隗作品抄 大山雅由選
水色の風連れてをり風鈴売 上田公子
斑猫の迷ひなく飛ぶ風の辻 青柳明子
滝しぶき物の怪鴉つき纏ふ 小川洋子
旅ゆゑに踊りの輪にも飛び入りて 宮崎晴子
ひがし風舵取る先の寝待月 堀内知行
秋めくやピアノの夫の機嫌よき 長場方子
水打ちて琴は乱れに入りにけり 内山玲子
英泉の女に似たる素足かな 清水早苗
白南風や泣き虫毛虫撫ぜ過ぐる 池田英子
新涼の風映るまで鏡拭く 榎 和歌
夏服や運河の旅のトンボ玉 山岸良子
ブランコのまだ揺れてをり夏の月 田中みどり
逆らはず夫に返答青簾 山本武子
梅雨籠り絵の具溶いてはみたものの 猪口鈴枝
退りがたきドア後ろ手に半夏雨 帆刈 郁
蝉時雨方便の嘘さとらるる 和田久美子
早朝の山に音あり青胡桃 飯島千枝子
花火終え河原の闇へ人ほぐれ 大畠正子
銅像に一匙捧げかき氷 金子千恵子
夏潮のうねりに浮子を遊ばせて 園山敬子
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