2008
隗の会・9月の俳句

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  隗作品抄             大山雅由選

      

水色の風連れてをり風鈴売         上田公子

 

斑猫の迷ひなく飛ぶ風の辻         青柳明子

 

滝しぶき物の怪鴉つき纏ふ         小川洋子

 

旅ゆゑに踊りの輪にも飛び入りて      宮崎晴子

 

ひがし風舵取る先の寝待月         堀内知行

 

秋めくやピアノの夫の機嫌よき       長場方子

 

水打ちて琴は乱れに入りにけり       内山玲子

 

英泉の女に似たる素足かな         清水早苗

 

白南風や泣き虫毛虫撫ぜ過ぐる       池田英子

 

新涼の風映るまで鏡拭く          榎 和歌

 

夏服や運河の旅のトンボ玉         山岸良子

 

ブランコのまだ揺れてをり夏の月     田中みどり

 

逆らはず夫に返答青簾           山本武子

 

梅雨籠り絵の具溶いてはみたものの     猪口鈴枝

 

退りがたきドア後ろ手に半夏雨       帆刈 郁

 

蝉時雨方便の嘘さとらるる        和田久美子

 

早朝の山に音あり青胡桃         飯島千枝子

 

花火終え河原の闇へ人ほぐれ        大畠正子

 

銅像に一匙捧げかき氷          金子千恵子

 

夏潮のうねりに浮子を遊ばせて       園山敬子