2008
隗の会・6月の俳句

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     隗作品抄             大山雅由選

 

透けてきしお蚕さんのひいやりと     山本力也

 

早苗田や百の鏡に百の影         内田研二

 

雉ほろろ嬬恋村を風の抜け        荒井和子

 

鶯や目覚めて暮るる日となりし      佐山 勲

 

巡行の祭太鼓を反身打ち         星川 仁

 

夕暮れは人皆やさし竹の秋        長井 清

 

廃校のメタセコイアや鳥の恋       須賀智子

 

夕暮れの空あり桐は揺るる花       榎 和歌

 

やさしさの時には嘘を花は葉に      帆刈 郁

 

東密か台密かなんぢやもんぢや咲く    細見逍子

 

糠床をそつと起こして木の芽風      滝澤謹子

 

鳥の恋ビルの裏口川に向き        山田悠子

 

老い猫の四肢踏ん張りて春の土      大上葉子

 

退院の子へ一壜の蝌蚪の水        きようたけを

 

老犬の迎へ出でくる春彼岸        猪口鈴枝

 

単衣着て帯は小さめに城下町       石井敏子

 

花の宴齢のこともさりげなく       小山洋子

 

岩かげに釣人一人つばめ飛ぶ       早川まさ

 

転調のソプラノかなし朧月        上田公子

 

繭里はいま一山の青嵐          金子千恵子