2008
隗の会・2月の俳句

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     隗作品抄             大山雅由選

裸木となりて月影遊ばしむ        森田京子

 

生きてゐることを頼りに山眠る     和田久美子

 

箒目のきのふのままに霜の朝      金子千恵子

 

短日の粘土に残る指の跡         宮本恵吾

 

ぼろ市や昭和繕ひつつ老いて       荒井和子

 

アルバムの友みな笑みて冬畳       園山敬子

 

金目鯛大き目玉は海の青         堀内知行

 

イブの夜の八十路の笑顔小百合似で    猪口鈴枝

 

追伸に逢ひたしとあり風花す       矢畑昌子

 

冬菫ここは貞心尼(ていしん)通ふ道         帆刈 郁

 

蛹とも繭とも炬燵抱へゐて       十羽野荒人

 

闘病の十年日記七分埋め         大上葉子

 

塔の影ゆさぶり冬菜洗ひけり      かんたけを

 

残されしマフラーぬくし夫遠し      須賀智子

 

きしきしと白菜太る近江かな      田中みどり



秋冷の寺の柱に傷一つ          小川マキ

 

短日の退職の日の靴を脱ぐ        長井 清

 

冬薔薇言ひてはならぬ独りごと      池田英子

 

ひとり居の色あざやかにシクラメン    崎啓子

 

潮騒に瑠璃深めたる竜の玉        山本武子