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『クロロホルムの誘惑と真実』

クロロホルムの誘惑

 無知な人物たちにとって【クロロホルム】は手軽に使える"道具"のようである。そうでなければ、誤解に基づく、これだけ多くの作品群が生産されるわけがありません。
 管理人は、犯罪映画やミステリ小説の中で、最初にクロロホルムを用いたのが誰であるかは寡聞にして知らない。しかし、専門的知識に鑑みると、クロロホルムで瞬間的に大人の人間を失神させたり気絶させることはできないようである。
 諸外国のミステリにも同様の誤解に基づく作品は少なくなく、例えばエド・マクベインの『命果てるまで』(早川書房)とか映画『ハンニバル』などにもクロロホルムがでてきます。変わったところではテレンス・スタンプ主演の誘拐映画『コレクター』で蝶の標本を作るためにクロロホルムが使用されています。フランス語には【chloroformer(クロロフォルメ)】という動詞がありますから、彼の国(La France は女性名詞ですが・・・)でもミステリに頻出していると考えられます。
 本邦の作品は『金田一少年シリーズ』とか『浅見光彦シリーズ』とか、枚挙に暇がないくらい間違いを表現した作品があります。テレビ・ドラマに至っては口にするのも恥ずかしいくらいでしょう。
 しかしながら、実際の事件でクロロホルムが用いられ暴行した、というような記事を見ることがあります。そのような記事は間違っているのであろうか? そうではあるまい。
 クロロホルムを嗅がせた事による失神ではなく、布で顔面を覆ったことによる酸欠・失神というのが妥当な解釈でしょう。時により、頚動脈を圧迫したりすることがあるのかもしれません。

 参考
 「医薬品情報21 (クロロホルムの毒性)」 = Web上では最も解り易くかつ簡便な記述。非常に参考になる。ミステリ作家たるもの、ここに書かれていることは理解していなくてはならないでしょう。
 「判例時報 1847号」 仙台高裁(平成15年7月8日判決)
 「クロロホルムネット販売事件判決要旨」 東京地裁(平成11年4月22日) ※【強姦未遂】である。
 「猥褻犯罪」 警視庁志村署
 「クロロホルムのこと」 若桜木虔(日本推理作家協会会報)
 「クロロホルム神話-Yahoo! 知恵袋」
 「雑学解剖研究所」 ※「クロロホルムは即効性がある」と間違った記述がされている。

 ここで【クロロホルム】の誤解を解いたからといって、管理人は、クロロホルムを正しく使用しろと言っているわけではありません。
 また、何人(なんぴと)にも[MAD CHEMIST]になって頂きたくはない、というのが管理人の切なる願いでもあります。

                                             2007年10月28日