2008
隗の会・5月の俳句

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     隗作品抄            大山雅由選

白光す電子辞書にも春の塵        小山洋子

 

潮鳴や千の雛の流離譚          山田悠子

 

雛祭母に重湯をまいらする        山本武子

 

母乳(ちち)を吸ふ赤子の見上ぐお雛さま     小川マキ

 

翼しろたへ春光の海めざす        榎 和歌

 

壇ノ浦帆船のあまた陽炎へる       星川 仁

 

軒下の木鋤見たさに足はこぶ       北川照子

 

人事欄に名前を探す四月馬鹿       山内直之

 

神事能荒ぶる神に春一番         青柳明子

 

主待つ犬と自転車納税期         堀内知行

 

小さき手にそつと押されて流し雛     内田研二

 

見入りけり子に贈らるる初桜        佐藤陽子

 

花吹雪浴びて昂ぶる齢かな        崎啓子

 

啓蟄やひきこもる子に連れ立ちて     佐山 勲

 

まんさくや転びつ起きつ幼き子      森井和子

 

夕月と歩く菜の花明りかな        柳瀬明子

 

春星の瞬きわれに生きよとや       須賀智子

 

暮れかぬる自転車凭れあひしまま     関口道子

 

幾筋も畝の揃ひて山笑ふ         村井幸子

 

うぐひすや日光月光笑みかわし      北山百子