2008
隗の会・11月の俳句

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     隗作品抄             大山雅由選

燃えてゐてどこかが暗き曼珠沙華      上田公子

 

渋柿のごとき痩身敬老日          増子英司

 

文化の日女もやしの髭根とる        宮崎晴子

 

鯨汁額汗して吹き冷ます          星 義昭

 

朝涼や広げし地図へ猫の座し        小山洋子

 

うなづきて柿むく人の聞き上手       石井敏子

 

行く雲や皿より長き秋刀魚食む        佐藤陽子

 

群れ飛べるセキセイインコ秋暑し      矢畑昌子

 

花野往くただ透きとほる風の中       大上葉子

 

名月や子の声の無き町に住み       和田久美子

 

水梨や澄みきつてゐる街の音      きょうたけを

 

億年の白砂を洗ふ夕立かな         山田悠子

 

秋灯卓の木目の波寄する          斎藤八重

 

露の世を個性大事といひ老いぬ      十羽野荒人

 

産声にまさるものなし月天心        森田京子

 

材たぐる鳶口の先秋の雲          荒井和子

 

亡き夫に郵便の来る今朝の秋        森井和子

 

さよならの握手はかるく酔芙蓉       森 廣子

 

ひととせを生きて今宵の菊膾        須賀智子

 

鉦叩老いは老いなり恙なく         崎啓子