがついています。このように先頭にセミコロンがついている行は「コメント行」で、何が書いてあってもスクリプトの実行時には無視されるため、メモとして使用できます。

このスクリプトの最初の3行には、メモとして、スクリプトの実行内容(Googleで検索)、スクリプトのトリガーとなるキー(右Altキー)、スクリプトの作成日(2015/03/22作成)が書いてあります。トリガーとなるキーを右AltキーからF1キーに変更したので、その部分を修正し、作成日は特に必要ないので削除すると、次のようになります(もちろん、必要ないと思えば、すべて削除してもかまいませんし、逆に、先頭をセミコロンにした新しい行を追加して、修正した日付などのメモを追加してもかまいません)。

;Googleで検索
;F1キー

F1::
Clipboard =
Send, ^c
ClipWait, 1
Run, http://www.google.com/search?q=%Clipboard%&gws_rd=ssl
return

このように、AHKのスクリプトは、ファイルをテキストエディタで開いて書き換えるだけで簡単に修正できます。

このスクリプトを現在「実行中でない」(つまり、タスクバーにHのアイコンが表示されていない状態)場合は、次回の実行時に変更内容が反映されます(今回はコメント行を修正しただけなので変更内容が反映されても動作は同じ)。

ただし、「実行中」(つまり、タスクバーにHのアイコンが表示されている状態)のスクリプトを修正する場合は、注意が必要です。スクリプトを作成する場合、少し複雑なものになると、一度で思い通りのものを作成することは容易ではありません。そのため、作成したスクリプトを実行してみて修正を加えるという作業を繰り返すことになります。その際、毎回スクリプトを終了させる必要はありません。実行中のスクリプトでも、スクリプトのファイルをテキストエディタで開いて修正することができます。ただし、ここが非常に忘れやすい重要な点ですが、「実行中のスクリプトを開いて修正し、保存して閉じても、それだけでは変更が反映されない」ので注意してください。実行中のスクリプトに修正を反映させるには、修正して保存した後に、タスクバーのアイコンを右クリックして「Reload This Script」を選択する必要があります。

実行中のスクリプトのファイルは、ファイルをテキストエディタで直接開くだけでなく、タスクバーのアイコンを右クリックし、「Edit This Script」を選択して開くこともできます。ファイルを直接開く場合は任意のテキストエディタを使用できますが、「Edit This Script」を選択して開く場合は現時点ではテキストエディタが「メモ帳」に限定されます。繰り返しになりますが、どちらの方法で開く場合でも、「実行中」のスクリプトを修正する場合は、「ファイルを開いて修正し、保存して閉じる」だけでは変更が反映されません。変更を反映させるには、修正したファイルを閉じた後(スクリプトの実行を中止する必要はない)に、ファイルをダブルクリックするか、タスクバーのアイコンを右クリックして「Reload This Script」を選択します。実行中のスクリプトのファイルをダブルクリックすると警告メッセージが表示されますが、「はい」を選択することで変更が反映されます。

さて、さらに修正を加えることにします。

AHKでは、実行するキー(この例では、現在は「F1キー」)を追加すれば(たとえば、「F2キー」)、複数のスクリプトを1つのファイルに書いて実行できます。

たとえば、「F1キーによるGoogle検索」に「F2キーによるweblio(ウェブ辞書)検索」を追加すると、次のようになります。

;Googleで検索
;F1キー

F1::
Clipboard =
Send, ^c
ClipWait, 1
Run, http://www.google.com/search?q=%Clipboard%&gws_rd=ssl
return

;weblioで検索
;F2キー

F2::
Clipboard =
Send, ^c
ClipWait, 1
Run, http://www.weblio.jp/content/%Clipboard%
return

このように、キーを変えることで、いくつでも自動化したい操作を追加できます。

「weblio」ではなく「weblio英和和英」で検索したい場合は、「サンプルスクリプト」の「weblio英和和英辞典で検索」を参照して、上記のスクリプトの下から2行目の「Run」の行を修正してください。

このように、「Google検索」と「weblio検索」を別々に実行するのではなく、ある文字列を選択した状態のときに「1つのキー」(たとえば、F1キー)だけを押して両方を同時に検索したい場合は、次のようにすることができます。

;Googleとweblioで検索
;F1キー

F1::
Clipboard =
Send, ^c
ClipWait, 1
Run, http://www.google.com/search?q=%Clipboard%&gws_rd=ssl
Run, http://www.weblio.jp/content/%Clipboard%
return

このスクリプトは、最初の「Google検索」のスクリプトのRun行の後に「weblio検索」用のRun行を追加したものです。このように操作を追加することで、複数のウェブ辞書を同時に検索したり、さらには電子辞書ソフトウェアやExcel用語集なども同時に検索する、いわゆる「串刺し検索」を実現することができます。

実行中のスクリプトのファイルを修正した後は、「Reload This Script」を選択してリロードすることを忘れないようにしてください。

上記のようなスクリプトを利用して検索した後は、カーソルがウェブブラウザなどに移動します。たとえば、「Google検索スクリプト」を実行して、SDL Trados Studio 2014で翻訳しているといます。Trados上の文字列を選択してF1キーを押すと、その文字列をGoogle検索できますが、カーソルがウェブブラウザに移動してしまうため、引き続き翻訳するには、マウスでTrados上をクリックするなどして、カーソルをTradosに戻す必要があり、面倒です。

そのような場合は、Tradosのウィンドウをアクティブにするスクリプトを追加しておくと便利です。たとえば、Google検索スクリプトを次のように修正します。

;Googleで検索
;F1キー

F1::
Clipboard =
Send, ^c
ClipWait, 1
Run, http://www.google.com/search?q=%Clipboard%&gws_rd=ssl
return

;Tradosに戻る
;変換キー

vk1Csc079::
WinActivate, SDL Trados Studio
return

これで、カーソルがウェブブラウザやその他の場所にあるときに、スペースバーの横などにある変換キーを押すことで、カーソルをTradosに戻すことができます(もちろん、変換キーではなくF8キーなどの他のキーを設定することも可能)。

何度も言うようですが、実行中のスクリプトのファイルを修正した後は、「Reload This Script」を選択してリロードすることを忘れないようにしてください。

後は、AutoHotkey WikiなどのAHK関連のサイトを参照しながら、より複雑なスクリプトに挑戦し、快適なAHK Lifeを満喫してください!



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