2008
隗の会・4月の俳句

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     隗作品抄             大山雅由選

黄砂飛ぶ第五福竜丸朽ちて        岩本晴子

 

妻逝くや枯野に立ちて向き()なし     加藤一帆

 

蕎麦がきの湯気の中なる茂吉の忌     早川まさ

 

よき便り来ると思へり桜鯛        園山敬子

 

利休忌や一輪挿の実のこぼる       清水早苗



ネックレスちぎれて跳ねて凍返る     木林万里

 

賞罰のなき一生や鬼やらひ        増子英司

 

溶けだして人間くさき雪だるま      斎藤八重

 

竹垣の結を新たに梅白し         大畠 薫

 

ひとり居の頼みの梅の真白かな     金子千恵子

 

赤き旗立てて余寒の運動場       田中みどり



雛飾りともにせよとの母の声       大畠正子

 

赤ワインもて雛の夜の唇甘し       内山玲子

 

埋火や耳覚めがちに夜もすがら      山田悠子

 

啓蟄や己がどこかのけものめく      上田公子

 

冴返る日は千代紙に亀を折る       青柳明子

 

山中に雪踏む音や人恋し         星 義昭

 

日短や告ぐべきことを持ち帰る      小山洋子

 

漕ぎ出す一人船頭蜆舟          石井敏子

 

春浅し写経の文字のかすれ癖       山本武子